令和6年度の診療報酬改定に向け、厚生労働省は6月14日の中医協総会に「働き方改革の推進について(その1)」と題する資料を示し、委員の意見を聴きました。【新井裕充】
資料「総-5」は97ページ。厚労省担当者の説明はすでにお伝えしました。こちらをご覧ください。
■ 2023年6月14日の中医協総会(働き方改革)
http://chuikyo.news/20230614-sokai/
次期改定に向けた審議はこのようなスケジュールで進んでいます。
医療DXは4月26日、医療計画は5月17日に審議。そして今回が働き方改革です。医療DXと働き方改革は「その1」としていますので、「その2」があるのでしょうか。次回、振り返りができるように整理しておきます。発言順に、主なキーワードで分別しました。(安心してください、ChatGPT は使っていません)
Contents
1.今後の検討に向けて
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
働き方改革についての第1回目の審議ですので、本日は論点について、総論として申し上げます。
2024年4月から医師の働き方改革の制度がスタートします。働き方改革の目的は、勤務医の健康を守ることが第一義ではありますが、同時に、この取組により地域医療の継続性や、医療の安全性と質の向上が損なわれないようにしなければいけません。
勤務医と国民の両方の健康を守るべきです。すなわち、医師の働き方改革を通じて勤務医の健康を確保し、診療に従事できることは、医師個人だけでなく、我が国の安心・安全な医療提供体制を確保するためにも極めて重要となります。
この考え方のもと、改革を推進するために、これまで診療報酬や基金等によるさまざまな後押しがなされてきていますが、医療従事者の働き方改革は一朝一夕にできるものではなく、さらなる強力な支援が必須です。
今回、資料4ページに「時間外労働規制の施行について(中長期の見通し)」という資料が示されました。
これを見てわかりますように、働き方改革はまだ始まったばかりで、この先も十数年にわたって継続的に行われるものであり、これからが本番と言えます。したがって、当然ながら、これまで適切に評価されてきた個々の取組を維持・継続しなければ働き方改革は実現できるものではありません。
さらに加えて、医療従事者が減少しております。医療機関は、公定価格で運営するため、賃金上昇を価格に転嫁できません。人材確保のための財源が必要であることを強調させていただきます。
私からは以上ですが、資料95、96ページに介護ロボットに関する介護給付費分科会の資料が提出されておりますが、これについては、引き続き江澤委員からコメントさせていただきます。
また、看護も関係しますので、小塩会長におかれましては、後ほど専門委員からも意見をお聴きいただくことをご検討いただければと思います。
(中略)
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
今回は第1回目ということですので総論と各論について分けて発言をしたいと思います。
資料の3ページにもございますとおり、適切な医療のかかり方や地域医療構想に基づく医療提供体制の見直しと働き方改革というのは表裏一体の関係にあるものというふうに認識しております。
今後の医療ニーズの変化や労働力人口の減少を見据え、必要な医療を効率的・効果的に提供できる体制を整備していくことは言うまでもなく非常に重要なことでございます。
外来も入院も、機能分化・強化や連携を推進することが勤務医の負担軽減にも寄与するものと考えております。
こうした共通認識を持った上で、働き方改革について議論を進めていくべきだということは改めてコメントさせていただきます。
2.介護ロボット等による生産性向上
〇江澤和彦委員(日本医師会常任理事)
95ページと96ページの資料についてコメントさせていただきます。
これまでの知見では、移乗支援の装着型・非装着型の使用は、移動・移乗・体位変換にかかる時間が逆に増加します。
一方で、膀胱内の残尿量を感知する排泄支援機器はトイレでの排せつケアの有効性や、あるいは介護業務支援におけるスマートフォンのタッチ入力、音声入力、あるいはインカム機能活用は記録であったり文書作成、連絡調整の業務時間の効率化も示されています。
これらにつきまして、実証事業も継続的に行われているところですが、全体的には検証事例も少なく、まだまだエビデンスの構築に至っていないのが現実です。
実際に介護報酬では、特別養護老人ホームにおいて見守り機器導入による夜間人員配置の緩和要件が設定されておりますが、ほとんど算定されておりません。
したがいまして、医療の現場で介護ロボットを積極的に活用することは、現時点においてはまだ時期尚早であり、エビデンスの構築が必要と判断しております。
今後、2025年から40年にかけて労働人口の2割の減少が見込まれる中、ケアの質を確保しつつ業務を効率化することは、もう喫緊の課題であり、今後の実証の取組に期待しているところでございます。以上でございます。
(中略)
〇吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)
(前略)見守り機器の件、介護の所の95ページにあります、この見守り機器の件、夜間の見守りについてのことですけれども、介護領域におけるこの見守り機器を活用した夜間の見守りの実証結果というものが示されておりますけれども、
医療、また特に急性期医療などにおきましては、患者さんのほうが医療機器を使用していたりですとか、点滴の治療をしているとか、非常に患者さんが、そういった患者が多い。
で、安全に治療が実施されるようにするためには、ナースのほうは昼夜を問わずにですね、頻繁に観察、処置、ケアというものを行っておりまして、この見守り機器によってのみスタッフの代替とするということは非常に困難であるというふうに考えます。
患者に対して安全な医療を提供するためには介護現場と同じように考えることはできないというふうに思いますので、こちらに関しましては慎重に検討すべきというふうに考えます。
3.宿日直許可
