「敷地内薬局」をご存じでしょうか。厚生労働省の会議でちょっと議論になっています。「敷地内薬局」とは、ザックリ言えば病院の敷地内にある薬局のことです。診察を終えて会計を済ませたら、すぐ目の前にある薬局に処方箋を出せます。とても便利じゃないですか。何が問題なのでしょうか? 【新井裕充】
私もよくわからないのですが、どうやら「医薬分業」という考え方が根っこにあるようです。医師は医療、薬剤師は薬ということでしょうか。ならば、薬の専門家である薬剤師に処方権または処方変更権を認めるべきです。
私は10年ぐらい前、薬剤師の学会で「薬剤師に処方権を認めるべき」と主張しましたら、シンポジストである厚労省の幹部から「現場でさまざまな取り組みを積み重ねて、それが全国に広がっていって、いずれ制度になる」と否定されましたので、「制度を変えなければ全国に広がりようがない」と反論したことがあります。
それはさておき、敷地内の薬局を批判する場合によく出る言葉が「かかりつけ薬局」とか「かかりつけ薬剤師」です。ここでますますわからなくなります。
例えば、いつも通院している病院があって、その病院の先生が「かかりつけ医」だとします。そして、その病院の敷地内に薬局があって、いつもその薬局に処方箋を出すのであれば、それが「かかりつけ薬局」または「かかりつけ薬剤師」ではないんですか?
病院と一体化したような薬局であれば、かかりつけ機能を十分に発揮できるように思うですが、なんか間違っているでしょうか。
最近、医薬品の供給不足が問題になっています。私も先日、行きつけの薬局に処方箋を持ち込みましたら、「これとこれはあるけど、これがない」と言われました。「じゃあ、これだけください」と言いましたら、「それはできないんです」と言われ、自転車で1時間ぐらい都内の薬局を回りました。この暑い中、とんでもないですよ。
もし、薬局の在庫情報を病院が持っていれば、つまり病院と薬局が一体化していれば患者にとって便利だと思いますが、いかがでしょうか。
もし、「医薬分業」を高らかに叫ぶのあれば、処方に関して薬剤師に独立の権限を認めなければ進まないのではないでしょうか。
以下は、7月26日の中医協総会での説明と質疑の抜粋です。同日の総会では「調剤」がテーマになり、その資料の中で「敷地内薬局」をめぐる問題が示されました。
質疑で敷地内薬局に言及したのは、診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)と支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)だけですが、関連する発言も掲載します。
1.敷地内薬局に関する説明
〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
(前略)95ページ目。最後⑥で、薬局の体制に関する評価でございます。
96ページ目が、体制評価の考え方。
97ページ目は経緯。
98ページ目は、前回の見直しの資料でございます。
その結果、99ページのとおり、基本料の構成比の推移でありますけども、
新しく新設された300店舗以上に対する調剤基本料3の「ハ」の薬局数が15%を占めており、
調剤基本料1の薬局は70%程度に減少しているというものでございます。
次に、100ページ目。
こちらは地域支援体制加算の見直しの資料でございます。
101ページ。その結果。算定状況でございますが、今、全体としては4割弱で算定しております。
また、基本料別にいくと、調剤基本料1の算定薬局では4割強。
それ以外の薬局では約3割で加算を算定しているという状況でございます。
102ページ目。関連して、医薬品の備蓄品目の数でございますが、
医療用医薬品は、地域支援体制加算を算定している薬局のほうが品目数が多いという結果でございます。
OTC、いわゆる市販薬に関しては、100品目以上を備蓄している薬局もあれば、20品目以下という所も4割弱。
あるいは、全く置いてないという所も8%存在するというものでございます。
次、103ページ。
これは無菌調製の実施状況でございますが、特に麻薬関連の算定回数が増加しているというものでございます。
104ページ目。
こちらは「在宅(その1)」で示した資料ですが、104から106は麻薬の管理に関して。
107ページ目は、医療材料に関する状況ということで資料を付けております。
あと、108ページ目。いわゆる敷地内薬局に関してですが、
こちらの経緯そのものは、医薬分業が進みだしたころの「第二薬局」の問題から、医療機関との独立性に係る規定が設けられて、
あとそれを経て、平成28年にはですね、この構造設備の緩和ってことで、いわゆるフェンス規制が廃止されて、
それ以降、敷地内に開設する薬局の基本料、そういったことの設定とかがされているという状況でございます。
109ページ目と110ページ目は、検討会やワーキングの中で、敷地内薬局の機能に対する指摘や懸念等が示されております。
