「医療DX対応(その1)」について委員の発言 ── 2022年8月3日の中医協総会

長島公之委員(日本医師会常任理事)_2022年8月3日の中医協総会

 オンライン資格確認の義務化を療養担当規則に書き込むことについて診療側は危機感をあらわにした。8月3日の中医協総会で、日本医師会の長島公之常任理事は「やむを得ない事情により義務化に対応できなかった場合、療担違反ということで即座に保険医療機関の取消にも至るような厳格な意味であれば、医療を提供する医療機関だけでなく、医療を受ける国民、患者さんの皆さまも含めて、地域医療の現場に大混乱をきたす」と訴えた。【新井裕充】

 厚生労働省は同日の総会に「医療DX対応(その1)」と題する19ページの資料を示し、最終ページに2つの論点(①義務化、②加算)を挙げた。
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19_【総-3】医療DX対応について(その1)_2022年8月3日の中医協総会
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 論点①について、厚労省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長は「保険医療機関及び保険医療養担当規則、いわゆる療担規則等において義務づけることとしてはどうかということで、ご議論をいただきたい。『等』としているのは、いわゆる薬担規則もあるので『等』としており、こうしたことで義務づけをしてはどうか」と提案した。

 質疑で、診療側の長島委員は「やむを得ない事情により、来年4月に間に合わない事態が生じてしまう懸念がどうしても払拭できない」とし、「今後の導入状況を把握し、その結果によっては必要な対応を講ずることがありうると中医協において共有していくことが医療機関にしっかりと取組を促していく観点からも必要」と述べた。長島委員の発言は10分近くに及んだ。
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〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
 (前略) こういったヒアリングの結果、そして、また令和4年度の点数もおさらいさせていただきましたけれども、19ページに論点をお示しさせていただいてございます。
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 上段のこの破線囲みに関しましては、これまでのスライドでご説明した課題をまとめているところでございます。
 
 下段に論点を2つ、お示しをしております。
 
 令和5年4月から、保険医療機関・薬局におけるオンライン資格確認等システムの導入について、原則として義務化することとしている。その上で、システム導入の前提となる院内等の電子化が十分進んでいないことから、現在紙レセプトでの請求が認められている医療機関・薬局を、原則義務化の例外とすることについて、どのように考えるか。
 
 2つ目の丸でございます。
 
 オンライン資格確認の原則義務化を見据えて、医療機関における実態や導入による効果等も踏まえ、診療報酬上の加算の取扱いについて、どのように考えるか。
 
 ご説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、どうもありがとうございました。ただいま事務局から説明をしていただきましたが、ただいまの説明につきまして何かご質問、ご意見ございましたら、よろしくお願いいたします。それでは長島委員、お願いいたします。
 
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 長島です。ありがとうございます。まず全体をとおしてですが、今回のテーマが「医療DX対応について」と位置付けられたことが大変重要であると考えております。
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 なぜなら、確かにオンライン資格確認等システムの導入推進が中心的なテーマではありますが、資料「総-3」9ページにある骨太方針にも記載されているとおり、このオンライン資格確認等システムは今後の日本の医療全体にわたるプラットフォーム、医療DXの基盤になるものであり、これによって国民、患者の皆さまが受ける恩恵は極めて大きなものであると期待されるからです。
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 具体的なメリットとしては、資料「総-3」4ページにある災害時における情報の閲覧は、全ての国民にとって災害時の生命、健康を守る上で大きなメリットとなります。
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 また、16、17ページの関係者のヒアリングでも、情報閲覧が安心・安全で、より質の高い医療提供に役立ち、患者さんのメリットとなることがわかります。
 
 私自身も昨年よりオンライン資格確認等システムを診療所に導入しており、まだ数は少ないですけれども、情報閲覧により患者さんの診療に役立つことを実感しております。
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19_【総-3】医療DX対応について(その1)_2022年8月3日の中医協総会
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 このように、オンライン資格確認等システムは国民にとってメリットが大きい医療DXの基盤であることを前提としつつ、19ページの論点について、まず1つ目の論点である原則義務化とその例外について意見を申し上げます。
 
 義務化された場合、現場の医療機関は通常診療やコロナ対応に加えて、ベンダーとのやりとりや補助金の申請、あるいは患者さんへの窓口のご説明など、この問題に対応するためにさらなる負担を強いられることになります。
 
 この問題は、医療機関だけではなく、ベンダー、そして義務化に向けた環境整備を行う行政も含めて全体で対応しなければなりません。
 
 したがいまして、われわれも「オンライン資格確認推進協議会」を立ち上げ、取組を進めてきたところであります。
 
 一方、行政としても、ソフトウェアや機器の十分な供給体制を整えることはもちろんのこと、医療機関が支障なく導入できるよう、ベンダーにしっかりと指導していただくことが必要だと考えます。
 
 さらに、補助金による医療機関への支援についても、これまでの補助の実態や医療機関の規模などを踏まえて充実させ、その周知を徹底するなど、義務化に向けた環境整備を行政としてしっかりと整えていただくことが義務化の前提条件となると理解しておりますが、この件について厚生労働省の対応をご説明ください。
 
 また、療養担当規則を改正して義務化がなされた場合ですが、その意味するところが、仮に医療機関としてはどうしてもやむを得ない事情により義務化に対応できなかった場合、療担違反ということで即座に保険医療機関の取消にも至るような厳格な意味であれば、医療を提供する医療機関だけでなく、医療を受ける国民、患者さんの皆さまも含めて、地域医療の現場に大混乱をきたすことになります。
 