〇島弘志委員(日本病院会副会長)
51ページ、52ページに宿日直許可の資料が入っておりますが、令和6年4月に行われる医師の時間外労働時間の上限規制の適用に向けて、現場では宿日直許可を取得し、地域医療を維持しようとする動きがあります。
地域医療の維持は重要ですが、宿日直許可はあくまで通常の勤務時間の拘束から完全に解放されたあとのものであることなどの要件を満たしたものである必要があると考えられます。
労働基準監督署において適切に宿日直許可が行われているものと思いますが、地域医療の維持のために、業務負荷が大きく、本来、宿日直許可を取得できないような医師にも宿日直が許可されるようなことが常態化してしまえば医師の働き方改革に逆行してしまうことになりかねません。
資料には、常時勤務の医師の配置が施設基準で求められている治療室が挙げられていますが、例えば集中治療室は24時間の治療が必要で、夜間において宿日直許可を得て宿日直の医師のみが勤務することは想定できないと考えます。
一方で、一部の小規模なNICUやMFICUにおいては、その業務量や担当する医師数の実態などから宿日直で対応することも可能と考えられる治療室があることも考慮する必要があると思います。
そうした実態も踏まえ、令和6年度診療報酬改定に向けては、それぞれの治療室の実態に応じて、治療室の施設基準についても、宿日直許可との関係が明確となるよう見直していくことが必要と考えますが、事務局いかがでしょうか。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい。今、島委員からご質問がありましたけど、事務局いかがでしょうか。
〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
はい。医療課長でございます。ご指摘ありがとうございました。今のご指摘について特に島委員のご指摘につきましてでございますが、現在の制度、今日の資料でもお示ししておりますけれども、現在の制度におきましては、宿日直許可を得られるのか、そしてまた施設基準を満たすのかどうかということに関しては、実態に応じて個別に判断されるものというふうに承知をしております。
先ほどご指摘ありました、具体的には特定集中治療室等の施設基準におきましては、集中治療を要する患者さんが入室されているということで、24時間の常時勤務を求めております。
こうした趣旨を踏まえまして、当該施設の診療の実態、医師の勤務実態等から施設基準を満たしているかどうかが判断されるものというふうに認識しております。
その中で今回、島委員より、宿日直許可と、それから治療室における医師の配置に係る施設基準を整理すべきというふうなご指摘だったというふうに受け止めております。
こちらは今後、令和6年度の、次の診療報酬改定に向けまして、それぞれの治療室に求められている役割や、それぞれの治療室で実施されている診療の実態ですとか、それから医師の勤務の実態、こういったものを踏まえまして、
治療室の施設基準等の見直しも含めまして、宿日直許可との関係性については中医協で、私ども資料を用意して、ご議論いただきたいというふうに考えているところであります。以上です。
(中略)
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
(前略)医療機関における宿日直について二次救急病院などでも許可を目指すところが増えておりますが、これによる影響についてどのように考えているのか、事務局の見解をお伺いしたいです。
(中略)
〇厚労省労働基準局医療労働企画官・坪井宏徳氏
労働基準局でございます。宿日直に関しまして二次救急の医療機関についても許可を取得している動きがあるということについてでございます。
宿日直許可につきましては、こちらの資料にもございますけれども、その許可申請の対象となる医師の勤務対応がその要件を満たしていれば許可されるということでございますので、
それが救急告示病院なのかどうかと、そういった医療機関の機能とは直接的には関係ない仕組みといういうことになっておりまして、
その医師のですね、勤務対応の実態がわかる資料を提出していただいた上で、許可の要件を満たす実態があるかどうかを個別に判断させていただいているということでございます。
その結果としてですね、二次救急で働いている医師の方についても、そういう実態がある所については、必要な許可を申請していただければと思いますし、実際、そういう実態であれば許可がされると、そういうことでございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
ありがとうございます。安藤委員、今、事務局から回答がありましたけれども、よろしいでしょうか。
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
はい、ありがとうございました。
(中略)
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
(前略)先ほどから出てございました宿日直許可についてコメントいたします。
53ページを拝見いたしますと、重症度の高い患者が入院しているICUなどは専任の医師が治療室内で常時勤務しているということが高い診療報酬の前提となっております。
それにもかかわらず、一部のICU等においては宿日直で対応している可能性があるということに関しては、少し驚きを覚えざるを得ません。重症患者に対し、24時間体制で医療を提供するという前提が崩れているとさえ考えられます。
ICUなどで宿日直はあり得ないということを明確化するとともに、そもそも診療報酬において宿日直で対応できる業務を整理することも検討すべきであります。
これは島委員ならびに医療課長からもご発言がありましたとおりで、来年度以降も宿日直の実態を注視し、各治療室における業務が施設基準に基づいて実施されているのか確認をしていく必要があると考えております。
4.常勤配置に係る要件等の緩和
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
