訪問看護の議論

日比谷公園大噴水_2021年3月23日

 厚生労働省は8月25日、中央社会保険医療協議会(中医協)の第486回総会をオンライン形式で開催し、訪問看護について委員の意見を聴いた。【新井裕充】

 厚労省は同日の会合に「在宅(その1) 訪問看護について」と題する30ページの資料を提示。最終ページに「課題と論点」を示した。

 論点は、「訪問看護に係る診療報酬上の評価について、令和2年度改定における見直し・評価の考え方を踏まえ、質の高い訪問看護の適切な評価を推進しつつ、地域包括ケアを推進する役割を果たしていくため、どのように考えるか」としている。

 質疑で、支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は「(訪問看護の)医療保険の伸び率が高い。介護保険の件数よりも医療保険の件数は少ないが、伸び率はその2倍ぐらいになっているのが非常に気になっている」とし、「この原因が何なのか。その辺が分かる資料があれば今後、用意していただきたい」と要望した。

 同じく支払側の佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は「訪問看護ステーションの従事者数のうち理学療法士等が占める割合が増加傾向とあるが、この要因について教えていただきたい」と質問したほか、看護師と理学療法士の行為内容は違うとの見方を示し、「看護師、理学療法士等の行為、それぞれについて検討すべきではないか」と述べた。

 幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「令和2年のコロナ禍において医科・歯科・調剤等のマイナスが続いている中においても、この訪問看護については二桁の伸び率をずっと続けており、月によっては最大20%を超える伸び率になって在宅に関する増加の典型的な例となっている」と問題視。「患者の状態に応じて適切な職種の方が適切な治療を行っているのか、適切な頻度で行っているのか、ここについて少しエビデンスを出してもらいながら議論していくことが必要だ」と述べた。

 その上で、幸野委員は「より適切な訪問看護を提供するということが必要で、医師が適切な指示を行うためにも、この医師の指示書の中に訪問する職種、看護師、PT、OTを指定して、頻度についてもある程度、医師が指定するような仕組みを取り入れる必要があるのではないか。訪問看護ステーションが自らの意思で頻度と職種を決めるのは果たして適切なのかをもう一度考えていく必要がある」と述べた。

 これに対し、吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)は「現状は医師の指示書のもとで行っている」とした上で、「実際に利用者さんのところに伺って、利用者さんの状況を見たときに回数を決めるのだが、患者の状態が指示書の状況と違うことが多々ある」と説明。「計画の内容については医師と共に、医師のほうにも報告しており、私どもとしては適切に行われていると考えている」と理解を求めた。

 日本理学療法士連盟会長の半田一登専門委員(チーム医療推進協議会相談役)は「コロナ禍で全体として伸びてきているのは事務方、あるいは介護職の人たちである」とし、「訪問看護ステーションの大規模化とともに、大きな組織として、いろんな機能を果たし出した1つの証でもあろう」などと反論した。

 厚労省保険局医療課の井内努課長は次のように述べた。

 「訪問看護の職種と、その医療内容で少し分析ができないかというご示唆であるが、どういったものが出せるのか、しっかりわれわれとしても検証はしたいと思っている」

 詳しくは以下のとおり。

【説明】訪問看護について

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〇厚労省保険局医療課・井内努課長
 引き続き、中医協資料「総-1-2」、「在宅(その1)」訪問看護について、ご説明をさせていただきます。
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 まず、2ページが「訪問看護の仕組み」ということで、訪問看護のところ、病院・診療所、訪問看護ステーション。あと、訪問看護療養費であったり、訪問看護費であったりということで、構造をまとめさせていただいております。
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 3ページ目に「訪問看護の報酬体系」ということで、基本的な体系のところをまとめさせていただいております。
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 4ページ目が令和2年の改定で行っております「同一建物居住者に対する複数回・複数名の訪問看護の見直し」を挙げさせていただいております。
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 5ページ目でございますが、「訪問看護利用者数の推移」ということで、医療保険、介護保険、それぞれの利用者数の推移を挙げさせていただいております。
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 6ページでございますが、「訪問看護ステーション数及び訪問看護を行う医療機関数の年次推移」というものでございます。
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 7ページ目が「訪問看護に係る医療費・介護給付費の推移」でございます。
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 8ページ目が「医療保険の訪問看護利用者における要介護被保険者等の状況」というものを挙げさせていただいております。

