外来(その1)── 主な意見

P71_【総-8】外来について(その1)_2023年6月21日の中医協総会

 令和6年度の診療報酬改定に向け、厚生労働省は6月21日の中医協総会に「外来(その1)」と題する131ページの資料を示しました。どれも一度は見たことのある資料が並びますが、その中で注目すべき新作があります。早速、支払側の委員から質問が出ました。【新井裕充】

 まず紹介したいのが49ページ。厚労省の担当者は「3つの観点から分類して事務局で作成した」と説明しました。

 かかりつけ医機能に関する評価はやや複雑で、重複している項目もあります。次期改定では、①診療行為、② 体制、③連携や紹介等──の3つの観点で再整理するのでしょうか。

 これに関連して紹介したいのが71ページ。厚労省の担当者は「生活習慣病の管理を専門的なものとして行う場合においては生活習慣病管理料、そして、かかりつけ医機能をより重視したものとして地域包括診療料・加算」と説明しました。

 質疑で、支払側委員は「この中に特定疾患療養管理料を記載するとすれば、どのあたりに位置づけられるのか」と質問した上で、「既存のかかりつけ医機能の評価について体系的に整理すべき」と提案。厚労省の担当者は「整理ということに関しては事務局として受け止めて検討したい」と述べました。

 資料46ページによると、特定疾患療養管理料は約9割の医療機関で算定されていますが、生活習慣病管理料は4割弱にとどまっています。

 支払側委員はこの点を指摘した上で、「生活習慣病の管理をどういったかたちで評価していくのか。特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の対象となっている患者像を十分、分析した上で議論を深めていく必要がある」と述べました。詳しくは下記をご覧ください。

 ▼ 主なキーワードで発言順に分別しましたが、「かかりつけ医機能」の話なのか「外来機能の明確化・連携」のことなのか、判断が難しい発言もあります。相互に関連していますので強引に振り分けるべきではなかったかもしれません。「見直し用」ということで、ご容赦ください。

1.外来機能の分化・明確化・連携

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 今回は「外来」の最初の議論となりますので、総論的なコメントをさせていただきます。


 
 まず、論点にありますとおり、かかりつけ医機能や外来機能の在り方につきましては、今回の医療法改正を踏まえ、医政局において省令改正に向けた議論がなされ、今後の方向性なり、絵姿が明らかになってくるものと認識しております。
 
 一方で、これまで診療報酬による評価においては、患者さんへのサービスや医療機関の体制などに着目しながら、きめ細かく評価を組んできており、前回の診療報酬改定においても、その視点から、さらにサービスの質が上がるよう評価の見直しをしてきたものと思います。
 
 省令改正に関わる議論が始まるこの時点においては、まずはきちんと、これまでの改定における評価の検証などを踏まえ、1つひとつ議論を進めていくものと考えます。

(中略)

〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
 安全・安心で質の高い外来医療の提供を実現するにあたっては、薬剤師・薬局がかかりつけ医との連携を推進し、ともにかかりつけ機能を発揮するということも重要な視点だと考えます。引き続き、このような連携を通じて患者さんを支えていきたいと考えています。

(中略)
 
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 (前略)外来の機能分化に関しては、地域医療構想上の資料等でも出ておりますように、入院はそれぞれ地域で医療圏ごとに多少、今後2040年に向けて増える所、減る所、ありますが、外来はほとんどの医療圏で全て減っていきます。2040年に向けて、もうどんどん外来は減っていくという推計が出ておりますので、
 
 逆に、この患者さんが減っていくときこそチャンスだと私は思っていて、特に基幹病院等の外来は、まだまだやはり、何となく患者さんが基幹病院、大きな大学病院等にかかることがステータスのように感じてかかっている方がまだまだいらっしゃる。そこをどう、本当に機能にあった分化はできるかということで、
 
 そういう意味では、紹介受診重点医療機関等もさらに広げていくこと。それから、そのためには紹介患者をどんどん増やすこととともに、今、診療所に関しても外来が減っていくことに対して、やっぱり自分たちもしっかり見ていこうということ、あるいは特徴も出していこうという、そういうことをこれから、
 
 黙っていたら患者さんが減っていく時代ですので、お互いに連携し合おうということが逆に、お互いの気持ちとして協力し合う関係ができるんではないかと。そういう意味で、私はチャンスとみて、ぜひ、この外来の機能分化をさらに進める方向性を打ち出していただけるといいかなと思っています。

(中略)