111ページ目ですけれども、こちらは、
医療機関の敷地内に開設する場合は、医療機関がこういったことで公募することになりますが、その要件の例を示したものでございます。
薬局の機能に関するもののほか、それ以外の要求もあったりして、レストラン、カフェとか医療機関の設備を設けることを要求されている例もあるというものでございます。
次、112ページ目。こちらは敷地内薬局の機能に関して。
厚生局の届出データからの解析では、
・処方箋受付回数が多くて、
・備蓄品目数や、かかりつけ薬剤師指導料等の届出は同程度ですが、
・地域支援体制加算の割合は少ない
ということで、全体と比較したら、そういった状況だったというものでございます。
次、113ページ目。これは医療機関の薬剤部から見た調査でございますが、
敷地内薬局があると回答している医療機関において、その薬局と連携しているものが何があるかということで、
右側にグラフありますが、連携項目は少なくて、あとは半数以上は連携していないという回答もあったので、
母数自体がちょっと少ないデータではありますが、医療機関側からは連携していると認識されていない割合も多くなっているという結果でございます。
114ページ。こちらは敷地内に開設するイメージ図ですけども、当初、左のように、いわゆるフェンス規制を廃止して敷地内の中で行き来できるように、医療機関と薬局ができるようにしたというものでございますが、
例えば、右のような薬局もあったり、公道を利用する住民からは識別しにくかったり、
あとは、処方箋以外の内容ではなかなか利用しにくい地理的状況になっているというものでございます。
あと、115ページ目。
こちらは先ほど(の議題)「感染症(その1)」でもありましたが、薬局に関しては連携強化加算っていうのがありますので、
116ページ目は、医療計画の中での、こういったこともあります。
あとは、117ページ目。これ、実際には別のデータになりますが、
連携強化加算を算定している薬局のほうが、コロナ治療薬とか検査キットを取り扱っている割合が多くなっているというものでございます。
118ページ目からが後発医薬品の関連で、
後発医薬品自体はですね、薬局だけでもありませんので、別途、議論する機会を設けたいと思ってますが、
今回は薬局の状況だけ、データを示しております。
(中略)
121ページ目は現在の算定状況でございます。
長くなりましたけども、122、23で課題と論点をまとめております。
課題はこれまでの資料の概要を記載しておりますので、論点だけ説明いたしますと、
123ページ目、論点3つ、示しております。
薬局・薬剤師が、対物中心の業務から
患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトすることにより、
患者・住民の薬物療法や健康維持・増進の支援に一層取り組む観点から、
最近の診療報酬の各種算定状況も踏まえ、
調剤報酬における評価のあり方について、どのように考えるか。
2つ目。
かかりつけ薬剤師・薬局の取組の促進、
多剤・重複投薬への取組、
在宅の対応など、
薬剤師が他職種と連携しつつ専門性を発揮して
質の高い薬物療法を提供するために
必要な対応に係る評価について、どのように考えるか。
3つ目。
薬局は立地に依存するのではなく、
患者・住民のニーズに対応する機能も果たしつつ、
地域における医薬品の供給拠点としての役割を発揮するため、
周囲の薬局との連携も含め、
薬局の体制に係る評価について、どのように考えるか。
ということでございます。説明は以上でございます。
2.敷地内薬局に関する診療側の発言
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。森委員、お願いいたします。
〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
はい、ありがとうございます。少し時間をいただきます。まずは調剤報酬改定に向けた全体的な認識を述べさせていただきたいと思います。
(中略)
敷地内薬局については、令和4年度の改定でも対応しましたが、業界誌等の報道によると、その後も増加しており、
111枚目の黒丸の3つ目にあるように、医療機関の施設建設などを条件とするなど不適切な募集が続いています。
適切な医薬分業のためには保険薬局は保険医療機関からの経済的・構造的・機能的に独立していることが不可欠と考えますし、
地域包括ケアシステムの構築を進めている中で、敷地内薬局はそのような立地で開局する薬局開設者の姿勢としても、国の目指す姿に逆行するものです。敷地内薬局については、さらなる強い対応が不可欠です。
先ほどの感染症の議題でも触れましたが、連携強化加算は、行政等と連携し、地域医療に貢献するということや、感染対策に積極的に取り組んでいることを評価するもので、
