在宅歯科医療の議論

桜田門_2021年4月12日

 厚生労働省は8月25日、中央社会保険医療協議会(中医協)の第486回総会をオンライン形式で開催し、在宅歯科医療について委員の意見を聴いた。【新井裕充】

 厚労省は同日の会合に「在宅(その1) 在宅歯科医療について」と題する28ページの資料を提示。最終ページに「課題と論点」を示した。

 論点は、「患者のニーズにあわせた歯科訪問診療を推進するために、近年における診療報酬改定の内容を踏まえ、どのような対応が考えられるか」としている。

 質疑で、診療側の林正純委員(日本歯科医師会常務理事)は「通院困難な患者への歯科医療提供体制をどのように構築するか、非常に重要な課題」とした上で、「歯科治療が必要な要介護高齢者の割合は64.3%あるにもかかわらず、実際に歯科治療を受けたのは2.4%で、要介護高齢者の多くの方に口腔健康管理が必要というデータがあるにもかかわらず、受診につながっていないことが大きな課題として捉えている」との認識を示した。
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 その原因について林委員は「歯科診療所は小規模で歯科医が1名という体制がほとんどの中で、外来を閉めて訪問に出ていくことは非常に負担が大きい」と説明。多職種連携の必要性に触れながら、「ICT等も活用し、情報を集めてから実施できると、訪問機材の選定等で効率が良いということも実感している。訪問診療に少しでも取り組みやすくなる仕組みを引き続き検討していただきたい」と要望した。

 一方、支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は「特に高齢者でニーズが増えているものの、それに応えられていないのが現状」と苦言を呈し、「在宅療養支援歯科診療所やかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所が各地域で積極的な役割を果たしていただくことが必要」と述べた。

 同じく支払側の佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)も「介護度の重度化予防のため歯科訪問診療のニーズに応えていくことが必要」と述べた。

 患者を代表する立場の間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、歯科訪問診療等を実施していない理由のうち「必要な機器・機材がないから」(7.1%)との回答に着目。「これはちょっと驚きで、ちょっと大きめのクーラーボックスぐらいの物を持っていけば何とかなる。それすらないのかしらって、疑問に思った」と述べた。

 こうした意見に対し、田村文誉専門委員(日本歯科大教授)は「要介護者はご自身で歯科にアクセスできる状況になく、老老介護のため、ご自身では動けないことがほとんど。そのため、実際に間に入ってくださる方、例えば、ケアマネージャーやソーシャルワーカーなどが歯科のニーズに気付いて、つないでいただかないと、この数は増えていかないのではないか」と現状を説明。訪問機材に関する指摘については、「1つの診療所のミニ版を在宅に持ち込む必要があり、基本的には大変な準備が必要」と理解を求めた。

 詳しくは以下のとおり。

【説明】在宅歯科医療について


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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
それでは続きまして、在宅歯科医療について、事務局より、ご説明をお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・宮原勇治歯科医療管理官
 はい。歯科医療管理官でございます。資料は「総-1-3」「在宅(その1) 在宅歯科医療について」でございます。
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 まず、「在宅歯科医療を取りまく状況」について、ご説明いたします。
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 3ページをお開きください。3ページ目に「歯科訪問診療を提供している歯科診療所の状況」ということで、ブルーが居宅、それから、オレンジ色の折れ線グラフ、ないし棒グラフが施設ということで、

 居宅については横ばい、ないし微増の状況。それから、施設については増加が顕著だという、増加している状況があるという状況でございます。
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 4ページ目につきましては、「歯科訪問診療等の実施状況」ということで、お示ししております。
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 5ページ目には「歯科訪問診療等を実施していない理由」ということで、その令和2年度にやりました特別調査の結果を紹介させていただいております。
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 6ページ目には「歯科訪問診療を実施したきっかけ」について、お示ししております。