 ここにあります。別表7・別表8っていうのの中身が9ページのほうに、ご説明をさせていただいております。
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 「訪問看護ステーション利用者の状態」ということで、どういった疾病構造かということが左側で、別表7・別表8の該当患者数ということで、年齢構成で分けたものを挙げさせていただいております。

  ▼ 以下、主にスライドのタイトルを読み上げ、内容の説明はなし。

 

 (中略)

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 18ページが「訪問看護ステーションにおける理学療法士等の状況」ということで、訪問看護ステーションの従事者のうち、理学療法士が占める割合というのを挙げさせていただいております。

 ▼ 以下、主にスライドのタイトルを読み上げ、内容の説明はなし。

 (中略)

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 21ページが「専門看護師・認定看護師の概要」ということで、専門性を持った、もしくは認定をされた一定の研修を受けられた看護師さんがどのような目的で、どのような役割を担うべく、どのような教育を受けているか、それぞれの分野はどうか、というものを挙げさせていただいております。
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 この「専門性の高い看護師による同行訪問」ということで、専門性の高い看護師の診療報酬上の評価を挙げさせていただいております。その同行訪問の算定件数の状況でございます。

 ▼ 以下、主にスライドのタイトルを読み上げ、内容の説明はなし。

 (中略)

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 25ページが、これは今度は、「特定行為研修制度のパッケージ化」ということで、特定行為研修のものでございます。

 タスクシフト等ができるよう、ということで、特定研修という行為が、研修というのがございますけれども、それがどういった構造になっているか。
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 26ページのほうで指定研修機関数であったり、研修修了者の推移であったり、というものを挙げさせていただいております。

 ▼ 以下、主にスライドのタイトルを読み上げ、内容の説明はなし。

 (中略)

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 30ページに「課題と論点」というところで挙げさせていただいておりますが、「論点」といたしましては、

  訪問看護に関する診療報酬上の評価について、
  令和2年度改定における見直し・評価の考え方を踏まえ、
  質の高い訪問看護の適切な評価を推進しつつ、
  地域包括ケアを推進する役割を果たしていくため、
  どのように考えるのか。

 とさせていただきました。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。

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 (中略)

【質疑】訪問看護について意見や質問

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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 本日は、次期診療報酬改定に向けた議論のキックオフということですので、改定に向けて検討すべき論点等につきまして、さまざまなご意見を頂きたいと思っております。

 それでは、ただいまの説明も踏まえ、全体を通じて何かご意見がありましたら、お願いいたします。城守委員、お手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
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〇城守国斗委員(日本医師会常任理事)
 はい、ありがとうございます。今、会長からお話しをされましたように、本日は次回改定に向けた在宅、そして、この後、ご説明がまたあります入院という大変大きなテーマのキックオフということですので、各論にはあまり言及せず、総論中心に申し上げたいというふうに思います。

 (中略)

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 患者さんが求める在宅医療を提供するには、十分な量を確保することが大前提であるわけですが、安易に量の確保を追求しすぎますと、例えば、その患者さんのことをですね、一番よく知っていらっしゃるかかりつけ医と、在宅医療の連携が分断されて、むしろ、在宅医療の質が低下する懸念がございます。

 反対に、質を追求し過ぎますと、在宅医療そのもののハードルが高くなりすぎて、在宅医療に参入する医療機関が増えず、十分な量を確保できないということにもなってしまいます。

