「人件費の占める割合が大きい看護師やリハビリ系職種の傾向でございます。ともに2018年から2024年にかけて、給与額は増加傾向にございます」(厚労省)、「費用の半分以上を占めます人件費の増加が利益を圧迫していることが示されております」(健保連)──。次期改定に向け、「医療機関を取り巻く状況」をテーマにした議論がありました。 【新井裕充】
前回(4月9日)と同様、診療報酬改定結果検証部会と総会が開かれました。
1.検証部会(10:00~10:13)
2.総 会(10:16~11:55)
検証部会では、令和6年度調査の4項目のうち積み残しになっていた在宅医療等の調査結果を了承。全ての報告案がまとまり、続く総会(議題④)で承認されました。
【議 題】
① 費用対効果評価専門組織からの報告について
② 入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について
③ 歯科用貴金属価格の随時改定について
④ 診療報酬改定結果検証部会からの報告について
⑤ 医療機関を取り巻く状況について
報告事項は ③ のみ。審議事項の ① ② ④ は承認、⑤ は継続審議です。
【今回の内容】
① エプキンリ皮下注の費用対効果評価案を承認
② 令和7年度調査の調査票案、DPC調査の実施案等を承認
③ 令和7年6月の随時改定の価格案を報告
④ 令和6年度調査(精神、在宅、長期・リフィル、後発品)の報告案を承認
⑤ 「医療機関を取り巻く状況について」と題する資料を踏まえ議論
質疑で発言があったのは、② ④ ⑤ です。このうち②では、支払側・診療側の代表が分科会の取りまとめに謝意を示し、「ご提案のとおり進めていただきたい」(支払側)、「引き続きのご検討をよろしくお願い申し上げます」(診療側)と了承。
④では、長期処方・リフィル、後発品の調査結果について意見がありました。
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⑤は、前回4月9日の総会で了承した「令和8年度診療報酬改定に向けた主な検討スケジュール(案)」に示された「医療機関を取り巻く状況」がテーマです。
資料では、医療機関の収支状況や費用の動向に関するデータを紹介した上で、3項目の「課題」を提示。「今回はこうした課題を踏まえて、委員の皆さまから、ご意見を頂戴できればと考えております」と意見を求めました。
診療側(日医)は「課題」の3番目について、「事務局として考えていることがあれば、まずは教えてください」と質問。厚労省の担当者は「例えば、医療機関の利益率について、今回は『全体』と示しましたが、それを機能別、規模別、診療科別などで分析することを考えているほか、委託費をはじめとした人件費以外で、医療機関の経営の影響が大きい費目の分析も考えたい」と答えました。
この説明を受け、支払側(健保連)は「病院と診療所、それぞれ平均値、中央値、最頻値にズレがあり、かなり利益率が高い医療機関があることが類推されます。先ほど、事務局からコメントございましたが、病床の規模や機能、診療所の医師数、患者数といった切り口で詳細な分析が必要」と述べました。
このほか、支払側から「経営状況については、開設者別ではどうなのか、さまざまな視点でお示しいただきたい」(連合)、「実態をより詳細に正確に把握する上では、もっと細かなデータが必要。都市部と地方とか、今後の課題を浮き彫りにするようなデータをお願いしたい」(経団連)などの意見もありました。
なお、この日の午後に財務相の諮問機関である財政制度等審議会・財政制度分科会が開かれ、「持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)」と題する資料の中で「診療報酬改定に係る基本的な考え方」などが示されています。