 「自院に通院歴のある患者・家族等からの依頼」や、ケアマネージャー、介護保険施設からの紹介が主なものとなっております。
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 7ページ目には「歯科訪問診療等を受けたことによる患者の変化」ということで、「口腔衛生状態の改善」のみならず、「適切な義歯の使用」ですとか、「口腔機能の改善」が見られたというグラフでございます。
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 8ページ目は、これは8月4日の総会の資料「歯科医療(その1)」のご紹介をさせていただきましたが、「要介護者の口腔状態と歯科治療の必要性」ということで、8ページ、9ページ目にご紹介させていただいております。
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 10ページ目は「在宅療養支援歯科診療所」というものを設けておりまして、その役割を図で示したものが10ページ目でございます。
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 11ページ目には、在宅療養支援歯科診療所1と2というふうに区分けをしておりますが、その施設基準の抜粋でございますが、主なものを紹介させていただいております。
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 12ページ目に、「在宅療養支援歯科診療所の届出医療機関数の年次推移」ということで、平成20年度以降、

 また、平成30年度(以降)は在宅療養支援歯科診療所1と2というふうに区分けをして、その届出数を年次推移で示したものでございます。
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 それから、これらの診療所の診療報酬上の評価ということで、同じ12ページ目の下段にマトリックスで示しております。
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 13ページ目には、これも8月4日の中医協の資料「歯科医療(その1)」で一度お示ししましたが、かかりつけ歯科医の機能強化ということで、機能強化型歯科診療所の役割というものを示しております。

 ここでも在宅歯科医療推進というところの項目、ございますが、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所は、ライフステージに応じた口腔機能の管理等を推進するという観点で、当然、う蝕や歯周病の継続管理も行っていただくその中で在宅医療についても関わっていただくということで、在宅療養支援歯科診療所の施設基準とは峻別を図っているものでございます。
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 14ページ目に「在宅療養支援歯科診療所1の届出を行っていない理由」をお示ししております。
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 また、15ページ目には、在宅療養支援歯科診療所1・2、すなわち、在宅療養支援歯科診療所そのものの届出を行っていない理由ということで、主なもの、その調査結果を示しております。
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 16ページ目には「歯科訪問診療における新型コロナウイルス感染拡大の影響」ということで、これも令和2年度の特別調査の結果を紹介させていただいております。

 「使用する感染防護具を増やした」あるいは、「予約患者数を減らした」「歯科訪問診療をとりやめた」といった影響があったということでございます。
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 17ページ目以降は「在宅歯科医療の診療報酬上の評価」ということで、
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 18ページ目でございますが、平成26年度以降の主な評価上の対応の変遷を示しております。
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 19ページ目には「歯科訪問診療料の算定状況の推移」ということで、ここの表にありますように、歯科の訪問診療につきましては、同一建物に居住する患者数で歯科訪問診療料1・2・3というふうに区分けをし、

 「20分以上」「20分未満」ということで、また、2段階の評価を行っている。

 合計6つの区分で評価を行っているというものでございまして、
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 その算定状況の年次推移を下段のほうにグラフで示しております。
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 20ページ目には「在宅歯科医療の推進」ということで、歯科訪問診療を算定した患者である患者に対して、歯科疾患の管理ということで「歯科疾患在宅療養管理料」というものがございますが、

 令和2年度の診療報酬改定で充実を図っているという、その取組を紹介しております。
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 それから、21ページ目には、多職種チームとの連携を踏まえた口腔機能の管理の推進ということで、

 栄養サポートチームの連携の部分を見直しを行っているということで、その紹介をさせていただいているということでございます。

 それから、歯科疾患在宅療養管理料の算定回数については、同じ21ページ目の下、
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 それから、どういった管理計画を行うのかという、そのポイントについて示しているものでございます。
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 22ページ目には、今度は歯科衛生士さんの話になりますが、訪問歯科衛生指導料というものがございまして、その見直しの、平成30年で行った内容を紹介させていただいております。