49ページ、50ページの多様な勤務の形態は、医師の働き方改革に非常に有効な手段の1つではないかと思っています。
49ページにも示されていますように、これまで平成30年、令和2年度にそれぞれ特に多様な勤務ということで週3日以上、週24時間以上の勤務の合わせ技で常勤換算をするということがあって、一定程度、有効ではあったかと思いますが、
今、特に女性の医師の働き方改革で見ると、さらに細かい体制が必要で、もう少しきめ細かい体制が必要ではないかという感じを持っています。
特に私どもも県内で大学病院等とお話ししますと、勤務をさせてあげたいんだけども、結局、その常勤換算にならない勤務形態が多くなってくると、結局、その穴埋めをする常勤医が必要になってくるということで、これをもう少し緩めてもらえないかという声を多数聞いておりますので、この辺をどこまで許せるか。
当然、常勤、本当の常勤でなければ責任問題等々がありますので、全てがこの合わせ技の、いわゆる「みなし常勤」では無理なことは重々承知していますので、何割とか何人とか、そういう制限は必要だと思いますけども、もう少し柔軟な働き方ができる体制をさらに進めていくことも必要ではないかということを1点、申し上げたいと思います。
5.特定看護師の評価
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
62ページにありますように、特定行為研修の修了者の活用ということですけれども、当初、確か特定行為研修は10万人を目指したいということを言ってましたけど、まだまだ今、1万人に満たない状況です。
ただ、特定行為研修を受けた方で、特に急性期だけではなくて、むしろ慢性期とか在宅とか、こういうところで非常に特定行為研修を受けた方々が活躍する場があるし、それがまた24時間体制の医師の働き方改革、あるいは特定看護の、にも、つながるんではないかということで、さらに、ここを広げていく必要があるんではないか。
これは鶏が先か卵が先かってことがありますけども、そういうことが条件になれば、さらにそれを活用しようということで、その勤務形態、あるいは給与体系も良くなる。そして、そうすると特定看護師を受ける看護師が増えるということで、もう少し呼び水になるような体制も必要ではないかということが2点目です。
(中略)
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
(前略)先ほど池端委員のほうからもご指摘あったんですけれども、62ページにあります特定行為研修の修了者数、まだまだ伸びが足らないなと思っております。
この医師の働き方改革につきましては、この特定行為研修の修了者を増やすということも非常に有効だと思いますので、何らかのかたちでですね、研修を受けたくなるようなインセンティブのようなものも考えていただければなというふうに思います。
6.病棟薬剤師の評価
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
71ページから73ページまでにありますように、特に医師の働き方改革で一番有効な手段の1つとして薬剤師の活用ということがある。
ただ、何度もここの場でも申し上げたことあるかと思いますけども、病棟薬剤師に対しては非常にニーズがあっても働き手がない。これはなぜかと言うと、やはり地域の大型チェーン店の薬局の薬剤師と病棟勤務の薬剤師の給与格差があまりにも、10万円以上あるということがある。
これはもちろん、その病院の体制にもよるかもしれませんけれども、ここをもう少し何とかできる体制、診療報酬上、見ていくことができないか。そこが改善できない限り、いくら薬剤師が必要と思っても応募がないということ。応募があっても逆にどんどん流れてしまうっていうような現在の病院の薬剤師の状況ではないかと思いますので、ここに対しても何らかの診療報酬上でできる手当も必要ではないかということが3点目です。
(中略)
〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
まずは医師の負担軽減策についてですけども、29枚目や30枚目に実施状況が示されており、
「薬剤師による投薬に係る患者への説明」や「患者の服薬状況、副作用等に関する情報収集と医師への情報提供」、「処方提案または服薬計画等の提案」等の実施割合が高く、薬剤師が医師の負担軽減にしっかりと貢献しているものと理解しております。
また、77枚目の医師調査では、病棟薬剤師の配置により8割以上の医師が負担軽減や医療の質向上に効果があると回答いただいており、病院薬剤師の配置はタスクシフト・シェアにおいて大きな効果があり、現場からの期待も高いものと受け止めております。
一方で、78枚目のように病棟業務実施加算を届け出ている病院数は多くないですが、
77枚目の右のグラフにあるように、病棟業務実施加算を別途算定できない病棟であっても、薬剤師はさまざまな病棟薬剤業務を実施しており、加算の算定の有無にかかわらず、医療機関の中で広く必要とされる業務を実施していると言えるかと思われます。
次回改定に向けた病院薬剤師の具体的な議論においては、このような病棟での業務の実施も踏まえて、医療機関の状況などに応じた何かしらの配慮や推進策が検討できるよう準備をお願いできればと思っております。
また、病棟薬剤業務実施加算は病床規模が多くなるにつれ、届出率が高い傾向にあり、病床規模の小さな病院では届出が困難な傾向となっており、
算定できない最大の理由として、先ほどありましたけども、病院薬剤師の確保ができず、対象病棟の一部にしか専任薬剤師を配置できないことが一番多く挙げられている状況にあります。
病院薬剤師の確保に関する議論の場は中医協ではないですが、薬剤師の確保に関する取組は非常に重要な課題と考えています。
厚労省においても、自治体や関係団体とともに、地域での検討を進めていく動きが本格的に動き出しており、第8次医療計画の作成指針でも薬剤師確保の取組に関して言及されている中、つい先日、都道府県での確保策を促すために、薬剤師確保計画ガイドラインも厚労省より発出されています。