 こうしたことから、今後の検討方針としては、質と量のいずれかに偏った検討ということではなくて、ベストバランスを考えながら着実にボトムアップを図るというような改定を目指すべきであろう、というふうに思います。

 (中略)

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 繰り返しになりますが、拙速に量の拡大を目指すということについては、在宅医療の質を低下させる危険性もございますので、慎重であるべきというふうに思います。

 なお、訪問看護などにつきましては、後ほど専門委員にもですね、意見を求めてはいかがかというふうに思います。私からは以上でございますが、続けて、松本委員から発言をさせていただきたいと思います。
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〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 はい。松本でございます。ありがとうございます。私からは課題にもありますけれども、小児の在宅医療について、その重要点について発言をさせていただきたいと思います。

 (中略)

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 小児や若年成人だからこそ、最期の時を親や家族と家庭で過ごす意義が大変大きいと考えております。また、小児のターミナルケアへの支援という観点からいたしますと、実は、がんの患者さんだけではなく、がんではない患者さんも多く存在するということをですね、ご理解を賜りたいと思います。私からは以上です。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございます。先ほど城守委員から、専門委員のご意見も伺ってはどうかというようなご提案がございましたが、委員の先生方のご意見を頂戴してから、専門委員の方々のご意見を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(中略)

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 続きまして池端委員、お願いいたします。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 はい、ありがとうございます。私は在宅医療、訪問看護等について、全体的なお話を少しさせていただきたいと思います。

(中略)

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 訪問看護に関しても、これも今後どんどんどんどん、医療ニーズが高い訪問看護が必要になってくるかと思いますので、今、専門看護師との連携等々に加算が付いておりますが、今ほどの資料にもありましたように、特定行為の看護師さんというのも実は慢性期、あるいは在宅にも非常にこれから有用な看護師さんになるんではないかと思いますので、

 まだ5%前後ということのデータが出ましたので、さらに、その特定行為ができる看護師の訪問看護が入れば、さらに高度な医療に対する訪問看護の技術も上がってきて、かかりつけ医の、より、かかりつけ医と連携がしやすくなるんではないかということを考えると、そこに対する何らかの訪問看護ステーションに対するインセンティブ、これもそろそろ考えてもいいのではないかということを感じました。以上、提案です。ありがとうございました。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。続きまして安藤委員、お願いいたします。
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〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
 はい、ありがとうございます。私のほうからも全般的に意見を述べさせていただければというふうに思います。

 まず、在宅医療は地域包括ケアシステムを構築する不可欠な要素であり、高齢化の進展や地域医療構想を進展させることによる病床の機能分化、連携により、今後さらに在宅医療の需要が増加することが見込まれる中、在宅医療を必要とする患者に対して、効果的、そして効率的で質の高い医療を提供するための体制の確保が引き続き求められているものであるというふうに認識しております。

 (中略)

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 在宅医療、訪問看護について検討する際には、地域によって患者数や患者像といった点に大きな違いがあるということを念頭に置くことが重要であると考えますが、
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 資料の「1-2」の5ページを見ますと、医療保険の伸び率が高いということが気になっております。

 これは、介護保険の件数よりも医療保険の件数は少ないのですが、伸び率は非常に、その2倍ぐらいになっているというところが非常に気になっております。

 ここの部分の原因が何なのかということをはっきりさせておく必要があると思いますので、その辺のことが分かるような資料があれば今後、用意していただければ、というふうに思います。

 (中略)

.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。続きまして佐保委員、お願いいたします。
.
〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 はい、ありがとうございます。私のほうから質問と意見と、まとめて述べたいと思います。在宅医療についてですが、50ページ。国民の約3割が最期を迎える時に生活したい場所として自宅を希望されています。新型コロナ禍で自宅療養者が増加する現状では、在宅医療の重要性がより増しているというふうに感じております。

 (中略)