 これまで複雑・簡単なもの、というふうに区分けをしていたものが、

 単一建物診療患者が1人の場合
 2人から9人以下の場合、
 それ以外の場合、

 というような形で、3段階で評価をしたというものでございます。
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 23ページ目には、それぞれの算定状況がどのようになったかっていうものを、平成30年度以降、年次推移で示したものでございます。

 このうち、建物居住者(ママ)が「1人」 「2人~9人」というものが少なく、

 「1及び2以外」の、緑色の部分でございますが、その算定回数が85%程度を占める、多くを占めるというような状況でございます。
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 24ページ目につきましては、在宅等で療養を行っている患者に対する歯科衛生士が専門的な口腔衛生処置を行った場合の評価ということで、その30年度改定での、その対応を紹介させていただいておりまして、その算定回数を下段に示しております。
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 それから、25ページ目には、平成28年度の診療報酬改定で行った内容について紹介をさせていただいております。

 口腔機能が低下した摂食機能障害を有する患者さんに対する口腔機能の管理の包括的な評価を新設しておりまして、その算定回数、その内容について、紹介させていただいております。
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 26ページ目には、平成30年度の診療報酬改定において、通院困難な小児に対する歯科訪問診療を充実させる観点から、この口腔リハビリテーション指導管理料の内容を紹介し、

 また、算定回数を下段に示しております。
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 それから、27ページ目は、多職種連携を推進する観点から、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料において栄養サポートチーム等連携加算を設定しておりまして、その紹介。

 令和2年度における診療報酬上の見直し、対応ということで、紹介させていただいております。
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 28ページ目に現状、課題および論点ということで、

  患者のニーズにあわせた歯科訪問診療を推進するために、
  近年における診療報酬改定の内容を踏まえ、
  どのような対応が考えられるか。

 ということで、さまざまな意見を頂戴できればと考えております。以上でございます。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 どうもありがとうございました。

 (中略)

【質疑】在宅歯科医療について意見や質問

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 本日は、次期診療報酬改定に向けた議論のキックオフということですので、改定に向けて検討すべき論点等につきまして、さまざまなご意見を頂きたいと思っております。

 それでは、ただいまの説明も踏まえ、全体を通じて何かご意見がありましたら、お願いいたします。

 (中略)

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 それでは林委員、お願いいたします。
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〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。「総-1-3」の資料に沿って、意見と要望を発言いたします。
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 まず、28ページの現状と課題に、「歯科訪問診療を実施している歯科診療所数は微増」と記載されてございますが、現状、歯科診療所の2割に満たず都道府県格差も確認されております。

 地域の実情にあわせて超高齢社会における通院困難な患者への歯科医療提供体制をどのように構築するか、非常に重要な課題として、日本歯科医師会としても取り組んでまいりました。
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 8ページ、9ページの資料にありますように、歯科治療が必要な要介護高齢者の割合は64.3%あるにもかかわらず、実際に歯科治療を受けたのは2.4%で、要介護高齢者の多くの方に口腔健康管理が必要というデータがあるにもかかわらず、受診につながっていないことが大きな課題として捉えております。
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 また、歯科訪問診療をしていない理由といたしまして、5ページにありますように、「依頼がない」という回答が最も多く、
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 15ページですが、歯援診の届出を行っていない理由としても算定係数が要件を下回っていることや、他の保険医療機関や多職種からの依頼がないということが大きな理由になっております。

 多職種の連携が重要だということは言われておりまして、介護保険改定でも方策がとられておりますが、まだまだ必要な方への歯科医療が幅広い歯科医療機関につながっていないと感じております。

 連携の仕組みは重視しているものの、現状、自分の患者・家族からのニーズ、依頼がほとんどという状況でございます。

 歯援診も平成30年に1と2に整理いたしましたが、より強化するという意味での歯援診1は増加傾向にありますが、歯援診2は減少していると、直近のデータから把握しております。この理由も明らかで、必要な施設基準の工夫や対策が重要と感じております。