コロナ対応でも、この加算を算定している薬局が行政側からも責任を持って対応できる薬局と認識されたものであり、今後の地域包括ケアシステムの中で非常に重要な役割を担うことになります。この加算は多くの薬局が取り組めるよう推進していくべきものと考えます。
(中略)
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
はい。まずは総論です。薬局につきましては、
・地域に根ざしているのか。
・しっかり地域において連携が図れているのか。
・24時間対応しているのか。
という点を評価していくべきと考えております。
資料20ページ以降に、薬剤師の偏在や給与の違いなどの資料が示されておりますが、
偏在は、地域偏在もさることながら、病院と薬局における偏在のほうがより大きな問題であると考えます。
ここで、こういった資料を提出いただいていることを踏まえますと、調剤財源において適切に対人業務へのシフトを行っていくと同時に、薬剤師の評価については、調剤全体、薬剤政策全体の観点から検討を深めていくべきと考えます。
その上で、課題と論点に沿ってコメントいたします。
まずは医療機関と薬局の連携等についてです。
医療機関と薬局の連携が進んでいることは評価できる点だと思います。連携は点と点ではなく面での連携に広がるような制度であるべきと考えます。
医療機関については、サイバーセキュリティ対策に取り組みつつ、医療提供における適切なICTの活用を引き続き進める必要があります。
14ページにある「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」で指摘されているとおり、薬局においてもICTの活用をセキュリティに十分配慮しながら進める必要があります。
ビデオ通話で医療機関との会議、研修に参加することなど、小規模薬局でも実施可能なことはあると思いますので、引き続き推進をお願いします。
また、88ページの資料によると、医療機関が希望する情報と薬局が提供する情報で差が大きなところがある。例えば、残薬が発生してしまった理由などがあるということ。
また、91ページの資料によると、退院、在宅移行時に医療機関では希少疾病医薬品、無菌製剤処理についての対応可能な薬局の把握が困難との回答が5割以上ということで、
医療機関のニーズとのギャップがあるということが判明しておりますので、
今後、医療機関と薬局の連携を進める上では、医療機関のニーズをきちんと把握していただいて、ギャップをしっかり埋めていただくということが非常に重要だろうというふうに考えております。
続いて、薬局の体制に関する評価についてです。
前回改定で調剤報酬の体系を大きく変えたばかりで、新しい体系を踏まえた分析と評価が次期改定に向けて十分に行えるのかが鍵になると理解しております。
事務局におかれましては、そのために必要な資料の用意をお願いします。さまざまな医薬品に対応できなければ、薬局の存在意義自体が疑われてしまいます。必要な薬剤を保管・管理できるような設備が必要です。
過去に、薬剤師会委員より、小規模薬局で地域に密着している薬局は在庫数は自然に多くなるとの発言もございましたが、ここについては今も変わりはないものと認識しております。
最後に1点。事務局に質問させていただきます。3ページのグラフを見ますと、薬局の業態変化が見られます。
右側のグラフの数字から計算しますと、「2-5店舗」の法人が、令和元年では370法人ほどであったのですが、令和3年では一気におよそ200法人まで減少し、
一方、「20店舗以上」の法人が増えているようです。
医療機関では、ここまで急激な業態変化はありません。
薬局を所管する医薬・生活衛生局の方針によるのかもしれませんが、今後もこのような傾向が続くのかどうか、教えてください。私からは以上です。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい、ありがとうございました。今、長島委員から薬局の業態変化についてのご質問がございましたが、事務局いかがでしょうか。
〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
はい。薬剤管理官でございます。3ページ目の店舗数のそういったところにつきまして、ちょっと今後のちょっと状況がどうなるかってところまではですね、事務局としても予測が難しい状況でございます。
ただ一方で、こういったかたちで実態調査とか、あるいは各種調査の中でも、どのくらい1法人、グループの中で店舗を設けてるかってところも聞きながら分析して調査しているとこもありますので、
実際に、こういったことを議論する上では、こういう店舗の実態も踏まえながらですね、データもお示しして対応していくことが必要かなと思ってるとこでございます。
ちょっと、回答になってるかどうかわかりませんけども、以上でございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
長島委員、よろしいでしょうか?