〇島弘志委員(日本病院会副会長)
 コロナが2類から5類に変更されて、実際の病院の外来とかは、かなりコロナ以前に比べると受診の抑制というか、受診者が減っているというのが現状です。それを考えますと、それまでの、受診されてた方は本当に必要だったのかなと、いうようなことも思いますが。
 
 やはり地域できちんと医療を展開していくということを考えると、今、池端先生も言われましたように、それぞれの医療施設、病院、診療所、そういったところが持ってる機能をですね、きちんと連携を図りながら、そういったかたちで患者さんをきちんと地域で見ていくということが非常にやっぱり重要だなというふうなことは実感しております。
 
(中略)
 
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 (前略)機能分化の観点について申し上げますと、86ページの前回改定で新設されました「紹介受診重点医療機関入院診療加算」が大変重要です。

 各都道府県における議論が遅れ気味であることは承知しておりますけども、その指定状況や算定状況についてのデータの準備もぜひお願いしたいと思います。 

(中略)

〇飯塚敏晃委員(東京大学大学院経済学研究科教授)
 本日は「外来」ということで、いただいた資料の中の12ページの資料がありました。


 
 これは2013年の国民会議の資料ということで、地域の拠点病院から診療所等に外来の患者さんを移っていただいて診療所で診ていただく、ということを増やしていかなきゃいけないということだと思います。
 
 まさしくこのとおりだと思いますが、さらに現在はですね、6月14日に働き方改革の議論をやりましたけれども、この観点からも、ますますですね、こういったことを進めていかなくてはいけないということだというふうに理解しています。
 
 実際に、これはかなり、もう古い段階からいろいろな施策を打ってきているわけですけれども、どのように、こういった拠点病院等での外来診療のボリュームが推移してきているのかというのを1つ、今後ですね、データを示していただいて議論の題材にしていただけないかなというふうに思います。
 
 それと関連して、少し議論にもありましたけども、夜間とか休日の拠点病院等での外来診療等のボリュームについても、働き方改革には非常に関連しますので、そういったものも見ていく必要があるかなと思います。
 
 こういったものをベースにですね、今後どういった施策を打っていくのかということを考える必要があるのかなというふうに思います。
 
 関連しまして、最後の論点のところもですね、いろいろ重要な論点を挙げていただいていますけれども、働き方改革、今回は非常に重要な議題ですので、それを進めるために、こういった外来の在り方をどう考えていくのかというのも十分ここに入れていただいて、今後、議論を進めていただきたいなというふうに思います。以上です。

2.オンライン診療

 

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 (前略)3つ目の(丸の)オンライン診療につきましては、前回改定で初診の評価が新設されたほか、対面診療と組み合わせて行うことの実効性が大きく緩和されるなど、大幅な変更がなされています。その結果として、実施回数の増減だけではなく、質と安全性の確保がしっかりなされているかが大変重要な視点です。
 
 したがって、改定後の動向につきましては、入院外来医療等分科会でも調査いただいているところですが、それに加えて、医療機関が厚生局に提出する7月の定例報告でも、患者さんの所在や対面診療との比率、診療前に事前相談を行った件数等を報告することになっておりますことから、それらも調べていただき、前回改定後の実態を資料として提示いただきますよう、事務局にお願いいたします。


 
 また、不適切なオンライン診療を防ぐためには、資料の110ページに示された内容を踏まえて、本年3月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が一部改訂されました。
 
 その中で、安全性・必要性・有効性の視点から学会のガイドライン等を踏まえて適切な診療を実施しなければならないことや、ホームページや院内掲示等において指針を遵守した上で実施している旨を公表することなどが追加されましたので、これらが守られているかどうか。これも評価する際の重要な視点となると思います。私からは以上です。

(中略)
 
〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
 (前略)オンライン診療についてですが、コロナ禍で薬剤師・薬局は医療機関と密に連携し、調剤・服薬指導、地域への医薬品の供給をしっかりと担い、オンライン診療、オンライン服薬指導への対応を行ってきました。
 
 引き続き、オンラインの対応は、かかりつけ医と薬剤師・薬局の密な連携を通じて地域の患者さんを支えていけるよう、医療機関との連携推進や、適切な医薬分業の在り方の視点を踏まえて、オンライン診療において、地域の薬局と適切に連携できるような、ご検討をいただきたいと考えております。私からは以上です。

(中略)

〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 (前略)オンライン診療に関して、私はこれは決して否定するつもりもありませんし、今回のコロナ禍で一定の機能を果たしたと思っています。
 