また、18枚目にあるように、基金の活用方法として薬剤師確保に関しての明示もされており、これらの視点を持って検討していくことは重要なことと考えます。
最後に、76枚目に示されている「薬剤総合評価調整加算」についてですが、ポリファーマシー対策を実施していくことはとても重要ですが、現在の算定要件では取組を進めていても算定しにくい状況もありますので、次回改定では、より推進していく観点から見直していくことも必要と考えます。私からは以上です。ありがとうございました。
(中略)
〇吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)
まず働き方改革の中のタスクシフト・シェアについて、いくつか意見を述べさせていただきます。
まず1つ目。薬剤師のチームへの参画についてです。先ほどもございましたけれども、病棟薬剤師が病棟における薬剤関連業務に関わることにおいて、薬物療法での有効性ですとか安全性が向上されるのみならず、医師ですとか看護師の業務負担軽減につながることは非常に期待しております。
ただ、看護の立場からもですね、病棟の麻薬の管理ですとか病棟配置薬の管理、また注射薬の調剤ですとか入退院の際の患者持参薬の確認、薬剤関連の業務でですね、病棟薬剤師の関与をさらにですね、強化していくことが必要、重要であるというふうに考えております。
そのためにもですね、やはり病棟薬剤師のさらなる配置について、ぜひですね、積極的に進める方向で、ご議論をいただきたいというふうに考えております。
(中略)
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
(前略)意見でございますが、各委員のほうから薬剤師の関わり方というのは非常に皆さん、おっしゃってました。
資料の29ページ、30ページを見ましても、医師の負担軽減策として非常に有効な手段であるというふうなことが見受けられます。
一方で、池端委員のほうから薬剤師の確保について、非常に、するのが難しい。そして、給与の差も非常にあると。一般の薬局と病院とで給与の差があるというふうにおっしゃってたんですけれども、
その中でですね、昨年の中医協、8月10日に中医協あって、そこで看護職員の処遇改善の評価料というものが決定されました。
その中にですね、コメディカルの方たちも含まれているんですが、なぜか薬剤師というのがその中に含まれておりませんでした。
ここに薬剤師を含めて、その処遇改善の評価料の中に含まれて、そして薬剤師の方たちにもその分、今までよりも給料が少しでも高く払われるような仕組みというのもやはり考えたほうがいいのではないかなというふうに思います。以上です。
(中略)
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
(前略)29ページを見ますと、これも皆さま方の中から発言が出ておりますけども、医師の負担軽減に向けた対策の上位に薬剤師等のタスクシェア・タスクシフトに関する項目が目立っております。
今後、投薬に係る患者への説明、医師への情報提供、処方提案や服薬計画の提案は、ある意味、薬剤師が当然やるべき業務として、しっかり実施する必要がございます。
薬剤師への期待が大きいということであれば、病棟薬剤師の本来の業務として病棟薬剤業務実施加算の時間要件の見直しや、加算のメリハリを強化するなど、タスクシェアがより進む工夫が必要ではないかというふうに考えております。
7.医科歯科連携の推進
〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
本日の議題である97ページの課題・論点の内容とは少しずれますが、歯科医師の立場から発言させていただきたいと思います。
医師等の働き方改革に関しましては、令和元年に医政局で開催されました「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」におけるヒアリングにおきまして、日本歯科医師会も発言させていただきましたが、医科歯科連携を推進することで歯科医師も寄与することができるのではないかと考えております。
これまで例えば、がん患者等の周術期口腔機能管理や、誤嚥性肺炎予防のための口腔健康管理や摂食嚥下指導など、医科歯科連携やチーム医療という切り口で医師や他職種との連携を行ってまいりました。
入院患者に口腔の管理を行うことにより、入院日数や合併症の軽減などのデータも示されてきているところでございます。
一方で、歯科を標榜する病院は全国で約2割と少なく、現状、全ての病院で同様にはできないと思っております。
歯科のない病院や、歯科があっても歯科医師のマンパワーの少ない病院におきましても医科歯科連携により、医師等の働き方改革に貢献ができるよう、病院と地域の歯科診療所との連携をより一層推進すること等を含め、今後、さまざまな観点から医科歯科連携の視点を持って、ご検討いただきたく思っております。よろしくお願いいたします。以上でございます。
8.看護補助者の活用
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
(前略)88、89にありますが、看護補助者の流れの数字です。特に、介護福祉士でない看護補助者が減っているということがありますけども、では介護福祉士はどうかと言うと、介護福祉士も決して増えてはいない。むしろ介護福祉士、特に急性期病院、高度急性期病院でも介護福祉士のニーズが非常に高まっていることは、どなたに聞いてもおっしゃっています。
ニーズが高まっているのに数が増えてないってことは、不足がさらに進んでるってことになっていますので、これは看護補助者全体に対する従事者が減っていることに対してどう考えるかということ。
なかなか難しい。看護補助者と介護福祉士。一方で、介護福祉士に関しては、介護保険上は処遇改善が認められていて、病院の介護福祉士には処遇改善を認めてないってことがあって、
ただ一方で、診療報酬上は介護福祉士という職種は認められてない。名称上は認められてないことがあって難しいことも重々承知はしていますけど、今回、同時改定ですので、この辺もそろそろ考えていかなきゃいけないんではないかということをあえて言わせていただきたいと思います。以上4点、意見として言わせていただきました。