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
はい。このような業態変化というのは、保険医療の在り方にも影響しうるものですので、きちんと検討をお願いしたいと思います。以上です。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
ありがとうございました。ほかに、ご質問いかがでしょうか。はい、松本委員、お願いいたします。
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
はい、ありがとうございます。
まず最初に総論といたしまして、次回改定は9ページにも示されております平成27年に厚生労働省が策定いたしました「患者のための薬局ビジョン」において、
全ての薬局をかかりつけ薬局とするとされた2025年を目前に控えていることを十分に意識して、かかりつけ薬剤師を中心に薬局の機能をより一層高めることが重要だろうということを指摘させていただきます。
続きまして、123ページの論点に沿って意見申し上げます。
まず対物業務から対人業務へのシフトにつきましては、前回改定で評価体系を見直しましたけども、
個人的な印象ではございますが、今回の資料を見る限り、薬局の実態が期待どおり変わったというふうにはなかなか受け取れないものだろうというふうに感じております。
次回改定では、薬学的管理指導がより充実するような見直しが重要だということを強調させていただきたいと思います。
具体的には、資料38ページを見ますと、複数の医療機関を受診し、6種類以上の内服薬を使用している患者を対象とする調剤管理加算が高齢者で多く算定されておりますけども、
前回改定で支払側のほうからは、ポリファーマシーの是正に逆行するのではないかという指摘をした経緯もございます。
次のページ、39ページを見ますと、6種類以上の患者に処方提案が多く実施されているということでございますが、この加算の有無により処方提案に差がないか、しっかり検証する必要があるというふうに感じております。
また、調剤や患者と直接対面する業務ではなく、書類の作成に時間がかかっているというデータが、68ページ以降に紹介されておりますけども、
これはある意味、基本的な業務であり、このために対人業務に時間が割けないという理由にはならないというふうに感じますし、
これを調剤報酬で考慮するということにもなり得ないというふうに思いますので、これにつきましては業務の効率化等を図っていただいて対応していただきたいというふうに思います。
一方で、薬剤師による調剤後のフォローアップについて、50ページの資料を見ますと、18%の患者に実施され、患者からも不安の解消や意識の向上といった前向きな回答が出ております。
48ページにありますとおり、必要な患者にしっかりとフォローアップが行われるように、引き続き取り組んでい(ただ)きたいというふうに思います。
続きまして、論点の2つ目についてコメントいたします。
かかりつけ薬剤師指導料については薬局の6割が届出を行っているということですけども、冒頭に申し上げました薬局ビジョンを踏まえれば、さらなる推進が期待されております。
ただ、資料78ページを見ますと、届出をしていない理由として、夜間・休日の相談体制がとれないということが示されております。
休日・夜間対応につきましては、かかりつけ医と同様に、極めて重要な機能でもありますので、要件の緩和はあり得ないというふうにコメントいたします。
次に、重複投薬、多剤投与や残薬解消の取組については、電子処方箋の導入による自動チェックで重複投薬の確認が効率化されることを踏まえれば、
調剤報酬による評価の在り方を見直す余地があるものというふうに考えます。
次に、88ページを見ますと、医療機関が薬局に希望する情報と薬局から医療機関に提供される情報に差があることがわかっております。
医療機関の期待に応えて、薬局からもっと積極的に処方提案を行うべきであり、
特に、処方提案の結果、実際に処方の変更が行われる際の評価を充実するなど、評価のメリハリを強化するべきです。
続いて、最後の論点にあります薬局の体制に関する評価ですけども、資料99ページを見ますと、調剤基本料1については、令和4年の改定で新設された基本料3の「ハ」に移行している状況が見てとれます。
調剤基本料は薬局経営の効率性を踏まえ設定していることから、調剤基本料1について、どういった薬局が算定しているのか、さらに実態の検証が必要だというふうに思います。
資料101ページに移っていただきまして、地域支援体制加算の現状を見ますと、令和4年度の改定で、地域医療への貢献に係る体制や実績に応じて評価体系を見直したものの、まだまだ実績評価には弱い印象がございます。
地域医療に貢献している薬局を評価する観点からも、102ページのOTC医薬品の販売状況を踏まえ、要件の厳格化が必要だと考えております。
3.敷地内薬局に関する支払側の発言