 したがいまして、そのようなことにならないよう、丁寧かつ適切な対応をお願いしたいと思います。
 
 さらに、今回のご提案は、現在、紙レセプトの請求が認められている医療機関のみを例外とするものですが、それ以外の場合についても、来年4月に向けて導入することに憂いが残る部分があるのではないかと考えております。
 
 つまり、今後、医療機関をはじめとする関係者が義務化に向けて努力したとしても、例えば離島・へき地であったり、都心でも建物の構造によっては光回線が普及していないといったことがあります。
 
 あるいは、医療機関がベンダーと契約したにもかかわらず、結果的にベンダーの対応が遅れてしまった場合など、医療機関の責任とは言えない、やむを得ない事情により、来年4月に間に合わない事態が生じてしまう懸念というものがどうしても払拭できません。
 
 今後の導入状況を把握し、その結果によっては必要な対応を講ずることがありうると中医協において共有していくことが医療機関にしっかりと取組を促していく観点からも必要であると理解しております。
 
 2号側として、そして中医協の議論を空洞化させないためにも、この点は譲れませんので、必ずご対応くださいますよう、お願いいたします。
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19_【総-3】医療DX対応について(その1)_2022年8月3日の中医協総会
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 次に、19ページの2つ目の論点である診療報酬上の加算の取扱いについて申し上げます。
 
 まず、診療報酬の基本的な考え方の1つとして、医療の質を向上させる取組に対しては対価が支払われるということがあり、これまでもそうした考えに基づき、さまざまな項目が評価されてきたと理解しております。
 
 オンライン資格確認の活用は患者さんの情報を活用することで医療の質を向上させ、さらには医療の効率化や医療費削減にも貢献する可能性もあるということで、まさにその考え方に合致する取組と言えます。
 
 したがいまして、この点数を単に廃止するなどということは、診療報酬の基本的な考えに照らせば、あり得ないことであり、オンライン資格確認等システムを導入し、マイナ保険証を活用した場合はしっかりと評価していただく必要があります。
 
 さらに、オンライン資格確認を通じて医療DXを推進することは今後の医療の質向上に向けてますます不可欠な要素になるであろうことを予想されます。
 
 そういった意味では、オンライン資格確認を導入した医療機関は質の高い医療を提供するための体制を整えた医療機関であると言えます。
 
 これまでの診療報酬上の評価の在り方も踏まえれば、マイナ保険証の活用の有無にかかわらず、そうした体制を整えたことに対する評価も当然必要であると考えております。
 
 また、ヒアリング結果にも記載されておりますように、医療機関では、初診において診療に必要とされる情報を患者さんから収集することが必須であり、診療科によってバリエーションありますが、こういった情報収集が医療の質向上に資することは明らかであります。
 
 オンライン資格確認等システムを活用し、また閲覧できる医療情報が今後さらに増え、それらも活用できることにより、さらに的確に、そして効率的に情報収集が可能になることを付け加えたいと思います。私からは以上です。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。事務局にご質問をいただいておりますが、あとでまとめてご回答をお願いいたします。それでは続きまして有澤委員、お願いいたします。
 
〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。事務局におかれましては、資料の説明や施設へのヒアリングの取りまとめなど、ご対応をいただきましてありがとうございます。資料に示されている論点に沿って意見を述べさせていただきます。
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19_【総-3】医療DX対応について(その1)_2022年8月3日の中医協総会
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 1つ目の論点ですが、現在、紙レセプトでの請求が認められている医療機関、薬局については、原則義務化の例外とする案については、特に反対するものではありません。
 
 ただし現在、医療DX対応として、いくつかの政策が進められておりますが、地域社会の医薬品提供体制を担っている高齢者が営む小さな薬局などが医療DXの政策についてこれないことを理由にやめてしまうことがないよう、丁寧な対応や配慮が必要であると考えます。
 
 そのため調査や、厚生労働省に届く現場の声を丁寧に拾っていただき、現場の導入状況や稼働状況などを丁寧に見つつ、必要に応じた対応を行うことで、取り残される薬局が出てこないような対応をお願いしたいと思います。
 
 次に、論点の2つ目についてです。ヒアリング調査結果でも示されているとおり、医療DXのためのオンライン資格確認の活用は医療の質の向上、すなわち薬局や患者さんにとっても有意義なものであります。加算の取扱いについては、患者、そして現場にも理解が得られるようなものとするよう見直していくべきものと考えます。
 
 薬局においては、正確な薬剤情報による重複投薬や相互作用等の確認、院内処方の薬剤情報の確認、災害時にマイナンバーカードがなくても薬剤情報等が確認できるなど、患者さんの医療安全に寄与できる重要なツールであると考えます。
 
 ただし、オンライン資格確認で得られる情報は現行のシステム上、いわゆるレセプトデータだけではタイムラグが発生してしまうという点など、個々の患者のアレルギーであったり副作用歴、あるいはOTCの医薬品、サプリメントなどの服用情報が含まれない点もございますので、引き続き、お薬手帳との併用をすることが必要なツールと考えております。
 
 オンライン資格確認等の活用を一層進め、患者さんがメリットを実感できるよう、現場での適切な説明や周知を引き続き行っていくことが必要です。
 
 また、単にマイナンバーカードを取得すれば即、保険証として利用できるということではありません。マイナポータルとの紐づけ等も必要でありますので、こういった周知についてはですね、国と関係団体などが協力し合い、マイナンバーカードの普及と両輪で進めていくということが重要と考えますので、何卒よろしくお願いいたします。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございました。続きまして林委員、お願いいたします。
 
〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。「中医協 総-3」の最後のページにある論点について発言いたします。
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19_【総-3】医療DX対応について(その1)_2022年8月3日の中医協総会
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 まず1つ目の論点の原則義務化の例外についてでございますが、オンライン資格確認等システムの推進につきましては日本歯科医師会といたしましても、日本医師会や日本薬剤師会とともに「オンライン資格確認推進協議会」におきまして取組を進めてきたところでございます。
 
 相談窓口を設置して取組に混乱のないように努力している都道府県歯科医師会もあると聞いております。
 
 令和5年4月からオンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されるということでございますが、特に歯科医療機関は小規模なところが多く、オン資確認等システムの導入に負担を感じている医療機関もあると考えております。
 
 また、レセコンベンダー側の事情により、契約しても導入が遅れていたり、ネットワーク環境が整備されていないなどの事情も考えられ、義務化までに相当タイトなスケジュールで対応しなければなりません。
 
 紙レセプトでの請求が認められている医療機関等については例外とする、そういったことは妥当であると考えておりますが、先ほど申し上げましたように、さまざまな事情を抱えていて、オン資確認システムの導入に支障が生じている医療機関もあると考えられますので、今後の導入状況などもしっかりと精査していただき、こうした、間に合わないような医療機関に対しましては柔軟に対応できるように必要な方策をとっていただくよう強く要望したいと思っております。
 
 次に、2つ目の論点の診療報酬上の加算の取扱いについてですが、オン資確認等システムの導入が原則義務化されることに伴い、現行の加算が見直しされることとなっておりますが、システムを導入した医療機関におきまして薬剤情報等を的確に把握して、それを診療に反映することは医療の質の向上につながるもので大変重要と考えております。
 
 こうした点を踏まえ、診療報酬上、しっかりと評価していただくよう重ねてお願い申し上げます。歯科からは以上でございます。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。続きまして安藤委員、お願いいたします。
 
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
 はい、ありがとうございます。私からも19ページにあります論点に沿って意見を述べさせていただきたいと思います。
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19_【総-3】医療DX対応について(その1)_2022年8月3日の中医協総会
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 まず1点目の論点につきましてですが、例外規定についてはこの考え方で私はよろしいかと思います。
 
 ただし、これをいつまでもずっと続けるということではなくて、やはり、ある一定程度の期限は切ったほうがよろしいかなというふうに思っております。
 
 続きまして、2点目の論点につきまして、1月26日の中医協の総会でも申し上げましたが、オンライン資格確認システムの普及を進めるという方向につきましては賛成でございます。医療のDXの基盤というかたちで、できるようになればというふうに思っております。
 
 ただし、加算を設けるのであれば、オンライン資格確認システムを活用した診療を受けた患者が対価を支払うのにふさわしいメリットを感じることができるということが大前提であるというふうに思っております。
 
 現在のマイナンバーカードを持参しない場合や、マイナンバーカードを持参したものの情報取得の同意をしなかった場合であっても加算がなされる仕組みは患者にとって納得できるものではなく、
 
 今回の見直しに当たりましては、患者がオンライン資格確認システムを活用した診療のメリットを十分に理解をしていただき、そして納得できる加算とする必要があると考えております。
 
 この診療報酬の加算につきましては今年の4月から加算できるようになっておりますが、その結果、どのようになっているのかということの調査結果もあれば見てみたいなというふうに思っております。
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 また、現在のオンライン資格確認の導入状況が6ページで示されておりますが、先ほど来、診療側の委員からお話がありましたこのオンライン資格確認システムの導入につきましては、医療DXの基盤とするということに関しては皆さん、同意なさっておりましたし、
 
 そして、使われている病院では、やはり患者さんの情報を事前に容易に確認することができて診療上もいい効果が出る。その結果、患者さんに対して良い医療を提供することができるというふうにおっしゃっておりましたけれども、
 
 申し訳ないんですが、その割にはいまだに申し込みの数が61%にとどまっているというところは非常に残念でございます。
 
 これをやはり、せめて、この9月末ぐらいまでには100%の申し込み状況にしていただかないと本当に間に合わないのではないかなというふうに思っております。その点、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。続きまして佐保委員、お願いいたします。
 
〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 はい、ありがとうございます。オンライン資格確認の導入状況を見ると、このままでは目標達成が厳しい状況にあると考えます。
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 利用できる医療機関が少なければ、オンライン資格確認等システムの普及は進まないという悪循環につながりかねないというふうに考えます。
 
 マイナンバーカードと保険証を紐付けることは政府のDX政策の一環として掲げられており、重要な施策だと認識しております。
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 8ページ、医療保険部会で示された「更なる対策」3点の着実な実施が必要と考えます。
 
 これらの実施に際しては、国民、利用者に対してメリットをわかりやすく周知することも重要と考えます。
 
 患者の立場からすると、より良い医療のためという説明だけではメリットの理解が難しく、費用を負担するメリットがわからないというのが現状だというふうに考えます。
 
 その上で、今回示された論点についてです。1点目ですが、安藤委員と同様の意見となりますが、原則義務化の例外については、今回例外とすることにしても今後、極力、電子レセプトの移行が進むよう、道のりを示して年度を区切って確実にオンライン化に向けた取組を推進すべきと考えます。
 
 2点目の診療報酬上の加算の検討にあたっては、先ほど申し上げた患者の立場からのメリットという観点からも、質の高い医療のためという考えを堅持しつつ、何かしらの患者負担軽減策が必要と考えます。
 
 また、加算が付くこと、自己負担が発生することへの患者の理解、納得が得られるよう、メリットの説明に主軸を置き、今まで以上にしっかりと取り組むべきと考えます。私からは以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。続きまして鈴木委員、お願いいたします。
 
