日本薬剤師会(日薬)常務理事の有澤賢二氏は7月10日、「地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方」をテーマにした中医協総会で、「かかりつけ薬剤師・薬局を地域住民の目線でしっかり選んでほしい」と述べた。【新井裕充】
有澤氏の発言は、以下のとおり。
[染谷絹代委員(静岡県島田市長)]
(前略) 地方の診療所ではですね、大体、診療所の目の前に薬局が付いておりまして、処方箋をもらったらそこでお薬をもらって帰ります。
ですから、かかりつけ薬局という制度自体がですね、今、推進しようとしている、町なかの薬局にかかりつけの薬局を持って、みんながそこで、どこの病院にかかっても、そこでお薬を頂き、また、お薬の数だとか効果とかを検証していただくということが現実的になかなか難しい現状であるなというふうに思っています。
それから、地域の薬局の中にはですね、高額医薬品の在庫をなかなか抱えられない。まあ、患者がいればですけれども、処方箋を突然持ってこられても応対できないというようなこともあって、そういった高額医療品、医薬品を在庫で抱えると、期限切れで廃棄をしなければいけない、欠損しなきゃいけないという、そういったものの金額も多くなるということで、こういった課題も地域の薬局は抱えています。
それからですね、処方箋の薬でございますが、今は薬局が処方した薬を患者に手渡ししなければなりません。でも、高血圧だとか糖尿病だとか、こういった慢性的なものでずっとお薬を頂いている方たちは、中山間地だとですね、病院に出てくるまでに相当時間がかかり、かつ、また今、公共の足がないというところで皆さん苦労しておられます。
例えば、自治体がそこに入ってドローンで患者のところに薬を届けるというようなことができるのかどうか。そうだとしたら、本人確認はどうやればいいのか。ICタグのようなもので本人確認ができるなら、私どもはそういう方法を考えられる。しかし、今は手渡しでないとできない。さまざまなですね、地域の課題というものを抱えております。
このような地域の現実を踏まえて、地域医療構想の理念に沿ったですね、診療報酬の見直しをぜひともお願いしたいというのが地域の現状でございます。
(中略)
[有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)]
先ほど、薬局の件で染谷委員からご発言があったと思います。
1つはですね、かかりつけ薬剤師・薬局は、まず、以前からお話ししているように、調剤報酬の算定要件にかかわらずですね、それぞれの薬局がそういった機能を提供することを目指すんだということで、私ども、職能団体として推進してます。
その延長線上の中で、逆に言えば、地域住民の方、あるいは薬局利用者、患者さんがですね、薬局をしっかり見極めて、ぜひ、ここの薬局の薬剤師にかかりつけをやっていただく、そういったことの流れの中で、先ほど高額な薬剤の在庫の話もありました。
薬局はもう、物を提供するのは永遠に外せませんので、当然、必要とされる医薬品というのは供給する義務、責務がありますから、
そういった関係の中でいけば、しっかりとかかりつけ薬剤師というもの、地域住民の目線からしっかり選んでいただいて、その中できちっと対応がなされれば、
「次回、こういった、また引き続き予約の診療が入っているから、またもらいにきますよ、用意しておいてください」
あるいは、「なんとなくこれ飲んでて調子悪い。おそらく薬が変わった」
そういったような情報というのは、しっかりかかりつけ薬剤師として選んでいただいた薬局にとって、きちっとそういったことのリサーチを行っていますので、
ぜひですね、前回も保険者の方にもお願いしたんですが、薬局を、患者さん目線の中で、かかりつけ薬剤師・薬局をしっかりと選んでほしい。
一方で、薬局は自分がやりますということではありません。機能を提供していく中で選んでいただくという姿勢でやっていますので、ぜひ、そういったPRも含めてやっていただければと思います。
それから、高額薬剤に関しては、以前よりも小さい包装も出ておりますし、必要であれば、そういったような業界団体等に、また要望もさせて、少しでも改善を図っていくというふうに考えております。
(後略)