 また、「歯科医療(その1)」の資料も加味しますと、歯科診療所は小規模で歯科医が1名という体制がほとんどの中で、外来を閉めて訪問に出ていくか、ということは非常に負担が大きく、できるだけ効率的に実施できることや、これまで訪問を実施できていなかった診療所が実施しようと思うような制度にしていく必要があると思います。

 例えば、訪問の前に患者の同意を得て、ICT等も活用し、情報を集めてから実施できると、訪問機材の選定等で効率が良いということも実感しております。このように、訪問診療に少しでも取り組みやすくなる仕組みを引き続き検討していただきたく、要望いたします。
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 16ページのコロナウイルス感染拡大の影響でございますが、一部は結果検証からも把握できますが、検証調査の時期は2020年10月時点であり、その後の影響も留意する必要があると思います。

 歯科訪問診療の算定は他科に比べても令和2年はかなり減少しており、外部からの受け入れを抑制する動きも強かったと感じております。

 さらに、歯科では20分という診療時間の制限があることもコロナ禍では考慮していただき、必要な医療を的確に短時間で行うことの措置も必要ではないかと考えております。
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 最後に、21ページの歯科疾患在宅療養管理料ですが、在宅療養者への管理となっており、口腔機能低下の要素等も含まれてはおりますが、本来は切り離すことの検討も必要であり、通院困難者への計画的な長期継続管理等の評価も必要と考えております。

 引き続き、細部の議論も含めて、より多くのかかりつけ歯科医が効率よく実施できる制度になるよう、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。以上でございます。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
ありがとうございました。続きまして、有澤委員、お願いいたします。
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〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 (前略) 

 医療的ケア児への調剤や服薬支援は複雑になることが多く、医療的ケア児を持つ親が適切な服薬を維持していくことは非常に負担となっているところです。

 薬剤師の介入と支援は医療的ケア児の親の負担を軽減できるなど、非常に重要なものと理解をしております。

 最後に、歯科医師と薬剤師、歯科診療所と薬局の連携推進も重要であります。

 例えば、在宅訪問時に、薬剤師が、チェックシートやチェックリストなどを活用して口腔チェックを行い、必要に応じて歯科医への受診勧奨や情報提供等を行うなど、歯薬連携の取組を推進することも必要と考えます。以上です。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。

 (中略)

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 続きまして安藤委員、お願いいたします。
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〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
 はい、ありがとうございます。私のほうからも全般的に意見を述べさせていただければというふうに思います。

 まず、在宅医療は地域包括ケアシステムを構築する不可欠な要素であり、高齢化の進展や地域医療構想を進展させることによる病床の機能分化、連携により、今後さらに在宅医療の需要が増加することが見込まれる中、在宅医療を必要とする患者に対して、効果的、そして効率的で質の高い医療を提供するための体制の確保が引き続き求められているものであるというふうに認識しております。

 (中略)

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 また、在宅歯科医療につきましては、資料8ページの調査等を踏まえますと、特に高齢者でニーズが増えているものの、それに応えられていないというのが現状ではないかと思っております。
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 一方で、資料5ページの調査によりますと、歯科訪問診療を実施していない理由として、依頼がないためという割合が特に、在宅療養支援歯科診療所で多くなっております。

 両者を踏まえまして、供給が十分かという論点とともに、需要と供給が適切にマッチしていないという課題があり、その課題解決といった意味でも特に在宅療養支援歯科診療所やかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所が各地域で積極的な役割を果たしていただくことが必要であるというふうに考えております。以上です。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。続きまして佐保委員、お願いいたします。
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〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 はい、ありがとうございます。私のほうから質問と意見と、まとめて述べたいと思います。在宅医療についてですが、50ページ。 国民の約3割が最期を迎える時に生活したい場所として自宅を希望されています。新型コロナ禍で自宅療養者が増加する現状では、在宅医療の重要性がより増しているというふうに感じております。

 (中略)