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 訪問看護についてですが、訪問看護についても重要性がより増しているというふうに感じております。
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.
 そこで質問ですが、18ページで、「訪問看護ステーションの従事者数のうち、理学療法士等が占める割合が増加傾向」というふうにありますが、この要因について教えていただきたいということと、看護師が行う訪問看護の行為と理学療法士が行うことの行為の内容っていうのは違っているのではないかと思いますが、そういった見方でいいのかどうかということです。

 介護のほうの、介護報酬の訪問看護では、看護師が行うサービスと理学療法士等が行うサービスについて、内容が違いがあるということで検討がされたというふうに私のほうで理解をしておりますが、

 今後、この話をしていく上でですね、看護師、それから理学療法士等の行為、それぞれについて検討すべきじゃないかというふうに考えております。

 (中略)

.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございます。いくつか質問を頂きましたけれども、あとでまとめて事務局より回答をお願いいたします。

 (中略)

.
 それでは、次に幸野委員、お願いいたします。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。皆さまおっしゃったとおり、総論としては、やはり高齢化に伴って、あるいは、入院医療の機能分化、それから、地域包括ケアシステムの進展が進むにつれて、やっぱり在宅医療の需要っていうのは大きくなると思うんですが、やはり量の確保と質の確保が一番重要だというふうに思っています。

 量の確保っていう面では、その量の確保をあまり重視するあまりに、ともすれば安易な要件緩和や診療報酬の新たなものを新設するとか、評価を引き上げるとかっていうことを検討するんじゃなくて、質の確保を前提として、あくまで、かかりつけ医を中心として地域の中で在宅の取組を進めていくということが必要だというふうに思います。

 増加するのはもう分かってますので、この中で、どのように質を確保していくか、それから地域で行っていくかというところが在宅の一番の本質だというふうに思います。

 その増加という点で、その典型的な例を1つ申し上げたいんですが、先ほどから出ております訪問看護についてでございます。
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 訪問看護については7ページにありますように、医療費および介護給付費とも増加しており、医療費については二桁の伸び率がずーっと続いている状況です。

 MEDIASは毎月、見てみますと、令和2年のコロナ禍ですね、コロナ禍において医科・歯科・調剤等のマイナスが続いている中においても、この訪問看護については二桁の伸び率をずーっと続けておりまして、月によっては最大20%を超える伸び率になってるということで、その在宅に関する増加の典型的な例となっております。

 現行は、パイは必ずしも大きくないんですが、今後、高齢化に伴って増加するっていうことはもう想定されておりまして、これが全体の医療費とか介護給付費に少なからず影響を及ぼしてくることは間違いないというふうに思ってます。

 懸念するのは、この訪問介護(ママ)の伸び率なんですが、患者の状態に応じた適切な訪問看護が行われているかどうか、というところを心配しています。

 患者の状態に応じて適切な職種の方が適切な治療を行っているのか、適切な頻度で行っているのか、ここについて少しエビデンスを出してもらいながら議論していくことが必要だと思います。

 前回改定でも問題提起したんですが、訪問看護は医師の訪問看護指示書に基づいて、訪問看護ステーションが計画書を作成して訪問看護を実施して医師に報告してまた指示書を出すという一連の流れで行われてるんですが、

 今後、増加の一途をたどる中においては、質を高めるためにも、より適切な訪問看護を提供するということが必要で、医師が適切な指示を行うためにも、この医師の指示書の中に訪問する職種、看護師さん、PTさん、OTさんを指定して、頻度についてもある程度、医師が指定するような仕組みを取り入れる必要があるんじゃないかというふうに思ってます。

 訪問看護ステーションが自らの意思で頻度と職種を決めるっていうのは、これは果たして適切なのかと、いうことをもう一度考えていく必要があるというふうに思います。

 これについては、あとで専門委員からの意見等もあとで聞かせていただければと思います。

 (中略)

.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。

 (中略)

.
 ほか、委員の方々、よろしいですか。それでは、先ほど城守委員、それから幸野委員から訪問介護(ママ)について、専門委員の方々の先生からコメント頂ければ、というふうなご意見があったんですけど、いかがでしょうか。
.
〇吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)
 はい、ありがとうございます。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、じゃ、吉川委員、お願いいたします。
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〇吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)
 吉川でございます。在宅の訪問看護、資料2の所の「総-1-2」について意見をですね、いくつか述べさせていただきたいと思います。
.