(中略)
〇吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)
(前略)2つ目としましては、看護補助者の確保についてになります。88ページに示されておりますように、特に近年、医療機関で採用とか確保に苦労しているというところは事実でございます。
しかしですね、本会で調査をしましたところ、そもそも看護補助者という職種について知られていない。これはですね、一般の国民もそうなんですけれども、ハローワークの職員も知らなかったっていうことがですね、わかりました。
そこでですね、現在、ハローワークの職員の方々にですね、この職種を理解してもらうといったような少し研修をしたりですとか、あと補助者の仕事について周知するイベント、こういったものをですね、企画して実施しているところとなっております。
看護補助者はですね、看護職員と共同して看護を提供する看護チームの重要な一員でございます。
ですので、やりがいを持って働く、長く働いていただくために今回、89ページでご紹介いただいておりますけれども、やはり正規雇用をきちんとしているとか、教育体制が整備されている。そして、業務・役割が明確化されている。
こういったことが進められてきておりまして、こういった医療機関では離職率が少なくて継続して勤務していっていただいている、こういったことがわかっております。
ですので、今後ですね、看護補助者の確保・定着に効果のある取組がさらに広がるような評価の視点、少しこの評価の視点を変えるというか見方を変えるような検討も必要ではないかというふうに考えております。
(中略)
最後に、先ほどちょっと介護福祉士のお話が出ましたけれども、今回の同時改定に向けた意見交換会でも、このご議論があったということは承知しております。
現在もですね、病院において介護福祉士が補助者として従事している。こちらに関しましては、そういった状況がありますけれども、やはり介護職員が不足していく中では、介護福祉士はやはり介護の領域で活躍する重要な人材ということであるかというふうに考えております。
こういった中での急性期病院の配置ということに関しましては、やはり介護職員全体の人材確保に大きな影響が出るというところもありますので、やはり介護福祉士を診療報酬上で評価をすることにつきましては、私たちとしては反対というところかと思います。
ただですね、やはり看護補助者につきまして、さまざまな課題がありますので、そういった課題を解決しながらもですね、ぜひ看護補助者の育成とか定着に、さらなる取組を強化していくというところが本来やはりやるべきではないかというふうに考えております。以上です。
9.看護職員の負担軽減
〇吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)
(前略)看護記録に関することでございますけれども、90ページで記録に関する負担軽減の状況というものが示されておりますけれども、
この取組の実施内容を見ますと、1つ目の看護記録の簡素化・見直し、こういったところが、つまり自分たちで工夫できる部分については非常に取組が進んでいるというところがわかります。
が、例えば、⑤のバイタルデータの自動入力ですとか、7番目の音声入力等を活用した看護記録入力、こういったところは非常に割合が低くなっております。
本会でもですね、業務の効率化の事例収集ですとか周知事業を行っておりますけれども、この自動入力ですとか、音声入力の導入とか、またAI・ICTの活用によっての業務の効率化、また負担軽減につながっている事例というのは複数ありますけれども、導入コストの問題、また病院全体のシステム改修等のタイミングなどの問題から、なかなか広がらないという現状がございます。
医療DXが進む中で、各医療機関でシステム改修ですとか効率的な業務の効率化が進むような支援の在り方を検討していっていただきたい、また検討すべきであるというふうに考えます。
10.地域医療体制確保加算
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
医師の働き方につきましては、33ページからの地域医療体制確保加算が令和2年度から新設され、令和4年度には施設基準が見直されておりますが、
39ページを見る限りにおきましては、長時間労働の削減に今ひとつ結びついていない印象も受けます。
事務局として、原因や課題について、どのように分析されているのか、お考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
(中略)
〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
(前略)地域医療体制確保加算に関して私のほうから回答させていただきたいと思います。
端的に、39ページのような実態をもちまして、この加算の効果についてどのように認識をしているかというお尋ねであったと思います。
私どもとして、こちら、38ページや39ページにお示ししたとおりでございますけれども、地域医療体制確保加算を算定している医療機関につきましては、医療機関を調査客体としたデータでは155時間以上ですね、月。年間1,860時間以上に相当する医師の割合はごくわずかでありますものの、若干増えていると。
一方で、これはちょっとページ飛びますが、20ページにお示ししたとおりで、医師を調査客体とした医師の勤務実態調査においては、医師の労働時間については改善が認められているところでございます。ここでは10%程度の医師が1,860時間に相当していると。
こういった、聞く主体、回答する主体におきましてデータに乖離があるという状況かというふうに思ってございます。
これらのデータを解釈するに当たりましては、今申し上げたとおり、回答の主体が「医療機関か医師か」の違いですとか、医師の勤務先の違いにより結果が異なりうることや、