〇鈴木順三委員(全日本海員組合組合長代行)
 はい。ご指名ありがとうございます。私のほうから2つ、お話をさせていただきたいと思います。今回のDXについてはですね、非常にいいお話で利便性も高くなると思っております。
 
 ただやはり、この中で医療上ですね、非常にメリットが高いというのも認識しております。
 
 ただ、その中でやっぱり、どちらかというと事務コストとか非常に医療側の軽減が非常に高いと思います。
 
 ただ、そうしますと、軽減されてですね、事務コストが下がるのに、なぜ患者側が負担が多くなるのかというところにちょっと、なかなか説明が行き届かないのかなっていうのが1つの考え方です。
 
 それともう1つはですね、では、せっかくここまでやるんであれば、例えば電子決済までいけるのかとか、それとか、そのあとの確定申告の資料までいけるのかとか、そういった、この延長線上の話がですね、もっとメリットがあるというような話がですね、聞けるかどうか、この辺がちょっと疑問かなというふうに思いますので、私のほうは以上、2つのほうが意見でございました。以上でございます。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。続きまして松本委員、お願いいたします。
 
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 はい、ありがとうございます。まず論点に行く前にですね、先ほどから1号側委員から言及しておりますけども、このオンライン資格確認の導入状況について少しコメントをしたいと思います。
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 この率についてはここに表示されているとおりなんですけども、実は過去のですね、医療保険部会等の数字を確認したんですけども、例えばカードリーダーの申込数っていうのは、昨年の10月段階では56.3%で、これが今61%です。
 
 一方、準備完了施設につきましては、同じく昨年の10月は8.9%でございました。これが30.5%まで今回上がっております。
 
 運用の開始の施設については10月は5.1%だったものが25.8%というかたちで、この3つの数字を比較しますと、申込数は、はっきり言うと、「推進協議会」等のご尽力もあったと思いますけども、岩盤のようにですね、どうしても申し込みたくないという一定の医療機関があるということがよくわかります。
 
 一方で、準備完了施設数とか運用開始施設数についてはですね、これはやはり業者であるとかベンダーの方が相当ご尽力をされた結果ではないかというふうに受け止めております。
 
 こうした、進めるためには、まず、なぜカードリーダーを申し込もうということをされないのか。
 
 先ほど各委員のほうから、医療DXの基盤になるものである、多数メリットがあるということを皆さま方が異口同音に申し上げましたにもかかわらず、なぜ、そこにつながらないのか。
 
 その辺の理由と、ある意味では、今後は確実に申し込みするという、ある意味、決意表明をぜひ伺いたいということがまず論点に行く前に私からのお願いです。
 
 次に論点に行きたいと思いますが、1つ目の例外なんですけども、まず原則義務化といった話の中で、ほかにまだ具体的な話がほとんど説明されていないのに、なぜいきなり例外の話が出てくるのか。ということにものすごく違和感を感じます。
 
 通常、われわれもいろんなかたちでいろんなものを決めていく中で、例外というのは結構、最後フェーズで出てくるもんじゃないかと思います。最初から「例外だ、例外だ」という、少しちょっと議論の順番について違和感を感じるということをちょっと個人的な意見になりますが、コメントに述べたいと思います。
 
 医療DXを進める中では、紙レセプトの医療機関や薬局が残ってくる自体に疑問があるというのは先ほど来、各委員が申し上げられておりますし、それに対する対応についてもしっかりしていただきたいということでございます。
 
 次に、診療報酬の取扱いですけども、これについては、これは確認になりますけども、8ページ、9ページに医療保険部会での説明、あるいは骨太の方針に関する表記がありますけども、
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 例えば、8ページの例をとりますと、「医療機関・薬局でのシステム導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する財政措置を見直す」「診療報酬上の加算の取扱については、中医協で検討」とありますけども、
 
 いまだ、まだ関連する財政措置の全容が見えていない中で、中医協ではたぶん診療報酬だけを議論するんだと思いますけども、それがなかなか正直言って無理があるということかと思います。
 
 先ほど水谷課長のほうから、補助金の云々がありましたけども、ほかにどんな項目が全体で見えていて、診療報酬ではこれをどうしても、例えば加算の取扱い上、考えなきゃいけないんだということを、ちょっと絞り込みは正直言ってできないというのが私の偽らざる印象です。
 
 あとは各委員から幾度も出ておりますけども、こうした負担をするに当たってメリット、特に医療の質の向上というのは、いかに体感できるか、納得できるか。例えば、「医療の質の向上」という言葉だけ言われてもですね、なかなか一般の国民とか患者は理解できないもんです。そういう意味では、本当に具体的な説明をお願いしたいということでございます。
 
 それと、最後にオンライン資格確認システムの義務化が来年4月からということですので、拙速にですね、結論を出さずにですね、足を止めてじっくり考えることが必要であるということは最後に主張させていただきたいと思います。私からは以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。それでは池端委員、お願いいたします。
 
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 はい、ありがとうございます。私からは今ほど皆さんの各1号側、2号側のご意見を踏まえて私の個人的な意見も含めて少しお話をさせていただきたいと思います。
 
 まず冒頭、長島委員がおっしゃったことに対して私も全面的に賛成し、ほぼ私がお話ししたいことを網羅していただいているので、そういう理解の上で、少し皆さん方のご意見に対して私のほうからお話ししたいと思います。
 
 まず私自身も、この医療DXのための基盤となるのがこのオンライン資格確認だということはもう皆さん共有の認識だと思いますし、私もそう思っています。
 
 そのためにも、大事なのはいかに普及するかですけれども、この普及するっていうことに対してメリット云々、今までいろいろ議論がありましたし、資料にもお示しいただきましたけど、このメリットを皆さんが共有できるために何が必要かっていうと普及なんですね。
 
