10月の衆院任期満了と同時に、自民党・厚生労働関係の大物議員が政界を引退することを続々と表明している。【本根優】
伊吹文明元衆院議長(京都1区)、塩崎恭久元厚労相(愛媛1区)、川崎二郎元厚労相(三重2区)、冨岡勉元文部科学副大臣(長崎1区)ら、厚労行政と縁の深い議員ばかりで、今後の政府・与党の政策決定にも影響を与えそうだ。
伊吹氏はイブキングの異名をとる党全体のご意見番であると同時に「厚労族のドン」として、長きに渡って君臨してきた。橋本龍太郎元首相、丹羽雄哉元厚相、津島雄二元厚相らが去った後、伊吹氏の存在が際立った。厚相経験はないものの労相経験があり、しかも本人が元大蔵官僚ということで、財務省が絡むさまざまな調整を担った。
一方の塩崎氏は安倍晋三元首相の盟友として知られ、官房長官に続き、厚労相を経験。医療に産業の視点を強く持ち込んだほか、次官級の医務技監ポスト(初代は鈴木康裕氏)創設にも尽力した。最近でも新型コロナウイルス感染症に関する国際保健分野の政策立案に積極的に関与した。
塩崎氏はいわゆる「厚労族」からは距離を置き、独自のポジションで自身の関心分野の政策立案にこだわった。
同様に、厚労族には加わらず、元厚労相として振る舞ったのが、川崎氏だ。厚生分野よりも労働分野などで存在感を発揮してきた。また、文部科学副大臣などを歴任した医師の冨岡氏も引退を表明している。
別の文脈で“引退危機”にあるのが、薬剤師出身の松本純元国家公安委員長(神奈川1区)だ。銀座クラブ飲食問題で2月に離党。水面下で復党を画策していたが、自民党神奈川県連はこのほど「検討に値せず」と一蹴した。ほとぼりが冷めるのを待っていたものの、ダメージは大きく、次の衆院選には間に合わなかった。