それから先ほど、医療機関がICカードとかタイムカードでですね、正確に、より正確に医師の労働時間を把握できるようになった可能性があることなど。
それからまた、あとは、医師が自己研鑽や宿日直等をしている時間をどのように認識しているかというところで経時的な変化がある可能性があることなどがございまして、
私どもとしては、まずは、これは医療機関側に聞くところ、医者に聞くところ、というふうに、まずはそのように、まずは捉えておくべきかなと思ってございます。
その上で今後、医師の働き方の改革につきましては、より最新のデータの把握も含めまして、重要な課題と認識してございます。そういったデータ、新しいデータも入手できましたら、示しながら、ご議論をいただきたいというふうに考えております。
(中略)
〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
この間、医療現場におかれましては働き方改革が進められていますが、
資料39ページにもあるとおり、地域医療体制確保加算を算定している医療機関では、時間外労働時間が月80時間以上の医師の割合が2020年から2022年にかけて数値的には増加しています。
医師について、時間外労働の上限規制が適用される2024年4月まで残り1年を切っております。
各医療機関が課題を把握し、医師にとどまらず、看護師、薬剤師など医療現場で働く者全体の労働時間短縮の取組をさらに前進させることが必要と考えます。
また、地域医療体制確保加算を算定しているかいないかにかかわらず、医師の労働時間短縮の取組には、客観的な方法での労働時間把握が欠かせません。
厚労省においては、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインや医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての通達の再度の周知をお願いしたいと考えます。
なお、先ほども事務局の説明がございましたが、把握方法としてタイムカード、ICカードが増加しているといったご説明をいただきましたが、
まだ依然としてですね、紙による記録というのが3割を超えているといった状況でありますので、この際、そういったタイムカード、ICカードへの転換促進を図るといった必要もあるのではないかと考えております。
タスクシェア・タスクシフトについても、実際の現場での勤務の実態や業務の状況、課題などを分析し、今後の検討につなげていく必要があると考えます。
今後、働き方改革の推進に対する診療報酬の評価の在り方について議論が重ねられていきますが、安心・安全で質の高い患者本位の医療の確保という観点からも、医師をはじめとした医療従事者全体の働き方改革という広い視点での議論をお願いしたいと思います。私からは以上です。
(中略)
〇眞田享委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長代理)
働き方改革については、医療機関とわれわれ一般企業の間で、その直面する状況というのは大きく異なるというふうに承知をしているところでありますけれども、
職場環境の改善であるとか、あるいはICTの活用等、その仕事そのものの進め方の見直しといった具体的な取組を進めていくためには、経営トップの改革マインド、あるいはリーダーシップが非常に重要であるというのは共通するのではないかというふうに考えております。
しかしながら、27ページに示されております「職位別に見た医師の勤務状況の改善の必要性」、これを見ますと、院長・副院長は残念ながら「現状のままで良い」というふうにお答えになられた方が6割近くとなっている点を見ますと、経営者の意識について、まだまだ改善の余地はあるのではないかという印象を強く持ったところであります。
診療報酬における働き方改革の取組については、令和2年度改定で、医療従事者の負担の軽減、あるいは医師等の働き方改革の推進が重点課題とされ、地域医療体制確保加算が新設。さらに、前回の令和4年度改定では一部見直しと点数の引上げがなされたところでありますが、
先ほど佐保委員からも言及がありましたとおり、今回の資料を見ると、同加算を算定している医療機関において長時間労働の是正が進んでいるとは必ずしも言い難い状況にあるのではないかというふうに感じたところであります。
次回の改定においても、引き続き働き方改革に向けた取組が必要になるということは承知しておりますが、
これまでの延長線上での評価の引上げ、あるいは要件の緩和だけではなくてですね、労働時間短縮に向けた医療機関の取組が一層進むような、そういった見直し、また、より効果が高いと思われる項目への重点化を検討すべきではないかというふうに考えます。
また、ICTを活用した業務の効率化・合理化についても、直近の改定で種々、改定されてきておりますけれども、さらに患者の安心・安全を担保した上で、さらに進める余地がないか、検討すべきではないかというふうに考えているところであります。私からは以上でございます。
(中略)
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
(前略)資料の16ページから18ページにかけまして、地域医療介護総合確保基金の紹介がありますけども、この中にも働き方改革に必要な経費について基金と診療報酬の両方から支援が行われていることが理解できます。
対象となる医療機関のすみ分けや、基金と診療報酬の役割分担を明確に意識した上で、基金を活用して医師の労働時間削減につながっている取組事例を調査、紹介いただきまして、医師の労働時間短縮に向けて議論することも考えられるのではないかというふうに思っております。
次に、資料の22ページに移っていただきたいと思いますが、この中で外科、脳神経外科、救急科において医師の勤務時間が相対的に長くなっております。
こうした診療科による格差を踏まえれば、一律の加算というよりは、診療科の特徴を十分考慮した上での対応が必要だろうと考えております。
こうした長時間勤務が目立つ外科、脳神経外科、救急科などで固有の取組があれば教えていただきたいということが私からのお願いの1つ目でございます。