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 「総-1-3」、在宅歯科診療ですが、歯科訪問診療を実施している歯科診療所は「微増傾向」というふうに書いてありますが、それは都市部なのでしょうか、それとも地方なのでしょうか。

 地方では、歯科診療所に行きたくても移動手段の不便さや身体的に移動困難。なかなか行けないという高齢者も少なくないというふうに思われますので、介護度の重度化予防のためにもそうした地域での歯科訪問診療のニーズに応えていくことが必要ではないかというふうに考えております。私からは以上です。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございます。いくつか質問を頂きましたけれども、あとでまとめて事務局より回答をお願いいたします。続きまして間宮委員、お願いいたします。
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〇間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 はい、ありがとうございます。私からはですね、在宅歯科について、資料を見て、感想みたいなこともあり、あと意見もあるんですけども、歯科訪問診療を実施してない理由っていうのはこれ、5ページですね、(5ページ)の所を見ると、
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 「依頼がない」っていうことで、括弧書きとして、「ニーズがあれば対応は可能」という所が一番多いのですけれども、これは前提として、母数がものすごく少ないので、これが全体に言えることなのかどうなのか、ちょっとよく分からないことではありますけれども。

 在宅でやってくれるっていうことを患者はまだまだこう、認知度としては低いそうなんですよね。やり方、どういうふうに頼んでいいか分からないとかってこともあるみたいなので、そういったこともなくすようにですね、「在宅で診療しますよ」ってことを広く周知できる方策を考えていただきたい、というのが1つ。

 それから、ここの実施していない理由の中で、人員が足りないとかですね、あと、時間が取れないっていうふうに言っているその在宅療養支援歯科診療所のデータとして、そういうふうに言っている所が4分の1ぐらいいるわけですよね。

 手を挙げてるのに、やりますよって手を挙げているのに、「人員が確保できない」とか「時間がない」とかって言うのって、どうなんだろうなっていうふうに思いました。

 さらにもっと驚いたのは、7.1%がですね、必要な機材とか機器がないって言うんですよね。

 これはちょっと驚きで、訪問で使う機器って、私もちょっと1回見たことあるんですけども、ちょっと大きめのクーラーボックスぐらいの大きさの物を持っていけば何とかなるっていうようなね、ことも見たこともあるんですけれども、それすらないのかしらっていうのは、ちょっと疑問に思いました。

 これはやっぱり、歯科治療を求めて、今、必要なその方っていうのは、たくさんいるっていうことなので、対応、これをね、できるようにしていただきたいというふうに思います。

 それと、小児へのですね、訪問の歯科診療っていうのも大事で、その1つとしてですね、重度の障害児の方々への、その訪問治療っていうのも大事なんですけど、児童養護施設に入っている、入所しているお子さんたちに対する、その訪問歯科診療っていうのも大事なんじゃないかなあっていうふうに思っています。

 全体、全体って言うか、児童養護施設に入っておられる、そのお子さんたちっていうのは虐待を受けていたりとかですね、家の環境が悪いっていうようなことで、そういう、その施設に入っているわけですけれども、その場合に、その口腔状態が悪いというふうにも聞きますので、そのお子さんたち対象に訪問治療っていうのをできるようにしていただけたらいいんじゃないかなって思います。

 都市部であれば、もちろん、その職員の方はね、送っていくってこと、連れて行くってこと、あるかもしれませんけども、地方ですとか山間部なんかにある児童養護施設なんかはいちいち職員の方がね、車で連れて行くっていうのはなかなか難しいですから、そういう意味でも、その訪問っていうのを充実させていっていただけたらいいかなっていうふうに思います。以上です。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。それでは、次に幸野委員、お願いいたします。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。皆さまおっしゃったとおり、総論としては、やはり高齢化に伴って、あるいは、入院医療の機能分化、それから、地域包括ケアシステムの進展が進むにつれて、やっぱり在宅医療の需要っていうのは大きくなると思うんですが、やはり量の確保と質の確保が一番重要だというふうに思っています。