資料108ページ以降に記載がございます敷地内薬局ですけども、112ページを見ますと、効率的に大量の処方箋が処理されていることがわかりますけども、
一方で、113ページの連携状況を見ますと、医療機関との連携が必ずしも図られていない状況となっております。
連携していたとしても、その内容としては業務の簡素化が最も多くなっていることもわかります。
実態をより詳細に把握し、場合によっては特別調剤基本料以外の部分についても、さらなる見直しを検討すべきです。
最後に、後発医薬品調剤体制加算については、安定供給が困難な品目に配慮しつつも、国の目標を踏まえ、保険財政の観点からは、後発品の使用促進が引き続き重要であることは強く指摘させていただきます。私からは以上になります。
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
(前略)60ページの認知症患者に行った薬学的管理として、ケアマネージャー等との連携、在宅担当医への処方提案が実施されているとありますが、
こうしたやり取りにつきまして、メールや電子掲示板等の活用等もある程度、電子化されている状況なのでしょうか。この部分につきましても把握している範囲で構いませんので教えていただければと思います。
特に、62ページの薬剤情報提供文書については、認知症の方が薬を飲み忘れたり、飲み合わせの悪さで副作用を引き起こしたりすることのないよう、ケアマネージャーや在宅の担当医と電子的に連携できる手段があるとよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
また、82ページにありますとおり、薬局の薬剤師が行う疑義照会は応需処方箋のうち2.6%にとどまっております。残薬、多剤投与の解消に向けて、薬剤師と医療・介護関係者のより一層の連携に課題があるように見受けられます。
こうした課題の解消のためにも、ICT化を通じてスムーズに互いの保有する情報や問題意識を共有できるような環境を整えていただきたいと思います。以上でございます。
(中略)
〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
(前略)認知症の方の服薬の管理に関してなんですけども、ちょっとこの調査自体で、どういった手段で、というところまでは把握できてはおりませんけれども、
さまざまな連携の仕方、もちろん、その場に行ってですね、やり取りするとか、あるいは文書で情報提供するとか、いろんなケースはあろうかと思います。
その中で、電子化がどこまで進んでるかってところもですね、やっぱり、いろんなツールの活用なんかは実際、在宅とかを含めてやっている中では活用しているケースなんかもあろうかと思いますが、まだまだ少ないのかなあと思ってます。
ただ、いずれにしても、こういったような連携体制に関しまして、薬局の関わり方、それが紙、電子というところも含めてですね、このあたりがどういったことが把握できるか、
そういったところもわれわれとしても、ちょっと調査というか、調べながらですね、今後の議論の中で必要なものをお示しできればと思っております。以上でございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
ありがとうございます。安藤委員、よろしいでしょうか。
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
はい、ありがとうございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい、ありがとうございます。はい。長島委員、お願いいたします。
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
はい、認知症の方の服薬管理の現状の所で、ICTの活用ということで、認知症に限定せず在宅医療において多職種間が情報連携をして服薬も含めて、さまざま連携をしているということは、
日本医師会では毎年、全国の各地方の地域医療連携ネットワークの調査をしておりますが、その中では、いわゆる多職種連携ネットワークというのも広く行われています。
特によく使われているのが専用のSNSなどを用いて、医師・薬剤師・ケアマネージャー・看護師さん等、さまざまな職種がその中で情報交換をしていると。
その中で、例えば、ある方が行ったときに「服薬状況あるいは残薬状況はこうでしたよ」というようなこともみんなで共有したり、さまざまな相談もされているということで、その中の情報共有というのはかなり広く行われているという実態は把握しております。以上です。
(中略)
〇眞田享委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長代理)
(前略)16ページの薬局薬剤師ワーキンググループの取りまとめでも言及されているとおり、DX、あるいは業務の効率化をより改善すべきものであるというふうに考えております。