次に、安藤委員、佐保委員からも言及がございましたけども、例えば、28ページ目の1項、2項等を見ますと、この1年間における勤務状況の改善は極めて限定的であります。
さらに39ページのグラフを見ましても、働き方改革の象徴でもある地域医療体制確保加算を算定している医療機関において、時間外労働時間が月80時間以上、155時間以上の医師の割合がどちらも残念ながら2020年から22年にかけて増加しております。
この加算は地域医療を守るために導入したものと認識しておりますが、データを見る限り、この政策効果については少し疑問があると言わざるを得ません。
今後、この加算を続けるかどうかを含めて議論が必要であり、続けるということであれば、少なくとも要件の見直しは必須であると考えます。
これまで医師の時間外労働規制は準備段階でしたけども、来年度からは文字どおり規制が適用されます。
こうしたことを踏まえれば、計画の作成だけではなく、当然のごとく規制の条件をクリアしており、実際に労働時間が短縮されていることなど実績を要件とする必要があるというふうに考えます。
さらに、令和6年度以降、どのタイミングで、こうした加算を見直し、あるいは廃止していくのか。期限を明確にしていくことも重要な論点だと考えます。
先ほど、安藤委員からの労働時間の把握等について質問があった際に、医療課長のほうから回答の主体による差だというご発言があったと思いますけども、
こうした、その労働時間が医療機関と医師の間で差異があるということが、こうしたものの最大の問題だと思いますんで、少しそれについては再考をいただきたいというふうに思います。
(中略)
資料30ページを拝見しますと、一般病院や地域医療支援病院と比べて特定機能病院では負担軽減の取組が少し進んでいないという印象がございます。
医師の労働時間が長い特定機能病院においては、当然の取組としてタスクシフト、タスクシフトをより進めていくべきだろうと考えます。
(中略)
昨今、医療DXというのが非常に脚光を浴びておりますけども、これ、医療DXが今回の、この医師の働き方改革にどういうかたちで、良い意味で影響、あるいは改善につながっていくのか。
これについてですね、次回以降の中でですね、ぜひ説明をしていただきたいというふうに思う次第でございます。私からは以上であります。ありがとうございました。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい、どうもありがとうございました。ほかにご質問、ご意見ございますでしょうか。はい。長島委員、お願いします。
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
はい。支払側から、この地域医療体制確保加算について何点かコメントがございました。
まずこの、先ほど申しましたが、働き方改革はまだ始まったばかりで、これからが本番です。つまり、この加算というのはこれから本当に重要になる、必要になるというもの。
ただし、例えば調査等で、そこのところで何らかの課題というものがあるのであれば、そこのところは丁寧に見て、もっと有効に、もっと有意義にこの加算が活用されるためにはどうすればいいかというふうに、働き方改革に資するためにはどうすればいいかという観点で論ずべきと思っております。
これは、本番に向けて絶対必要なものであって、廃止するなどということは当然あってはならないと。もっと有効に使うために、前向きな議論をすべきというふうに考えております。
それから、さまざま働き方改革に関して、医療機関側でさまざまな対応、例えばシステムの改修なりが必要で、これにはコストがかかります。
また、タイムシェア、タスクシェア・シフトをするためには、そのシェア・シフトを受ける側が、担う医療従事者が必要ですが、その医療従事者が減少している。その人材が必要です。いずれも財源が必要です。
働き方改革を進める上で、勤務医だけではなく、国民の健康を守るために財源が必要であると。ここのところはぜひ共通の理解にしていただければと思います。
最後に、医療DXに関しては、この働き方改革に非常に有効に使いうると思いますが、そのためには日本医師会では、もう常々言っております。医療DXの目的は、1つは国民・患者の皆さまに、より安全で質の高い医療提供。それと同時に、医療現場の負担軽減につながるということが重要です。
したがって、医療DXにおいては、情報共有、連携も重要ですけれども、医療現場の負担につながるようなDXをしっかり進めていくということが重要ですので、ここのところ、日本医師会としてもしっかり国に対して働きかけを行っていきたいと思っております。私からは以上です。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい、ありがとうございます。飯塚委員からお手が挙がってるんですけれども、
その前にですね、松本委員が先ほど、これは23ページですね。診療科によって労働時間に大きな差があるということなんですけども、診療科ごとに何か取組がなされているかというようなご質問があったかと思うんですけど事務局、これについて、お答えしていただくことはできますでしょうか。
〇厚労省医政局医事課・山本英紀課長
はい。医事課長でございます。17ページ、ご覧いただいてもよろしいでしょうか。
この右上の黄囲いの所でございますけど、医師の働き方改革に関する取組については複数主治医制の導入ですとか、タスクシフト・シェアなど、さまざまなものがあろうと思っております。
それを各診療科や医療機関ごとに特化したものというよりは、その医療機関や診療科の特性に応じて有効なものを取り組んでいただいているというところでございますので、
何か特別にこれだけが効いてるというものではなく、取捨選択していただきながら、お取り組みいただいているものだというふうに考えております。以上でございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
松本委員、よろしいですか。
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