 (中略)

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 訪問歯科については、先ほど間宮委員がご指摘されたとおりで、これ、在宅の体制って、あんまり確立されてないんじゃないかなあというのが印象です。

 訪問歯科については、地域においては、やはり在支診、在支診ですね。在支診とか、「か強診」が中心になって、在宅をやっていくべきだと思うんですが、
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 11ページに要件が示されているんですが、在宅に関する要件が在支診でも年間で15回以上。在支診2では、年間10回以上が要件になっている。

 年間10とか15ということは、月に1回ぐらいやってれば在支診になれるというのはこれは基準としてはあまりにも緩いんじゃないか。

 「か強診」についても、在宅の要件、5回以上となっているんですが、これは2カ月に1回も行かなくても「か強診」となってるっていうのは、これ、非常にこう、在宅に関する基準が緩いんじゃないかというふうなことで、これについて見直しを行っていく必要があるんじゃないかというふうに思います。それから、歯科については、そういうことです。

 (中略)

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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。

 (中略)

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 林委員、お願いいたします。
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〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。先ほど、歯科訪問診療を実施していない理由っていうところでの機材の話がございましたので、ちょっと補足させていただきます。

 機材に関しましては、歯科訪問診療を実施するにあたりまして、特にポータブルユニットとか、ポータブルのレントゲン、こういったフルセットを必ずしも必要というわけではなくて、むしろ携帯型のエンジンとか、そういった簡便な機器での対応っていうのが多い実例がございます。

 必要な時にポータブルユニット、フルセット、そういったものをポータブルレントゲンも含めて地域の中で貸し出しをしながら使用しているということもございます。常時、そのあたりで、保有しているという、そういった意味合いでの件数は少ないと認識しております。

 それから、もう1点。施設基準の件ではございますが、多くのかかりつけ歯科医が地域の実情に応じて在宅歯科医療を推進するというところ、そういったところには重きを置いております。

 多職種連携によって依頼を推進するということ、こういったものは重要視しておりますが、実際、なかなか依頼がないんだという回答も多くて、そういった意味合いで、件数が少なくなってしまっているというところでございます。

 そのあたりも今後、推進していく方向で検討はしたいとは思っております。

 また、補足等、田村専門委員のほうからも後ほど、ちょっとご発言させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございます。田村専門委員、すいません、委員の方々の追加のコメントのあとで、ご発言をお願いいたします。幸野委員、お願いいたします。

 (中略)

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 それでは、お待たせいたしました。田村専門委員、お願いいたします。
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〇田村文誉専門委員(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック口腔リハビリテーション科教授)
 はい、ありがとうございます。私からは臨床現場の立場から、大きく3点について意見を述べさせていただきます。
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 5ページ目の所ですけれども、在宅療養支援歯科診療所のほうで、訪問診療の依頼がないというのが高率にあるということについてなんですが、現場ではですね、特定の医療機関に依頼が集中しているということもあるのではないかと感じています。

 例えば、「この先生は引き受けてくれる」となりますと、やはり紹介しやすく、そこにばかり集中するといったことがあり、そのため、訪問を受け入れる準備体制のあるほかの医療機関では依頼がなかなか来ないということも考えられるというふうに感じております。

 また、8ページ目、歯科治療が必要な要介護高齢者が6割いらっしゃるのに、実際、受けているのが2割とわずかで、2パーセントとわずかであるという理由なんですけれども。
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 これは歯科医の訪問の依頼がないということも関連いたしますが、要介護者の方というのはご自身で歯科にアクセスできる状況にありません。また、ご家族も老老介護のため、同様に、ご自身では動けないことがほとんどかと思います。

 そうしますと、実際に間に入ってくださる方、例えば、ケアマネージャーやソーシャルワーカーなどがですね、歯科のニーズに気付いていただいて、つないでいただかないと、この数は増えていかないのではないかというふうに感じております。
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 そして、16ページ目ですけれども、新型コロナウイルス感染拡大のですね、訪問診療への影響についてです。