 普及は端末の普及とともにマイナンバーカードを持ってきていただいている国民の皆さんが全て持ってきていただける、その普及が100%揃った時点で素晴らしいメリットが生まれる。そして、それが基盤になって、さらに医療DXが進む。その基盤整備の段階の中で、メリットを、それぞれのメリットを主張しようといっても、なかなかこれを共有できないのが現実。
 
 先ほど鈴木委員からは、医療機関がこれでコストが下がるのになぜ報酬を要求するんだっておっしゃいましたけども、今、現時点で患者さんがほとんど持って(いない)、1割ぐらいしか持っていない状況で、これを導入すること。そして、そのランニングコストも含めると、決してこれは事務コストが減りはしない。むしろ増える。負担も増える状況が今、現状あります。
 
 もし、これが大幅に普及していけば、ずいぶんコストも減る可能性もあるとは思いますけども、今、その前段階だということをぜひご理解いただきたいと思います。
 
 そのために医療機関も、そして、もちろん行政の方も、そして申し訳ないけど保険者からも、そして国民みんな、みんなが少しずつ、その普及に向けて、少しずつ痛み分けをしようというのがたぶん、この立て付けではないかと思っています。
 
 そのために、もちろん医療機関もしっかり頑張らなきゃいけないことは私自身も含めて、お役にさしていただきたいと思っていますが、そういう中で、その途中段階で原則義務化っていうことまで踏み出したわけですので、ぜひその辺をご理解いただきたいと思います。
 
 じゃあ、なぜその例外を先に出すんだっていう、論点に沿ってお話をしますと、療担規則っていうのはわれわれ医療機関にとってはものすごく重い、ペナルティを要求される罰則規定のようなものですので、ここに、これが入ることに対してはものすごく医療機関に対しては大きなことになります。
 
 先ほど長島委員もおっしゃったように、場合によっては即、指導監査の対象になり、そして医療機関の業務停止ということまで起こりうることになりますので、それに対して、今、この来年4月からということになれば、とんでもない混乱を起こす。だからこそ、まずここは外すよという例外規定をしないと大混乱に陥る。そのための例外規定だということで、特に小規模の医療機関、あるいは薬局等々に関しては、こういう例外規定をいただくことはぜひぜひお願いしたいと私も思っています。
 
 そして、先ほど言いましたように、2つ目の論点ですけれども、この普及がまだまだ十分、
 
 その普及は、端末の普及だけではなくて、国民がマイナンバーカードに保険証を導入している、その普及もまだまだの段階で今、診療報酬の見直し等々を行うことに対しては、もうこれは加速度プランを途中でブレーキをかけることになりますので、時期的にはまだまだこれは難しいのではないかと思いますし、ぜひその辺のご理解をいただきたいと思います。
 
 じゃあ、なぜ現場がまだ手を挙げないとこがあるんだということで、私自身も県の医師会の立場でお話しさせていただきますと、実はベンダーなんかも協議会が起こって加速度プランに乗っていますが、実はその事業者の協議会に乗っていない中小のベンダーがかなり端末と、それから、そのレセコンをつなぐときにかなり高額な費用を要求されていることが私自身も実際に聞いています。
 
 100万、200万単位で、そこんとこは、今、現状では、補助金の対象にならないところですんで、そういうことがあって、しかも利用者がほとんどいない段階で、なかなか踏み出せないっていう声を県の医師会としても聞いておりますので、その辺をもう少し丁寧にっていうこともぜひ聞き取りをしていただいて、場合によっては、そこの、本当に、中小の規模、特に小規模の所に対するベンダー、あるいは医療機関、薬局等々に関してもいろんな補助金をさらに上乗せすることも考えていただけるとありがたいかと思います。
 
 いずれにしても、今日、皆さんのご意見をお聞きしても、方向性としては皆さん共有しているので、何とかそこまでもうひと頑張り、お互いに少し汗を出し、そして痛み分けをして頑張ろう、三位一体、四位一体で頑張ろうということなんで、ぜひその辺をご理解いただければと思います。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。それでは間宮委員、お願いいたします。
 
〇間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 はい、ありがとうございます。今回、医療DXということで、これを進めていくってことは非常にこう、医療の安全・安心な医療を実現するためには医療情報の提供ですとか共有ってのは非常に大事ですんで、これ進めていっていただくのは非常にいいことだというふうに思っているんですけども。
 
 今回のオンライン資格確認っていうだけの議論っていうのが先走っちゃっているので、どうも医療DX、進めていくと、こんなにいいことあるよっていう、何かビジョンっていうのがどうも見えてこないっていうところがちょっと違和感が患者としてはあるということがあります。
 
 実感としてはですね、マイナンバーカード普及のために保険証にも使えますよっていう、CMなんかでもやっていて、便利になるねっていう話があったにもかかわらず、医療機関に行くと、カード持ってくると余計にお金取られるんですよね。
 
 これって、なんか騙しとか裏切り行為なんじゃないのっていうふうに思っちゃう人もいると思うんですね。それだと、やっぱり普及も止まっちゃうかもしれませんし、少しのポイントぐらいが、ポイントが付いて、そこに、それにつられて申し込む人も多いかもしれませんけども、それはやっぱり一時的なもので、もっとやっぱり普及させるためには患者のメリットっていうのはどういうメリットがあるのかっていうことをきちっと理解していただくことが必要なのかなあというふうに思います。
 
