消費税基金

財務省前_2021年3月23日

 医療界で長年懸案として横たわる「控除対象外消費税問題」に関して、愛知県医師会が「基金を設けてはどうか」と提案している。【本根優】

 東日本の医師会幹部がこれまでの経緯を踏まえて語る。「横倉義武会長時代、当初は今村聡副会長が消費税問題を担当して、いいところまで行ったが、増税延期などもあり、押し切ることができなかった。そこで、横倉会長は担当を中川俊男副会長(現会長)に交代させた。しかし、中川氏の強硬姿勢で、かえって問題が暗礁に乗り上げそうになったため、横倉氏が政府・与党との交渉に割って入って、『解決』としてしまった」

 それが19年度税制改正だった。診療報酬への上乗せ対応の精緻化や税制上の措置を組み合わせる手法になる。横倉氏の「撃ち方やめ」を受けて、中川氏は不本意ながら、副会長という当時の立場上「非課税下にあって最大限の着地だ」と説明せざるを得なかった。

 その後、自身が会長選に出馬した中川氏は、自身の政策提言で「医療機関の補填のバラつきを解消するための抜本的解決に取り組む」と表明した。

 そして今回、愛知県医が「基金」での解決を打ち出したことになる。「すべてを診療報酬に転嫁せず、一部を個別の医療機関に生じる補填のバラつきを是正するための財源にする」といった内容。これなら「財政的に中立で財政当局の理解は得やすい」と強調している。

 中川氏が率いる現在の執行部のスタンスは「課税取引も視野にあらゆる選択肢も排除せず、引き続き検討する」というもの。その文脈で、基金も「解決案のひとつ」に位置付ける。

 ただ、日医のこうした受け止め方について、中部地方の医師会関係者の反応は冷ややかだ。

 「コロナ禍もあり、それどころではないということだろう。中川会長の時代は『あらゆる選択肢の検討』で終わるのではないか」

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