 ただし、このオンライン診療というのは、あくまで私は診療の選択肢の幅を広げる1つだと。ここに全てを持っていくことで医療費が下がるという、医療費を削減すべきだという、これは少し違った方向に歪んでしまうんではないか。あくまでもそういう選択の幅、診療の選択の幅を広げる1つのツールだということ。そして、そこを利用すると便利だと感じる方々に対しては提供する。
 
 やっぱり対面がいいと思ってる方々に対しては、しっかりとした対面の診療もできる体制を維持していく。こういうことが必要ではないかと思っています。
 
 医療DXの良さというのは、先ほど長島委員からもありましたように、安心・安全、それから効率化、そして働き方改革にもつながっているところ、こういうところは非常に重要だと思いますので、そこはどんどん広げていかなきゃいけないですけど、
 
 それが、繰り返しますけど、医療費削減に直結するということだけを考えてこれを進めていこうとすると歪んでくると思います。結果として医療費が削減することはやぶさかではないですけど、その辺の議論の、間違ってしまうと、変な議論になってしまうような気がしますので、その辺はしっかり押さえながら今後進めていければと思っています。以上2点、私から意見を述べさせていただきました。以上です。

(中略)

〇島弘志委員(日本病院会副会長)
 (前略)オンライン診療に関しましては、コロナで確かに病院に足が遠のいたということで、そういったことを受ける方たちも増えただろうと思いますが、やはり基本は対面だろうと思っておりますので、そこのところとですね、上手にバランスを取りながら、このオンライン診療というのはもう生活の中で必要なものになってきておりますので、病院や診療所でも、そこをきちんと考えながら対応していくということが必要になっていくんじゃなかろうかと思っております。以上でございます。

(中略)
 
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 (前略)オンライン診療についてコメントいたします。120ページを見ますと、届出の意向がない理由として、「対面診療の方がすぐれているため」という回答が7割を超えております。


 
 患者調査のほうでも、124ページを拝見しますと、対面診療より意思疎通が取りづらいことや、検査・処置が受けられないというデメリットが感想として多く出ております。


 
 一方で、122ページには、感染リスクの低減、受診の時間帯や待ち時間の短縮、リラックスして受診できるといったメリットを患者が感じていることも明らかになっております。


 
 対面診療と比べてメリット、デメリット双方があることを踏まえて、適切にオンライン診療の活用を推進していくべきだと考えております。
 

 
 また、122ページを見ますと、オンライン診療を受けた理由として、4人に1人が「対面診療より気軽に受診できるから」と回答しており、安易な受診につながっていないかといった心配、懸念もございます。
 
 医療資源にも保険財政にも限りがあることを踏まえ、上手な医療のかかり方も意識し、患者が適切にオンライン診療を利用できることが重要であり、その動向を注視していくべきです。
 

 
 また最後に、遠隔連携診療料につきましては、129ページを見ますと、算定実績が極めて乏しいようでございますけども、課題を明らかにした上で、今後、改めて議論する必要があると考えております。

(中略)

〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
 (前略)122ページのオンライン診療の患者調査につきまして、オンライン診療を受けた理由としまして、「感染症の予防のため」「通院する時間がないから」に次いで多いのが、「対面診療より気軽に受診できるから」となっております。

 先ほど松本委員のほうからもご指摘ありましたけど、私としましては、これに関しましては、ウィズコロナ社会における円滑な受診に加えまして、メンタルヘルス関係での受診と、医療機関を訪れること自体に抵抗があったり、訪れる姿を見られたくなかったりといったニーズにも応えられる可能性を示しているのではないかと考えております。
 
 診療ガイドラインの遵守であるとか、セキュリティ確保といった懸念点も考慮に入れつつ、オンライン診療の可能性について議論を深めていけば幸いだと思っております。以上です。

(中略)
 
〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 (前略)オンライン診療に関しては、安全性・必要性・有効性、プライバシーの保護等の個別の医療の質を確保するという観点も踏まえながら、オンライン診療その他の遠隔医療が幅広く適正に推進されることが必要と考えます。
 
 患者調査の結果など国民・患者の声を踏まえつつ、今後のオンライン診療の適切な評価を検討していくべきと考えます。私からは以上です。

(中略)
 
〇眞田享委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長代理)
 (前略)オンライン診療についてでありますが、各委員からいろんなご意見が出ておりますが、今回、オンライン診療については算定回数が減少はしておりますけれども、届出医療機関数は増加を続けており、まだ普及途上にあるのではないかというふうに考えております。

 
 