 例えば、薬剤情報だけじゃなくて、私の母なんかはもう90歳、91歳になりましたけども、病院に行ったときにですね、自分の情報もちゃんと伝えられないですね。もう忘れちゃっていて。例えば手術歴とか入院歴とか、どういう病気にいつなってたとか、アレルギーなんかも、その問診表とかも書いてって言われるわけですけども、それ、自分で書けないんですね。
 
 そのときに付添いの人ね、ご家族の方、来てないのとかって言われるらしいんですけど、そういう対応を家族がするってのはもちろん家族ですからやるのはいいんですけど、ただそれ、1人のときっていうのはそれできないので、やっぱりそういうときに、きちっとそういう確実なね、情報っていうのを医療機関が把握して、それに対応していただくということができればいいですし、やっぱり安心になると思うんですね。
 
 そういうメリットがあるんだよってことが1つ。それをちゃんと理解してもらうということが1つ。
 
 それと、今、肌感として私が通っている医療機関はどこも導入されてませんので、全く普及してないんじゃないかっていうふうなことで、思っちゃうんですね。
 
 やっぱり普及してなかった、対応してない所が多いっていうことは一体これどういうことなのかっていうね、ことは患者としても、別に、そんなのなくてもいいんじゃないっていうような感覚にもなりかねないので、やはり、これ、医療機関の皆さんにはですね、本気でこれ、取り組んでいただいて、費用の面もあるでしょうけれども、やっぱり将来的にどういうメリットがお互いにあるんだっていうことをもっと議論してですね、導入に向けて積極的にやっていっていただきたいというふうに思います。
 
 それから、もう1個、肌感としてはですね、薬局で毎月、保険証を確認するってこと、私、あんまり経験してないんで、その辺、ちょっと、どうなのかなと思うんです。病院なんかでは毎月確認とか毎回確認みたいなことやってますけど、薬局でそういうのってほとんどないし、一部のクリニックなんかでは、ほとんど見てないということもありますんで、その辺、なんか確認する方法を独自に持っておられるのか、たいして、言われなければそんな確認してないのか、その辺ちょっとよくわかんないんすけど、その差っていうのがある中で、点数取られるというところが、やっぱり納得しかねるなあというふうに思いますんで、
 
 私としてはですね、カード、マイナ保険証を持って行ったときに点数が高くなるってのは、これはやっぱり患者としては受け入れがたいと思うんですね。なので、これはやはり持って行ったほうが得になるというような点数設計というのをしないといけないんじゃないかなと思いますんで、そのあたりで検討していただきたいというふうに思います。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。はい、飯塚委員、お願いいたします。
 
〇飯塚敏晃委員(東京大学大学院経済学研究科教授)
 はい、ありがとうございます。1点目はですね、事務局に質問なんですが、サーベイを見せていただきまして、どうもありがとうございました。

 私が思いますに、オンライン資格確認、資格確認をするだけではなくて、実際に患者さんの情報をですね、これまでの健診だとか医薬品の利用状況をチェックするわけですけれども、この、丁寧に情報を確認するということは医療機関サイドにも相当負荷がかかる、あるいは追加的な時間がかかるというふうに通常思うわけですけれども、
 
 そのようなコメントは今回のサーベイには現れてなかったんですが、そのような質問をされたかどうかと、されたのであれば、どういった返事があったのかというのを少し知りたいというのが1点。
 
 2点目ですが、先ほど安藤委員からもございましたが、導入実績だけではなくてですね、実際のオンライン資格確認の利用状況を、ご報告をお願いしたいなというふうに思いました。
 
 それから3点目はですね、もういろいろな、皆さんからコメントがありましたんですが、私なりに考えますと、こういった情報がですね、今まで日本の医療機関というのは他の医療機関での治療歴ですとか服薬歴、あるいは私たちが毎年健康診断、義務でやっておりますけれども、そういった結果が、といった情報があるんですが、それが何もない状況で治療を行ってきたような医療機関が多かったと思うんですね。
 
 少し強い言葉で言いますと、かなり暗闇に近いところで医療を行わざるを得ないような状況もあったかと思いますので、この今回のオンライン資格確認でですね、そういった状況が劇的に改善するかもしれないっていうのは大変重要かなというふうに思ってます。
 
 先ほど来ですね、患者のメリットということが議論がありましたので、これは究極的には、実際に健康が改善したかどうかというのが重要な論点に最終的にはなるというふうに思っています。
 
 今後ですね、少し長期ですが、もしこういうものが導入されれば、そういったものもわれわれとしては見ていく必要があるんだろうなというふうに思っている次第です。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。間宮委員からお手が挙がってますので、よろしくお願いいたします。
 
〇間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 すいません。言い忘れたんですけど、今回、オンライン資格確認等システムを導入している医療機関とか薬局へのヒアリングってのは行ってますけど、これもちょっと母数は少ないとは思うんですが、患者へのヒアリングってのはないので、これを実施する予定があるかどうかっていうのをちょっと聞きたいなと思います。
 
 やっぱり患者への、患者がどういうふうに受け取っているのかっていうのはやっぱり確認する必要があるのかなというふうに思いますんで、そのあたり、どう考えているのか教えていただければいいなと思います。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。はい。それでは、多くの委員の方々からご意見、それから、ご質問を頂戴いたしました。事務局から、それぞれ回答をお願いいたします。
 
〇厚労省保険局医療介護連携政策課・水谷忠由課長
 はい。医療介護連携政策課長でございます。さまざまなご指摘、どうもありがとうございました。
 
 まず長島委員のほうから、このシステムベンダー等々に対する指導、これをしっかりやっているのか、そうした状況についてお尋ねがございました。
 
 私どもとして、システム事業者の導入促進協議会、こうしたものを組織して2月に第1回を開催して働きかけを行ってまいりましたが、去る6月10日にも改めてこの促進協議会を開催いたしました。
. 