.
 まず、この訪問看護についてですけれども、ほかの先生方から、委員から意見が出てましたように、まず6ページにありますグラフですとか、からですね、訪問看護の利用者数、またステーション数ともに年々増加しているという状況があります。

 さらに、5ページとか7ページ、また8ページなどの、先ほども出ておりましたけれども、医療保険ですとか医療費の伸び、また、特別訪問看護指示書の交付を受けている利用者の割合の増加などからも、利用者の医療依存度の高さというのが伺えるかと思います。

 このような利用者っていうのは状態が不安定になることが非常に多いということから、緊急対応ですとか頻回の訪問、また24時間体制で重症者に対応できる機能強化型訪問看護ステーションの役割っていうものが非常に大きくて、今後ですね、やはり体制整備について、引き続き、必要だというふうに私たちは考えております。
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.
 それから次に、10ページにあります、訪問看護ステーション、利用者の主傷病についてなんですけれども、こちらでは、「精神および行動の障害」っていうものが増加されているというふうに示されております。

 現在ですね、この高齢化の進展に伴いまして、この主傷病こそ違うんですけれども、認知症を伴う利用者っていうものが増えてきております。

 医療ニーズと認知症を併せ持つ在宅療養者に対応できる体制について、その充実について、考える必要があるというふうに私たちは考えております。
.


.
 それから、19ページから20ページで、前回改定によって、医療的ケアが必要な小児への情報提供についての見直しというものがなされました。

 訪問看護情報提供療養費の算定件数はまだ非常に少ないという状況なんですけれども、小児の訪問看護利用者の増加というものを見ますと、今後も非常に必要な取組というふうに考えております。

 ただ一方で、小児は非常に成長発達による変化が大きいということから、この成長に合わせて、きめ細かな情報共有っていうものが必要になりますので、そういった視点を引き続き入れた上で、入れた検討っていうものが必要だというふうに考えております。

 それから、先ほどいくつか出ていた、ちょっと、意見に関して述べたいと思いますが、専門性の高い看護師の活躍っていうところに関して、ご意見頂いたこと、大変ありがたく思っております。

 本会としても、引き続き、育成というものは続けていきたいと思うんですけれども、どうしても、この専門性の高い看護師が病院に多い、多く所属するっていうのは、看護職員が病院に多くおりますので、それは当然かというふうに思っております。

 理想は、訪問看護ステーションですとか、診療所にいるっていうことが理想だとは思うんですけど、そこまではまだまだ時間がかかるかなというふうに考えておりますが、

 今、地域医療構想ですとか地域包括ケアが推進されている中で、地域の、こういった専門性の高い看護師、病院に所属している、この専門性の高い看護師も地域の人材である、地域の看護師であるという視点で、やはり考えていくっていうことが重要になりますので、病院から地域に出ていくっていうことをですね、さらなる制度上の充実っていうものを考えていく必要性があるというふうに思っております。

 それから、先ほど幸野委員から出ておりましたご意見ですね、訪問看護に関して、医師の指示書に基づいて行っていくものであるというところで、医療費の増加などにも鑑みて、きちんと適切に行われているのか、そういったことから、指示書の中に職種ですとか頻度なども指定するようにしたらいいんじゃないかというご意見があったかと思います。

 現状としましては、やはり医師の指示書のもとで行っているんですけれども、実際に患者さんのところに伺って、利用者さんのところに伺って、利用者さんの状況を見たときに回数っていうものは決めていくわけなんですけれども、患者の状態がですね、指示書の状況と違うということが多々あります。

 そういったところも鑑みてですね、考えていくんですけれども、計画に立てた回数、計画の内容につきましては、医師と共に、医師のほうにも報告しておりますし、私どもとしては適切に行われているというふうに考えております。以上になります。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございました。はい、半田委員、お願いいたします。専門委員、お願いいたします。
.
〇半田一登専門委員(チーム医療推進協議会相談役)
 ありがとうございます。訪問看護の18ページのデータについて一言。この表は、理学療法士の状況ということになっておりますけれども、
.