 訪問診療を受けている歯科の患者さんの多くもですね、身体状況は大変厳しく、歯科においても呼吸器感染リスクの高い医療的ケア児の訪問歯科診療、大変取り組んできております。特に、日本障害者歯科学会、日本小児歯科学会等の関連学会の会員を中心に推進しているところです。

 また、訪問では全身疾患の悪化した高齢者、がんの末期患者さん、さらに小児、高齢者も含めて、看取りの患者さんもいらっしゃり、時間的に待ったなしの状況にあります。そのような方々が万一、感染したとして、診療の間隔を空ける、診療を控えていてはですね、本人の残された時間に間に合わないことにもなると危惧しております。

 これまでは患者さんやご家族が感染者や濃厚接触者になったと連絡を受けた場合、電話対応等を行い、対面での診療は2週間程度待ってもらうなどの対応をとることが多かったわけですけれども、

 しかしながら、デルタ株が蔓延している現在の状況では、大変変わってきておりますので、これだけ多くの方が感染してくるとなりますと、時間を空けるという態勢でよいのか、それよりも感染者の方にも診療し続けるという態勢に切り替えないといけないのではないかと考えております。

 その場合、飛沫感染のリスクのある新型コロナウイルスでは、これまでの標準予防策だけでは不十分であり、さらに訪問診療になりますと、現地ではですね、外来診療で使っています飛沫物を吸い込むバキュームといった器械がございませんので、大変、そういったところに神経を使うということがあったり、準備、着替えとか汚染物の処理、診療所に戻ってからの滅菌・消毒処置など、平時の比ではないほどの負担となっております。

 「訪問の機材が簡単である」というご指摘もございましたが、1つの診療所のミニ版を在宅に持ち込む必要があり、基本的には大変な準備が必要です。

 外来とは全く異なる状況ということで、今後、歯科の方向性として積極的に診療していくべきという分岐点に来ていると考えておりますが、現状では、このようなさまざまな課題があると感じております。以上になります。ありがとうございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。

【質疑】厚労省保険局医療課・宮原勇治歯科医療管理官の回答

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 今日はキックオフなんですけど、多くの先生方から非常に貴重なご意見をたくさん頂きました。

 何人かの先生からご質問を頂いておりますので、現時点でお答えできる範囲で、ご回答を事務局より、お願いいたします。

 (中略)

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〇厚労省保険局医療課・宮原勇治歯科医療管理官
 歯科のほうで、3ページ目等の歯科訪問診療の実施状況の都道府県の差異等はあるのかというご質問もあったかと思います。

 ▼ 佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)が次のように質問した。
 「歯科訪問診療を実施している歯科診療所は『微増傾向』というふうに書いてありますが、
 それは都市部なのでしょうか、それとも地方なのでしょうか」

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.
 具体的に、1診療所あたりの実施件数については、ちょっとこれはデータを確認しないといけないんですが、

 実は医政局のほうの検討会になりますが、「歯科医療提供体制等に関する検討会」というのをやってございまして、その中で、実際に歯科訪問診療を算定した患者さんの数と、それから、そこの各都道府県の人口で割った、その各都道府県の人口当たりの、実際の歯科訪問診療の算定件数の割合というものを出しておりまして、

 例えば、これは全国平均が0.4%。この数自体、非常に少ないというようなご指摘もありますが、最も高い県で0.8%、最も低い県で0.1%ということで、約8倍の開きがあると。

 それから、特に75歳以上になると、この差が若干開きまして、全国平均が2.5%で、最も高い県が4.9%、低い県が0.5% ということで、少ない割合ながらも、都道府県の差異は見られているという状況がございます。以上でございます。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。ほかに特にご意見等ございませんようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。

 今後、事務局におきまして、本日、頂いたご意見、それから情報提供等のご要望も踏まえて、対応していただくように、お願いいたします。ありがとうございます。

 (以下略)

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