はい、ありがとうございました。ただ、非常に数字的にですね、明確に差が出ていることになりますんで、各診療科の特性についてはぜひお願いをしたいと思います。
すいませんが、長島委員の発言に関してコメントさせていただいてよろしいでしょうか。
先ほど来ですね、加算について、お話がございましたけども、思い出していただきたいんですけども、この加算の新設は令和2年度でございました。
そのときに、診療報酬改定の最重要項目として位置づけられたのが、この働き方改革でした。
それから、まだ確かに3年と言われれば3年。ただ、データ上はその数字が出ていないということに関しては、やっぱり残念だと言わざるを得ないというのがわれわれの素直な印象でございます。
それと、長島委員のほうからシステム等の改善に関しては、お金が要るんですという話があったんですけども、例えば、先ほど来、言及してる地域医療介護総合確保基金等でですね、そういうことにお金を充てるってことが可能なのかどうか。
これはちょっと事務局への質問になりますけども、もしご回答ができるんであれば、お願いをしたいと思います。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい。今の松本委員のご質問について事務局、回答していただけますでしょうか。
〇厚労省医政局医事課・山本英紀課長
はい。医事課長でございます。地域医療介護総合確保基金が充てられるかというご質問につきましては、先ほど冒頭、医療課長からの説明にありましたとおり、診療報酬と確保基金では救急車の受け入れ台数等で役割分担というか、区分しながらやっておりまして、
基金の対象となっているところにつきましては、さまざまなものに基金を活用していただいて、取組していただくことは可能だというふうに考えております。以上でございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
松本委員、よろしいですか。
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
はい、ありがとうございました。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい。それでは、飯塚委員、先ほどお手が挙がっておりましたので、もしご発言ありましたら、よろしくお願いいたします。
〇飯塚敏晃委員(東京大学大学院経済学研究科教授)
はい、ありがとうございます。本日のご説明および皆さまの議論の大きな柱はタスクシフト。つまり、勤務医のタスクを薬剤師、看護師、あるいは医療事務作業者等々の皆さんにシフトすると。それによって勤務医の労働時間を減らそうという議論というふうに理解しました。
これは当然、大変重要な議論なんですが、一方で病院の医療行為そのもののボリュームは、おおよそ所与として、何とか病院内の働き方の変更だけで勤務時間を減らそうという取組という印象も受けました。
勤務医の労働時間が大幅に減るということであれば、診療できるボリュームもやはり大幅に減るっていう可能性は十分あるというふうに思いますし、それをどのように達成するかというデザインについても今後、重点的に議論していくべきではないかと考えます。
当然、いろいろな議論があると思いますけども、例えば急性期の病院における外来の診療というのは今のままでいいんだろうかとか、あるいはボリュームを減らす余地はあるんだろうか。
関連して、診療所の医師の皆さんに一定の需要を担っていただくことは可能なのかどうかといった話。
特に、従来から夜間・休日等の診療に関しては議論に挙がっているかと思います。
さらに、救急医療を担っているわけですけれども、そういったものの集約化なり効率化はできないかといった論点は当然あるのかというふうに思います。
こういった個別病院の外側でありますけれども、働き方に大きく影響するものについては、働き方改革への影響も強く意識して、今後、議論していくようにお願いしたいと思います。以上です。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい、ありがとうございます。はい、茂松委員、お手が挙がってますので、お願いいたします。
〇茂松茂人委員(日本医師会副会長)
日本医師会の茂松でございます。今日、議論いただきましたこと、本当にありがとうございます。
ただ、1つ考えておかねばならないことがあります。それは、働き方改革に絞って言いますと、やはりわれわれは医療、医学を進歩させて、それによって国民の安心・安全の医療につないでいくということであります。
その中で、臨床しながら研究もしているということを忘れてもらっては困るかなというふうには考えております。
どうも、その臨床のことばっかりが先に立っておりますが、今、この働き方改革が前提として始まって、この日本の医学、医療に対する進歩を見てみますと、海外からどんどんどんどん遅れて来てる。論文の数もどんどん減ってきているという中で、
これがどこに原因があるのかということもしっかり考えていただいて、この中医協でも、この働き方改革を考えていただきたいと。
確かに、費用がどうのこうのということもありますが、われわれは国民に安心・安全な医療をするために、やっぱり研究もしながら、その安心・安全の医療を追求しているということのご理解もいただきたいなというふうに考えておりますので、その辺の議論もよろしくお願いしたいと思っております。以上です。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
ありがとうございました。ほかに、ご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ほかにご質問、ご意見等ないようでしたら、本件に係る質疑はとりあえず、このあたりとさせていただきます。
今日も非常に多くの貴重なご意見を数多く頂戴いたしました。今後は、事務局におかれましては、本日いただいたご意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
(散会)
.