健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏(支払側委員)は6月26日、次期材料制度改革に向けて審議した中医協・保険医療材料専門部会で、「医療機器にも未妥結減算の制度を入れるとか、そういったことも検討する余地があるのではないか」と述べた。【新井裕充】
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幸野氏は、医療材料の流通経費率が医薬品よりも高いことを指摘し、「流通のやり方を反映してるのであれば、それは是正していかなければいけない」と強調。医療機器にも未妥結減算の制度を入れることを提案した。
厚労省の担当者は、業界の意見などを踏まえ「どういう形で改めていくか、ご議論させていただければ大変ありがたい」と述べるにとどまった。
一方、診療側委員は、保険収載後に市場が拡大した場合の対応について「本部会の検討範囲である体外診断薬までを視野に入れると、医薬品と同様に市場拡大再算定のルールを検討する意味があろうかと思う」と述べた。
質疑の模様は、以下のとおり。
[関ふ佐子部会長(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)]
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して、ご質問等ありましたらお願いします。
はい、城守委員。
[城守国斗委員(日本医師会常任理事)]
質問ではなくて感想も込めてでございますが、次期改定に向けて前倒しで検討をされるということは評価されるかと思います。
その中で、4ページ(イノベーションの評価について①)のニーズ選定品目につきましては、医療現場に求められている品目であり、これまでと同様に薬機法(医薬品医療機器等法)承認および保険収載などの両面からですね、どのように対応できるかということを考えていく、ということがふさわしいかというふうに思います。
また、8ページ、9ページ(イノベーションの評価について②)のですね、「迅速に保険適用された品目を評価する」ということは、デバイス・ラグを解消するということにつながるものでございますので賛成したいと思いますが、その基準については、改定ごとに検討する必要があろうかというふうに思います。
また、16、17ページの「保険収載後に市場が拡大した場合の対応について」ですが、医療材料は医薬品と比較して製品のターンオーバー(新陳代謝)が早いということで、同じ製品のままで市場が大きく拡大するということは少ないということは理解できますが、
一方ですね、本部会の検討範囲である体外診断薬までをですね、視野に入れますと、医薬品と同様に市場拡大再算定のルールを検討するという意味があろうかというふうに思います。以上です。
[関ふ佐子部会長(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)]
ほかにいかがでしょうか。幸野委員。
[幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)]
はい。「次期改定に向けた主な課題」は1ページのとおりで、薬価と平仄を合わせてやっていくことについて賛成でございます。
特に、(2)(=これまでに問題提起された事項等)の「高額な再生医療等製品(の価格算定)」は、薬価だけじゃなくて今度、医療機器にも出てくる可能性があるので、薬価と平仄を合わせて、例えばこれの原価計算方式の在り方とか、薬価のほうは新たに見直す、算定方式をつくるというふうになっておりますので、材料のほうもぜひこれと平仄を合わせて検討していくべきと思います。
それから、医療機器の場合はあまり販売量、市場拡大の想定が困難ということもありましたが、これから再生医療とか、あるいは遺伝子パネル検査とかも出てきておりますので、今後は可能性としては全くないとも言い切れませんので、薬価と同様、市場拡大した場合の対応というところは検討が必要だというふうに思います。
それから(3)(=その他)の2つ目のポツの「関係業界から提起された事項のうち検討が必要と考えられるもの」という所なんですが、
ここで支払側として検討していただきたいと思うのは、意見陳述で医器販協(日本医療機器販売業協会)のほうからいつも言われております医療機器の物流の在り方についてですが、これ、結構印象に私、残ってまして、これ、現状が分かれば教えていただきたいんですけど、
医療機器の流通が結構煩雑になっていて、もしこれが適正な流通価格に反映する阻害要因となっているんであれば、これについては何らかの検討をしていかなきゃいけないというふうに思ってまして、
例えば、医療材料の流通経費率が9.6%と、医薬品の7.5%に比べて高いと。こういったものが流通のやり方を反映してるんであれば、それはなんとか是正していかなきゃいけないと思ってて、
医薬品の場合は未妥結減算という制度があるんですけど、医療機器についてはこういった制度がないというところで、単品単価交渉とかがどのように推進されてるのか、その状況をちょっとお伺いして、進んでいるんであればいいんですけど、それがあまり、ガイドラインとか作られたあとに進展してないんであれば、これもぜひ医療材料の価格に反映してくるものなので検討して、
例えば、医療機器にも未妥結減算の制度を入れるとかですね、そういったことも検討する余地があるんじゃないかなと思うんですが、まず現状としてはいかがでしょうか。
[関ふ佐子部会長(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)]
はい、ではお願いします。
[厚労省医政局経済課医療機器政策室・前田彰久室長]
医政局経済課医療機器政策室長でございます。ご質問ありがとうございます。今、ご指摘を頂きました医療機器の卸の状況でございますが、
今ほどご説明がございました(資料)「材ー1」の16ページ目(保険収載後に市場が拡大した場合の対応について)をご覧いただきたいと思います。
医薬品と医療機器の材料の差といたしまして、「少量多品目」というところ、先ほど企画官のほうからもご紹介をいただきましたけれども、そういった現状にございます。
で、手術のたびに必要な、例えば心臓の大きさに応じて心臓の弁をお配りするので、それにふさわしい弁をお届けするでありますとか、そういった多品目に対して医療現場のニーズに対して対応しているというところが卸の現状としてございまして、
そういったところの中で、一定の費用がかかるというところをご議論させていただいて、それに基づいた価格の設定等をいただいているというところでございます。
そういったところの医療機器の現状を踏まえたものでございますけれども、当然、一般的な企業としての見直しというところもございますので、
そのへん、また、団体のヒアリングの機会にもですね、またご指摘を賜りまして、また、どういう形で改めていくか、ご議論させていただければ大変ありがたいと思います。以上でございます。
[関ふ佐子部会長(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)]
幸野委員。
[幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)]
それが流通経費率に影響しているんであれば、われわれもこれは見過ごせないので、ぜひ業界の陳述を聴いて、もし制度を入れるんであれば、それを次期改定に向けての検討に入れていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。以上です。
[関ふ佐子部会長(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)]
ほかはいかがでしょうか。はい、島委員。
[島弘志委員(日本病院会副会長)]
材料によってですね、使用の安全性のことを考えて単価にしようとなっている物もありますが、現実的には消毒をしてまた使えるような物もありますので、そのへんの議論があまりなされてないと思いますので、
もしよければ、そういったこともですね、この保険医療材料の所の話の1つに加えていただければと思います。お願いでございます。
[関ふ佐子部会長(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)]
はい、中村委員。
[中村洋委員(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)]
17ページの「保険収載後に市場が拡大した場合の対応」について、「対応案」の中でですね、「上記のような医薬品と医療機器との違いを踏まえ」というところで、
16ページのほうでは、医薬品と特定保険医療材料の違いというところも書いてあるんですが、
当然ですけど、医療機器の場合、特定保険医療材料として算定されるものもあれば、技術料の中に入ってくるのもあるので、そのあたりの考え方の整理といいいますか、というのもまたお願いできればなあというふうに思います。以上です。
[関ふ佐子部会長(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)]
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
ほかに、ご質問等もないようでしたら、本日頂戴したご意見やご提案などを踏まえて、次期保険医療材料制度の見直しに関する議論を進めていきたいと思います。
それでは、次の議事に入らせていただきます。
(後略)