.
 右側の図を見るとですね、下の看護師さんの数で、青い折れ線グラフはこれ、総職員数の数でありますね。そうすると、それだけを見ても理学療法士の割合は見えない。左の図を見るとですね、青い折れ線グラフ、一番下のほうにありますけれども、

 ここ数年、私、前回の報酬改定あるいは前々回の報酬改定でですね、訪問看護の一部における問題の、いろんな規制がうまくいってるっていうふうに思います。適正化ができて、かなり上振れ率が穏やかになってきて、横ばい状態になってきているというふうに私は見ております。

 コロナ禍で全体として伸びてきているのは何かと言うと、「その他」の事務方と、あるいは介護職の人たちが増えてきているという実情があるわけです。

 これは、ある意味ではですね、訪問看護ステーションが大規模化とともに、やはり大きな組織として、いろんな機能を果たし出したという1つの証でもあろうというふうに思っております。

 そこで、この割合がどうだこうだって、私はやはり適正化の中での訪問看護ステーション、大事だと思いますけれども、役割分担をもう1回しっかり、訪問看護、一番の役割は何なのか、訪問看護の役割は何なのか、そこはやっぱり明確にすべき点がある、そういう時期に来たんではないかなって思っております。

 もう1つだけ、ちょっと言及させていただきたいんですけども、・・・の資料にあるんですけれども、これは、われわれがどうこう言う話でもないんですけれども、私、理学療法士として障害児のですね、学校へ、深く関わってまいりました。

 ところが、学校の先生とですね、文章や電話で話しても、なかなか真意が伝わらないし、そういう意味でですね、こういう子どもたちの学校、あるいは教育施設、・・・拡大をして、訪問看護師の方々がそこに出向いてですね、子どもたちを中心に、挟んで、学校の先生と情報交換というものをしっかりそこでやるような体制をつくり上げるとですね、かなり実効性が高い、いいものができるというふうに思いますので、ぜひ、そこまで踏み込んでいただけたら、ありがたいというふうに思います。以上、意見です。ありがとうございました。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。池端委員、追加のコメントがあるようですのでよろしくお願いします。
.
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 はい、ありがとうございます。先ほど幸野委員が訪問看護の伸びについて言及された点、今、吉川委員がお答えいただきましたけれども、私のほうからも指示を出す側として、ちょっとお話ししておきたいことがありますので、手を挙げさせていただきました。

 資料「1-2」の5ページをご覧いただけると、いいかと思います。
.

.
 訪問看護、確かに伸びています。そして、令和2年度もさらに伸びていると私も実感をしております。ただ、これは、まず訪問看護全体で言うと、介護保険の訪問看護が、数は圧倒的に54万と多くて、その半分が医療保険になっています。

 介護保険の訪問看護っていうのは基本的にはもう、ケア担当者会議で訪問看護の回数もきちんとそこで決めて、会議で、医師の、主治医のもとできちんと決めて計画を立てて実施しているわけで、それが伸びることに対して、勝手に訪問看護ステーションがどんどん、行きたいように、回数を増やしていっているわけでは決してないということ。

 それから、医療保険に関しても医療保険の訪問看護指示書が出てるっていうのは、必ず、かかりつけの先生が、少なくとも月に1回程度、往診は行っているはずです、最低でも。そして、そこで患者さんの聞き取り調査をして、その訪問看護の必要性っていうのを把握してますし。

