「2年間の初期研修は崩さず、このままがいい」 日病の相澤会長、理事会の議論を報告

相澤孝夫会長_20190702日病会見

 日本病院会(日病)は7月2日、定例記者会見を開き、医師の初期研修の在り方に関する議論の概要を報告した。相澤孝夫会長は「2年間は臨床医の基礎を養うという意味において非常に重要な時期で、技術よりも医師としての人格の涵養や医師としての倫理などを学ぶことが極めて大事」との意見を紹介した上で、「2年間の初期研修は崩さずに、このままやっていったほうがいいのではないかというご意見が大半であった」と伝えた。【新井裕充】

 この日の会見は、①6月29日の常任理事会について、②その他(身元保証人等の状況に関する調査結果)──の2つ。このうち①では、全国医学部長病院長会議(AJMC)から検討を求められた「初期研修の前倒し」などについて議論した結果が報告された。②では、神奈川県病院協会が実施した調査結果が示された。

 相澤会長の説明は以下のとおり。

[日本病院会・遠山明広事務局長]
 本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。ただ今から定例記者会見を開始いたします。

 まずはじめに、私、7月1日付で事務局長に就任しました遠山と申します。6月いっぱいで前任の方が退任されまして、その後任としてお世話になります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず相澤会長のほうからお話をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

 ▼ 日本病院会ニュースによると、遠山明広氏は北海道函館市出身の58歳。国立病院事務職として入職後、厚生省(当時)に出向、医政局、大臣官房人事課、保険局、関東信越厚生局、国立国際医療研究センター、九州厚生局等を経て2019(平成31)年3月に退官した。

[相澤孝夫会長]
相澤孝夫会長2_20190702日病会見 今日は主に2つ、お話をしたいと思います。1つは、「全国医学部長病院長会議」、AJMCから(日本)病院会で検討してほしいということがございまして、検討したということ。

 それからもう1つは、身元保証人をどうするかという問題と、それに関して、いま病院で問題になってるのは・・・、

 身元保証を取っているもともとの始まった原因は何かということと、それが今、なかなか原因が、大変困ってることが解決できてないということについてお話をさせていただきたいと思います。

 まず最初の「全国医学部長病院長会議」からの、「(日本)病院会で検討してくれ」ということですが、将来、「目指すべき医師像」というものを頂きまして、

 そして今、AJMCが考えているのは、「これまでの研修がプライマリーケアが非常に重んじられて、ファーストエイドがそれほど充実してなかったんではないか」ということで、これを、「ファーストエイドを充実させた研修に移りたい」と。

 その理由は、「学生時代にこれを一生懸命やることによって、初期研修の時にも、はじめからかなり専門的な研修ができるのではないか」というご意見があるということで、

 「今、2年間の初期臨床研修も少し前倒ししていくことによって、その後の専門医研修も前倒しできるのではないか」というご意見を頂き、そのことについて検討していただきたいということで、常任理事会で議論をいたしました。

 今、医学部教育の改革、見学型から診療参加型の臨床の実習に変えていって、そして、そこではCBTだとかOSCEを使って、ある程度の質を担保しつつ、医学生の教養試験をしっかりとさせることによって、今、問題となっている医師国家試験の弊害というのが解除できるのではないかというようなご意見が、まず1つありました。

 それに関しましては、日本病院会としても、医学部の教育をそのように変えて、そして初期研修に円滑に入っていけるようにすることは賛成であるし、

 今の医師国家試験の問題点というのは、医師国家試験に合格するために、6年生の一番重要な、臨床医師としての基礎の基礎の基礎をつくる、その6年生のときに医師国家試験に合格するということを目指した勉強だけに追われてしまうと。

 場合によっては1年間、それに追われてしまうということがあって、「この1年間、非常にもったいないのではないか」という意見があって、それはそのとおりではないかと。

 今の学生教育を変え、医師国家試験を変えることによって円滑に初期臨床研修に入っていけるということで、今、進めているスチューデント・ドクター制度というのは、それなりに評価できるし、それを進めていってほしいということがありました。

 ただ、第1点ですね、ここの研修をするのには、おそらく大学病院だけでは無理だと思います。一般の病院がこれに参加しなければいけないのですが、なかなかそれが病院群としてうまく参加できてないのではないか。

 それから、ある先生のご意見で上がったんですが、「臨床教授」というのに認定され、「さあ、やってくれ」と言われてるんですが、なかなか現場では、それがうまく機能していないし、なかなか現場で、そういう、学生にうまく教育ができていないのではないかと。

 ですから、せっかくのこの制度がもっと機能するように、大学と市中病院の病院群が上手に連携を取り合って教育を進めていくということが極めて大事で、それに協力することはやぶさかでないというようなご意見でありました。

 そして、次に、その後の2年間の初期研修に関してですが、いろいろなご意見がございました。先ほどのAJMCの提案のように、「もう少し前倒しして、どんどんやっていったらどうか」ということなんですが、

 それと、この2年間の研修というのが2020年から変わるということになったということは皆さま方、ご存じのとおりで、選択必修であったのが、もう一度必修に変わって、外科、小児科、産婦人科、精神科が必須になっているということで、

 これに対して、「こんな短い4週間という期間で、本当にその科の研修ができるのか」という意見がAJMCのほうからあったんですが、

 日本病院会の皆さまのご意見とすれば、この2年間というのは極めて、その臨床医の基礎を養うという意味においては非常に重要な時期であり、

 特に技術というよりは医師としての人格の涵養とか、あるいは医師としての倫理だとか、そういうことを臨床の現場で学ぶ、この2年間が極めて大事ではないかと。

 そこの細かい、例えば「4週間では短いのか」とか、「どこを研修したらいいのか」というのは、一度、平成16年度から始まったのを平成22年度に変えて、またいろいろな議論があって、2020年度から、また令和2年から、また戻ると。

 また必修科目が増えるということに変わったわけですが、これも実際にやりつつ問題点を検討しつつ、悪い点を改善する、いい点は伸ばすということをやっていったらいいのではないかということで、

 この2年間の初期研修は崩さずに、このままやっていったほうがいいのではないかというご意見が大半であったという具合に思います。

 それと、「プライマリーケアを重視し過ぎてファーストエイドの教育が足りなかった」ということに関しては、やはりどういう研修をどうするかであって、「足りなかった」「多い」ということは、おそらく臨床の中で、病院の状況によって少し、それが50%になったり60%になったりすることはあっても、この両方をやはりきちんと勉強してもらうことが大事なんで、

 ぜひ、どちらだけを重視するということではなく、また、「プライマリーケアをこれまで重視し過ぎたから、それを減らしていくというのは反対である」というような意見が強く出たというように思います。

 おそらく、これの議論は、この次、「専門医の養成をどうしていくのか」という、「医師の教育を一連のものとしてどうしていく」という議論にもつながってくるものではないかなという具合に思いますが、病院会としては今、学生の教育、それから初期研修に関する考え方は、今お話ししたようなことで進めていきたいと。

 専門医研修に関しましては、前、皆さん方にお話ししたように、ちょっと、もう一度、やはり考え直したほうがいいのではないかということで、

 これから、そこに関しては、もう少し議論を進めていくとともに、これまで日本病院会が主張してきたような主張は続けていきたいなという具合に思います。

 それから、もう1つは、神奈川県病院協会が調査をしてくださいました。それは、身元保証人等の状況調査というものでございます。神奈川県の病院で調査をしますと、身元保証人を求めている病院は、97%の病院が身元保証人を求めているということでございます。

 (後略)

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