 実際に、オンライン診療の受診経験がある患者調査、122ページでありますけれども、その中の質問で、「対面と比べて十分なコミュニケーションを取れないと感じたか」という問いに対して、「そう思わない」と答える層が8割を、約、占めているということ等、実際にそのオンライン診療を受けた場合にネガティブな印象を持つ割合は低いのではないかとも見受けられます。

 待ち時間の減少であるとか、感染リスクの少なさ等、メリットを感じている層も多くおられております。
 
 また、「令和4年度の調査結果(速報)概要」の211ページ、216ページを見ますと、患者調査およびインターネット調査のいずれにおいても症状に応じて使い分けたいと考える層が多く、ここにも一定のニーズがあることがうかがえます。

 資料の中で言及をされているような不適切な事例の注意喚起など、患者の安心・安全というのは最も重要であり、この大前提であることは言うを待ちません。
 
 一方で、人口減少、高齢化が進む中で、オンライン診療、遠隔医療の適切な普及に向けて前向きな検討が必要だというふうに考えます。以上でございます。ありがとうございました。

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 (前略)医療DXにおける情報連携に関しまして、先ほど診療報酬改定結果検証部会の資料「総-4」のアンケートの結果について、

メリットの実感
 
 ほかの医療機関等にかかっていない場合は、この情報共有のメリットが実感できないということも、それは患者さんの立場からして、あそこの質問事項に関するメリットは実感できないだろうということで、
 
 医療提供側、医師側からすれば、「この方が確実にほかの薬剤を処方されていない」ということが確実に確認できるっていうことは極めて大きなメリットであるということですので、

ネット調査質問項目
 
 そのようなメリットはあるけれども、あのようなアンケート調査だと出にくいと。あるいは判断ができないということですので、一応、補足させていただきます。私からは以上です。

3.生活習慣病対策

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 (前略)例えば糖尿病であれば、医科歯科連携による治療効果の改善がエビデンスとしても示されておりますので、そうした連携を深めていくべきだと思います。

(中略)
 
〇林正純委員(日本歯科医師会常務理事)
 本日の論点の生活習慣病に係る評価について歯科の立場から発言させていただきます。


 
 76ページにも「糖尿病患者に対する医科歯科連携の有効性」の資料が示されておりますが、先ほども長島委員、事務局からもございましたが、既に糖尿病診療ガイドラインでも、歯周治療を行うことは「推奨グレードA」ということでエビデンスが蓄積されてきております。


 
 40ページの総患者数でもわかりますように、糖尿病患者は2番目に多く、他の疾患等々、重複することも多い疾患でございます。


 
 68ページの「生活習慣病に係る評価の経緯」にもありますように、令和2年度の改定におきましても、歯科受診状況を確認することが追加されてきております。
 
 糖尿病のみならず歯周病も早期からの関与や、他職種との連携した管理によって重症化予防が進むと思われますので、本改定でも糖尿病を含め、医科歯科連携がさらに進む施策の検討を引き続きよろしくお願いしたく思っております。私からは以上でございます。

4.かかりつけ医機能の強化

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 (前略)1つ目(の丸)では、「安心・安全で質の高い外来医療の提供を実現するための、診療報酬の在り方について、今後の医療DXの推進も踏まえ、どのように考えるか」と問題提起されております。


 
 安心・安全で質の高い医療提供は医療DXの最大の目的であり、期待される効果です。
 
 ただし、医療DXはまだ始まったところであり、今後、その基盤を整備し、拡充し、普及させていく必要があるため、一定程度の時間がかかります。
 
 したがいまして、当面は医療DXに加えてアナログ的な対応や、現在、利用可能なIT技術も含めた過渡期における評価の在り方を検討していく必要があると考えます。


 
 例えば、「全世代型社会保障構築会議」の報告書では、かかりつけ医機能の在り方の1つとして、複数の医療機関との緊密な連携が示されております。
 
 これは、将来的には「全国医療情報プラットフォーム」が構築されることで実現することでもありますが、実現までの間は、現在、利用可能な地域医療情報連携ネットワークや、紙の文書も含めた現状の医療提供体制を生かしながら、そこにうまく着地できるような評価の在り方を検討していくのも今後の1つの方向性ではないかと思います。

(中略)
 
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 (前略)かかりつけ医機能については、骨太の方針でも出ておりますように非常に重要な観点だとは思いますが、これを、いろんなかかりつけ医機能の項目が出ておりますが、全て1人医師の診療所だけで機能するということは難しい地域もずいぶんあるかと思います。
 