 あとは、頻回に行く場合には、がんの末期、あるいは特別指示書を出して2週間、点滴をしてほしいというような指示。こういったときには、連日、訪問看護、指示を出すこともありますけれども、そういう形ですので、決して訪問看護が勝手にどんどん行ってるっていうイメージは、私自身はないので、医師の立場からもちょっと、応援メッセージを出させていただきました。

 それと同時に、今回、コロナ禍で確かに訪問看護、在宅医療、伸びています。これは1つには、施設、あるいは入院すると、もう、面会が全くできないので、「それくらいなら、ちょっとつらいけど、家でみますわ」っていう方々、非常に増えてきて、在宅の看取りが、私どももすごく増えています。

 その伸びを、幸野委員、ご心配されていますけど、その方がもし病院、施設にいると、実は介護保険、医療保険とも、その在宅医療よりもかなり高い金額が公的保険で支払われることになりますので、

 そういう意味では、全体を見れば、訪問看護が伸びること自体だけで見なくても、全体の保険に関しては逆にいい効果が出る可能性も十分高いんではないか、そんな印象を持っていますので、ちょっと追加させていただきました。ありがとうございます。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございました。

 (中略)

.
 幸野委員、お願いいたします。
.
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。これ以上、訪問看護をここで議論するのはあれかと思いますが、聞くところによると、介護保険のほうは医師がちゃんと職種と頻度について指示書を出しているというふうに前回の介護報酬改定でなされたというふうに聞いております。

 介護のほうでやるんであれば、医療のほうでやってもしかるべきじゃないかなというふうに思います。

 それから、適切な訪問かどうかっていうのは、もう少し、これから議論していく中で、いろんなエビデンスですね。訪問した時間とか、同一施設で何人ぐらい訪問しているかとか、そういったエビデンスも踏まえながら議論していきたいというふうに思います。以上です。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。それでは城守委員、お願いします。
.
〇城守国斗委員(日本医師会常任理事)
 はい、ありがとうございます。今、いろいろな委員の方から、訪問看護に関しての内容、またその職種のですね、その割合がどうであるかと、いうお話、出でおりますが、

 前回改定で、この件に関してですね、この訪問看護の計画書とか、また、訪問看護の報告書によって、報告書にですね、その訪問する職種の種類の記載であるとか、また、その訪問内容の記載等もそこには書かれているわけですから、

 今後ですね、事務局には、なかなか、お手数をかけることになるかと思いますが、そのあたりを分析していくことによってどのような職種がどのような医療を提供しているのかと、いう分析ができると思いますので、その分析を踏まえた上で、また制度設計をすると、いうことでよろしいんじゃないでしょうか。以上です。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。

 (中略)

【質疑】厚労省保険局医療課・井内努課長の回答

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。今日はキックオフなんですけど、多くの先生方から非常に貴重なご意見をたくさん頂きました。 何人かの先生からご質問を頂いておりますので、現時点でお答えできる範囲で、ご回答を事務局より、お願いいたします。
.
〇厚労省保険局医療課・井内努課長
 はい。本日のご議論を踏まえまして、また今後、本日のご意見がより、しっかりと議論が深まりますようなデータ、資料というのを整えていくという前提で、われわれとしても努力はさせていただきたいと思っております。

 その上で本日、明示的に「事務局に」ということで言っていただきました内容、具体的なものについて、少し現時点でお答えできるものを、させていただきます。

 (中略)

.
 訪問看護のほうで、職種と、その医療内容ということで、少し分析ができないかというご示唆でございましたけれども、このあたりにつきましてもどういったものが出せるのかということは、しっかりわれわれとしても検証はしたいというふうに思っております。以上です。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございます。

 (中略)

.
 今後、事務局におきまして、本日、頂いたご意見、それから情報提供等のご要望も踏まえて、対応していただくように、お願いいたします。ありがとうございます。

 (以下略)

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