.
 そこでは、この6月7日に閣議決定された、この骨太の方針、こうしたものをお伝えする中で、改めまして、この来年3月末までに、その全てのこのシステム事業者の方それぞれが、いわば顧客としておられる、その医療機関・薬局へのシステム導入が完了するように、そうした導入計画の策定というのをお願いをしております。
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. 
 またあわせて、やはり今、なかなかシステム事業者側からは、医療機関・薬局からの申し込みが少ない、そうしたようなお声も聞くわけですが、まさにこうした原則義務化という方針の中で、これからこのシステム改修の依頼等も増加することが予想される。そうしたことを前提として、引き続き、その医療機関・薬局への営業活動、また改修に対応できる体制の強化、こうしたことをお願いをしているわけでございます。
 
 それから、長島委員から、あるいは、また松本委員のほうからも関連する財政措置の見直しということについて、ご指摘を頂戴いたしました。
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 これは先ほどの説明の繰り返しになりますが、閣議決定の中で、この医療機関・薬局でのシステム導入が進み、「患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す」というふうに書いてございます。まさにこうした趣旨にのっとって今、私どもとして財政当局と調整をしているところでございます。
 
 実際、現場で動いていただく意味においても、こうしたものを早くお示ししていくことが重要だとわれわれとしても考えてございますので、そうしたこと、財政当局と調整がつき次第、速やかに公表させていただきたいというふうに思ってございます。
 
 それから、長島委員、有澤委員、林委員それぞれから、実際、その光回線が必ずしも通っていないような、そういう離島、へき地、あるいは都心でもビルのような状況、あるいはベンダーでの対応の遅れなど、そうした状況への対応についてお声を頂戴いたしました。
 
 また一方で、松本委員のほうからも、なぜいきなり例外の議論なのか、そうしたご指摘も頂戴したところでございます。
 
 私どもといたしまして、まずオンライン資格確認の導入の義務、この対象となるこの医療機関・薬局、逆に例外となる医療機関・薬局、こうしたものの範囲を中医協でご議論をいただき、お決めいただきたいと考えております。
 
 その上で、来年4月からの導入に向けて、これは医療機関・薬局だけでなくシステム事業者なども含めまして、関係者それぞれが取組を進めていただく、こういうことが重要だと考えておりますし、厚生労働省として、これに向けた周知徹底、あるいは環境整備、こうしたことは最大限努力していく、そうしたスタンスで臨んでまいりたいというふうに考えてございます。
 
 このように、この導入に向けて課題となっていることへの対応を行って、関係者それぞれが努力をしていただく、こうしたことが大前提となるということでございますが、それでもなお来年4月からの導入が困難な状況、こうしたものが仮に生ずるような事態があればですね、それは例えば年末ごろに、そうした状況について地域医療に混乱をきたさないか、そうした観点も含めて点検を行って必要な対応について検討する、そうしたことが考えられるのではないかというふうに事務局としては考えてございます。
 
 それから3点目。安藤委員、佐保委員、それから松本委員から、この例外となるものについて、これを縮減していくという方向性について、お尋ねを頂戴いたしました。
 
 私どもとして今回、原則義務化の例外といたしまして、請求省令上、紙レセプトでの請求が認められている医療機関・薬局、こうしたものについて例外としてはどうかということをお示しして、ご議論をいただいているところであります。
 
 一方で、この紙レセプトでの請求ということにつきましては、本年6月7日に閣議決定をされました規制改革実施計画におきまして、
 
 「厚生労働省は、より効果的・効率的な審査支払システムによる審査等のためには、紙レセプトはもとより、電子媒体による請求が行われている場合も含め、オンライン請求への移行を進める必要があることから、オンライン請求を行っていない医療機関等の実態調査を行うとともに、その結果も踏まえ、将来的にオンライン請求の割合を100%に近づけていくための具体的なロードマップを作成する」
 
 こうしたことを令和4年度末、今年度末目途に措置するということが閣議決定されておりますので、私どもとして、こうした方針に沿って議論を進めてまいりたいというふうに思ってございます。
 
 それから、飯塚委員のほうから、オンライン資格確認の利用状況についてご報告を、というご指摘を頂戴いたしました。すいません、私どもとして資料をきちんと示しておらず大変失礼いたしました。
 
 オンライン資格確認の利用状況でございますが、月ごとにですね、状況をご報告させていただいてございまして、本日、6月末時点までの期間での状況を、これちょっと、今この時点か、あるいは、もうすぐですね、公表される予定となっております。
 
 6月分、単月で申し上げますと、この資格確認、オンライン資格確認等システムを活用した件数がですね、失礼しました、運用開始から6月末までの間で約2.5億件でございまして、6月単月で見ますと、5,162万件の資格確認が行われてございます。
 
 だいたい単月でのレセプト請求が1.7億回ということでございますので、比率で申し上げますと、30%強のものがこのオンライン資格確認等システムを活用したかたちで資格確認が行われているという状況でございます。
 
 また、医療機関・薬局において、この特定健診等情報、薬剤情報を閲覧いただいた件数ですが、6月単月で特定健診等情報が約4万9千件、それから薬剤情報が約12万9千件ということで、これも前月5月分と比べまして、それぞれ倍程度に伸びている、こうした状況でございます。引き続き、私どもとしてオンライン資格確認の利用促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 
 残余の点については医療課長のほうからお答えをさせていただきます。
 
〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
 はい。続きまして、医療課長でございます。飯塚委員より、この医科・歯科・調剤、それぞれ患者さんの情報を丁寧に確認することが必要であろうと。そのような手間なり確認の方法、実態について問うたのかということで、ご質問でございました。
. 

