第609回中医協総会(2025年6月18日)

2025年6月18日の総会

 「昨今、財政審の提言に診療報酬の具体的な内容も含まれ、骨太方針にも大きく影響を与えておりますが、診療報酬の具体内容につきましては、財政審ではなく、あくまで中医協において必要な議論がなされるべきものと考えております」──。歯科を代表する診療側委員が退任の挨拶でこのように述べました。【新井裕充】

 約1カ月ぶり、総会のみの開催です。薬価専門部会は前日午後に開催中止が厚労省ホームページ上で告知されました。

 1.総  会(10:00~11:03)

 今回の議題は8項目。審議事項は ①~④で、全て承認されました。

【議 題】
 ① 部会・小委員会に属する委員の指名等について
 ② 再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて
 ③ 入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について
 ④ 医療機器の保険適用について
 ⑤ 先進医療会議からの報告について
 ⑥ 最適使用推進ガイドラインについて(報告)
 ⑦ 公知申請とされた適応外薬の保険適用について
 ⑧ 医療用医薬品の供給停止及び薬価削除について

 質疑で発言があったのは、② ③ ⑧ です。

【今回の内容】
 ① 越後園子専門委員が所属する部会を決定
 ② エレビジスの医療保険上の取扱い(案)を承認
 ③ 令和6年度調査結果(速報)概要を承認
 ④ 9月1日収載予定の医療機器(ネクスパウダー)の保険適用を承認
 ⑤ 先進医療A・Bの科学的評価結果を報告
 ⑥ イミフィンジ、デュピクセント、キイトルーダの最適使用推進ガイドラインの改訂等を報告
 ⑦ 公知申請とされた適応外薬(アネメトロ点滴静注液、ライアットMIBG-I131静注)の保険適用を報告
 ⑧ 薬価削除願が提出され、7月頃に経過措置に移行予定の16品目等を報告

 議題②は、5月13日付けで条件・期限付きで薬事承認された再生医療等製品「エレビジス点滴静注」の医療保険上の取扱いです。

 ■ 議題②の説明(PDF:1.4MB)

 前回5月14日の総会で保険適用に向けた審議がスタートしましたが、6月16日に本品の開発会社が新たな安全性情報に関する発表をしたことを踏まえ、「新たな安全性情報に関して更なる情報を収集した上で、医療保険上の取扱いについて議論する」との方針が示され、了承されました。

 厚労省は「(承認されている)歩行可能な患者における本品のベネフィット・リスクプロファイルに変更はない」としています。

 ■ 議題②の質疑(PDF:1MB)

 質疑で、支払側(健保連)は「今回の条件及び期限付き承認の対象となる歩行可能な患者とは病態が異なることは理解はしている。歩行可能な患者では、どの年齢もベネフィット・リスク比がポジティブとされていることも承知している」としながらも、「急性肝不全による死亡ということで、この製品との因果関係が必ずしも否定されていない」と指摘。「速やかに安全性の確認をお願いしたい」と述べました。

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 議題③では、「令和6年度調査結果(速報)概要」を承認しました。同調査結果は中医協の診療報酬調査専門組織である「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で5月22日に審議され、その後、6月13日からテーマごとの議論が進んでいます。

 ■ 議題③の質疑(PDF:1.3MB)

 この日の総会では、同分科会の尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)が調査結果の概要を説明。質疑で、中小病院を代表する立場の委員から「令和6年度の診療報酬改定で意図した結果が十分出ていないと思われる結果も多かった」との声がありました。

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 議題⑧では、令和6年12月から令和7年5月末までに薬価削除願が提出された16品目について、「薬価基準から削除して差し支えないと判断したことから、7月頃に経過措置に移行する予定」との報告がありました。

 ■ 議題⑧の説明(PDF:2.6MB)

 今回の経過措置期間は「令和8年3月末まで」としています。

 ■ 議題⑧の質疑(PDF:1MB)

 質疑で、診療側(日薬)は「医薬品への患者アクセスの確保、薬局・医療機関の経営への影響から、経過措置品については、最終ロットの使用期限を経過措置期間としていただきたい」と要望しました。

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 最後に、林正純委員(日本歯科医師会副会長)が退任の挨拶。

 ■ 林委員の退任挨拶(PDF:1MB)

 3期6年間を振り返り、「歯科を代表する委員として議論させていただいたことは、私にとって生涯の誇りとするところでございます」と謝意を伝えました。

 

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