例えば、電子処方箋の活用をより一層進めることで作業の大幅な効率化や医療機関との円滑な情報連携等が期待できるところであります。
このほか、薬剤師の業務の中でもDXとともにBPR、ビジネスプロセス・リエンジニアリングの視点からも、紙やFAXによる対応の削減であるとか、あるいは事務作業の標準化を進めるということが重要であるというふうに考えております。
医療機関との服薬情報の連携についても、薬局側から提供される内容と医療機関が希望する内容にミスマッチが見られているところでありますが、この情報の利活用が進むよう双方ですり合わせをし、項目を精査してはどうかというふうにも思います。
これら、報酬上の、その対応以外の策を十分に検討すべきだということを申し述べたいと思います。以上でございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
ありがとうございました。続きまして高町委員、お待たせいたしました。お願いします。
〇高町晃司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
はい。すいません。かかりつけ薬剤師についてですが、34%の患者に、今、かかりつけ薬剤師がいるということですけれども、これが診療報酬で評価されているということについての周知はまだまだ、だと考えています。
資料によりますと、患者が、かかりつけ薬剤師がいることによるメリットが、
・薬を継続的に管理してもらえることとか、
・薬の飲み合わせをチェックしてもらえること、
とありますが、このようなことは、どの薬剤師にも期待したいことです。
かかりつけ薬剤師には、それに加えまして、薬の副作用、副反応の把握や在宅時の服薬指導なども期待したいと思います。
これらを通じまして患者との信頼関係を構築して、患者にとって、薬のことに関しては、どんなことでも相談ができるということを患者がこのメリットをわかれば、より多くの患者が、かかりつけ薬剤師についてもらおうと考えると思います。
そうすることによって、この制度がより強化されていくのではないかと考えております。ありがとうございます。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい、ありがとうございました。ほかに、ご質問等はございますか。はい、森委員、お願いいたします。
〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
はい、ありがとうございます。さまざまな意見ありがとうございました。
高齢化が進んでですね、高齢者に薬剤の粉砕だったであったり加工であったりに伴う調剤が増加をしております。そうしたことに関して薬剤師は製剤学的な視点から、さまざまなことを考えて調剤をしています。
そうした対物業務を基本とした上で、今回の改定でも対人業務をいかに充実していくかということで、しっかりと議論をしていきたいというふうに思ってます。
対物業務の充実にとって重要なことの1つとして、長島委員からもありましたが、1つはやはり地域に密着ということは確かにあるというふうに思います。
もう1つは、かかりつけ機能の強化ということがあります。
先ほど松本委員のほうからも24時間対応は当たり前だろう、おっしゃるとおりだというふうには思います。
何かあったときにしっかりと対応できるっていうのが、かかりつけ薬剤師の基本だというふうに思ってます。
また、高町委員からありましたけども、かかりつけ薬剤師だからこそ、その人の生活やですね、習慣などをきちっと理解した上で、より細かな対応ができるというのもメリットだというふうに思ってます。
先ほど24時間対応の、実はですね、担当の患者さんから24時間直接連絡がつく体制、または24時間開局しなければいけないなどですね、ちょっと勘違いされているところが現場ではあってですね、若干、かかりつけに進まないとこがあるんではないかと思います。
何かあったときにしっかりと責任を持って対応するということでですね、もって、このことに関しては進めていきたいというふうに思っておりますので、ぜひ、この改定で、よろしくお願いしたいというふうに思います。以上です。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
はい、ありがとうございました。ほかに、ご質問等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。はい。それでは、ほかにご質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
今後、事務局におかれましては、本日いただいたご意見も踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。
(散会)