. 
 それはこちらの資料の17ページでございますけれども、こちら、3に初診時・調剤時等における患者さんの情報の確認ということで、アンケート結果、それぞれお示しをしてございます。
 
 一般的に申し上げて、医療を提供する、あるいは診断をする、そして治療方針を確定する際に、その患者さんの既往歴、薬剤情報も含めた既往歴というのを確認をするというのは非常に大事なことでございます。
 
 現在、それを医科・歯科・調剤、それぞれの現場でさまざまな工夫により、まずは問診、あるいは、それを補助するような問診票ですとか、そういったもので効率的に取得しているような状況だというふうに承知をしてございます。
 
 次に、間宮委員から患者さんのヒアリングについてやったのかどうかということでございますけれども、これも17ページのですね、括弧4、「オンライン資格確認等システム導入に対する患者の声」ということでございますが、実は、これは患者さんに直接お聞きしたものではございません。医療機関を通じてお聞きしたというふうなことでございます。
 
 先ほどのご指摘も踏まえまして今後、このオン資の導入による影響調査というようなこと、どのようなことができるかということは、私ども、ご指摘を受けて考えてまいりたいというふうに思っております。
 
 それから薬局で、間宮委員から、薬局で保険証を確認されることがないというようなご指摘もございましたが、これおそらくですね、処方箋に保険証の番号がですね、もしくはあったりする場合もございまして、そういう場合もあろうかとは思いますが、そのような場合もあるというふうに思います。以上でございます。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございます。ほかに、ご質問等はございますか。松本委員、お手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
 
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。時間が超過しているところで申し訳ないです。6ページにありますとおり、まず顔認証付きカードリーダーを申し込んでない医療機関が4割程度あるわけですけども、
. 

. 
 来年4月からの義務化に対応するためには、基本的にはいつまでに申し込むのが理想的というか、想定されているのか、これ事務局から少し教えていただければと思います。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。
 
〇厚労省保険局医療介護連携政策課・水谷忠由課長
 はい。医療介護連携政策課長でございます。ご質問どうもありがとうございました。
 
 私どもとして、5月25日の医療保険部会におきまして、遅くとも9月頃までにカードリーダー未申込の施設による申し込みが必要となるといった状況をお示しをさせていただいてございます。
 
 顔認証付きカードリーダーは受注生産となっており、申し込みから配送まで4カ月程度が必要になる。こうしたことも踏まえて、そうしたことをお示しをさせていただいているところでございます。
 
 もちろん、こうした原則義務化ということをご議論いただくにあたって、私どもとしてもカードリーダーのメーカーに対するさまざまなヒアリング等を行う中で、どういった対応が可能かということは検討しておりますが、現時点で私どもとしてお願いしているのは、こうしたことをお示しをしながら、なるべく早期の申し込みをお願いしている、そうした状況でございます。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございます。間宮委員、お手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
 
〇間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 さっき、薬局での対応でお答えいただきましたけど、たぶん、そうなんでしょうね。
 
 処方箋に保険証の番号、書いてあるので、保険証はちゃんと有効であるということが確認できているから、いちいちまた確認しないということになると思うんですけども、そうすると、今後、薬局でどういう対応をするのかっていうのは、これ、ちゃんとしとかないといけないのかなというふうに思います。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございました。はい。ほかに飯塚委員、お願いいたします。
 
〇飯塚敏晃委員(東京大学大学院経済学研究科教授)
 はい。先ほど私の質問でお答えいただいた件なんですが、実際にどの程度の場合に、オンライン資格確認制度が使われているかと、ちょっと私の誤解かもしれませんが30%ぐらいというお話でしたが、
 
 実際にそれがマイナンバーカードを使ったものなのか、それとも体制を整備したものなのか、少し、いろいろなパターンがあると思いますので、できましたら、今回ではなくて結構ですので少し整理して、ご報告いただければと思います。お願いいたします。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、よろしいですか。
 
〇厚労省保険局医療介護連携政策課・水谷忠由課長
 はい。医療介護連携政策課長でございます。大変失礼いたしました。次回、きちんと資料を出して、ご説明をさせていただきたいと存じますが、
 
 私が申し上げました合計5,262万件というのはオンライン資格確認システムを利用した資格確認の件数でございまして、その内訳といたしましては、マイナンバーカードによるもの、それから従来の保険証によるもの、それから一括照会として医療機関等が事前に予約患者の保険資格が有効かどうか等をですね、照会すること、そうしたものを含めた合計の件数でご報告を申し上げました。
 
 次回、そうした内訳も含めて資料できちんとご報告をさせていただきます。失礼いたしました。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございます。あとはよろしいでしょうか。
  
 はい。今日、多くの委員の方々から貴重なご意見、それから、ご質問をいただきました。本件に係る質疑、本日はこのあたりといたしますが、今後、事務局におかれましては本日いただいたご意見を踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
 
 時間が超過して恐縮ですけれども、もうしばらくお願いいたします。
 
 続きまして、今の件と関連するんですけれども、「医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付け及びこれに伴う診療報酬上の加算の取扱いについて(諮問)」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
 
〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
 はい。医療課長でございます。資料「総-4」をご覧ください。本件に関しまして、中央社会保険医療協議会 小塩隆士会長に対しまして、後藤茂之厚生労働大臣より諮問書が出されてございます。
 
 一部読み上げさせていただきます。
 
 
 (以下略)

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