診療報酬改定、「玉虫色で解釈がバラバラ」

遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)_2019年6月12日の医療保険部会

 2年に1度の診療報酬改定。2月に最終案が決まり、4月から新点数で全国一斉に実施されるが、地方厚生局によって対応が異なるケースも多く、しばらくの間は混乱が続く。厚生労働省は細かい通知やQ&Aなどで解釈を示そうと努めるものの、全てをフォローすることはできず、Q&Aは「その7」「その8」と続く。長年にわたり中医協委員を務めた医師は「いろんなことを議論して決めても文書が玉虫色になるので解釈がバラバラ」と言う。【新井裕充】

 厚労省は6月12日、社会保障審議会(社保審)の医療保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第118回会合を開き、今年5月に成立した改正健康保険法のうち、医療保険制度に関わる事項などを報告した。

 この中で厚労省は、「審査支払機関における審査の効率化・高度化等に向けた取組」について、これまでの経緯や最近の取組などを説明。全国の審査の取扱いが一定程度収れんされた事例については、「審査充実全体会議」で審査基準を統一し、「審査の取扱いに関する一定の見解」として作成・周知しているという。

 今年7月には、「審査支払機関における審査の判断基準の統一化を推進するための連絡会議(仮称)」を設置し、第1回会合を8月以降に開催する予定であることも報告した。

2019年6月12日の医療保険部会の資料「1-4」_ページ_4

統一的な判断基準を提供する

 こうした中央の連絡会議を開く趣旨について厚労省は、「今国会で成立した健保法等の一部改正法においても、審査支払機関の機能の強化が盛り込まれており、審査における不合理な差異をなくし、平準化を図るための改革が進められている」と指摘した。

 また、診療報酬の審査を担う機関で基準の統一化に向けた取組が行われていることも挙げながら、「審査の運用の際に全国統一的な判断基準が必要と思われるものについて検討の上、統一的な判断基準を提供する」との意向を示した。

2019年6月12日の医療保険部会の資料「1-4」_ページ_3

単純に一元化すると問題が起きる

 質疑では、医療関係者から戸惑いの声が漏れた。病院団体の幹部は「現時点で一定のローカルルールがある。中央で集まって、これが基準なので、さあこれでやってくださいとなると非常に混乱が起きる可能性も高い」と指摘した。

 元中医協委員の医師会幹部は「単純に一元化すると、ものすごくいろんな問題が起きるということは日々認識している。簡単にルールで、ゼロ、1、2、3と決められるものではない」と強調した。

 この問題に関する主な発言は、次ページ以降を参照。

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