 これについては、むしろ200床未満の中小病院、特に在宅療養支援病院とか地域包括ケア病床を取っているような中小病院の機能、それには多職種も中に入ってますので、この方々の機能といかに連携をして、その地域で地域包括ケアのエリアの中で、かかりつけ医機能を担うという、こういうコラボした機能を展開することが現実にあっているのではないかという気がしております。
 
 ですから、決してバッティングするわけではなくて、例えば、週末の土日だけ24時間は病院でお願いするという方法もあるでしょうし、医師の働き方改革にもつながると思いますので、そういう機能の、かかりつけ医機能を少し幅を広く、一部の地域密着型の病院の機能も使いながら、この機能をそれぞれ面で行っていく、そういう観点で診療報酬上どういうことができるかということも、ぜひご検討いただけるといいのではないかと思います。

(中略)

〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 今後の人口構造の変化を踏まえますと、外来医療においては、かかりつけ医機能の強化、オンライン診療の活用が重要なテーマであるということは皆さま方も認識されているとおりかと思います。
 
 したがいまして、131ページの3つの論点については非常に適切な問題提起であるというふうに考えております。
 
 かかりつけ医機能については、前回の改定では医政局の議論を待ってからということで議論を十分に行うことができませんでした。


 
 ただ、24ページ以降に記載のとおり、全世代型社会保障改革の一環として、医療法にかかりつけ医機能が明記され、かかりつけ医機能報告制度の大枠が決まりました。
 
 詳細な制度設計はこれからですが、かかりつけ医機能に対する診療報酬について令和6年度改定に向けて中医協で議論し、医療法とも整合するかたちの体系的な見直しを行うべきと考えております。
 
 この点は、政府の方針にも、国民・患者の視点からも必須の対応であるということは強く主張いたします。
 
 そうした観点から、具体的なものをいくつか述べたいと思います。1つは、時間外に対応できる機能が非常に重要であるということです。

 
 
 その視点で、47ページの時間外対応加算の届出状況を見ますと、算定条件がほかの2つほど厳しくない「加算3」の割合が極めて低いですが、例えば、輪番制であれば診療所の医師が1人といった場合でも対応できるのではないかと考えます。
 
 連携というのは、かかりつけ医機能の重要な要素ですので、輪番も含めてしっかりと時間外の対応を進めていただきたいと思います。
 
 また、この連携の観点では、医療と介護の連携も含めまして、かかりつけ医に関する評価の要件とするということも考えられるというふうに思います。
 
 また、医療法の改正によって、患者が希望する場合、かかりつけ医機能として提供する医療内容の書面交付が令和7年4月より施行となります。
 

 
 そういたしますと、75ページにございます生活習慣病管理料の療養計画書と、内容・役割が重なってくることも考えられます。
 
 加えて、医療DXを推進する中で、より効率的な情報共有の方法もあると思いますので、どこから情報を抽出し、共有すべきかなども、しっかりと整理することが必要だと考えております。
 
 今、述べました療養計画書に関連しましては、資料の中には特に記載がございませんが、特定疾患療養管理料では要件になっておりませんけども、計画書に基づき、しっかり管理することが、そして書面交付になることも十分考えられると思っております。
 
 そうした点を踏まえれば、特定疾患療養管理料についても、計画書の作成について議論すべきではないかと思っております。


 
 この特定疾患療養管理料につきましては、46ページに算定状況が出ております。これは、約9割の医療機関で算定されておりますけども、一方で、生活習慣病の管理料については4割弱と低くなっております。
 
 今回のテーマにも挙がっております生活習慣病の管理をどういったかたちで評価していくのか。

 特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の対象となっている患者像を十分、分析していただいた上で議論を深めていく必要があると考えますけども。


 
 現時点で71ページにイメージ図がございますが、この中に特定疾患療養管理料を記載するとすれば、どのあたりに位置づけられるのか。これについては事務局にお尋ねしたいということでございます。
 
 かかりつけ医機能の議論に当たっては、同様に計画的な管理を評価している地域包括診療加算と特定疾患の管理料が併算定できることも踏まえまして、単純に加算を新設するという発想ではなく、既存のかかりつけ医機能の評価について、先ほども述べましたけども、体系的に整理すべきです。

(中略)

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。今、松本委員から、71ページでしたっけ、図についてのご質問がございましたが、事務局から回答をお願いできますでしょうか。

〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
 はい。医療課長でございます。松本委員からのお尋ねについて、ご回答させていただきます。


 
 ご指摘の特定疾患療養管理料でございますけれども、それをこの71ページの図に落とし込むと、どのような位置づけになるのかというお尋ねでございました。
 
 ご指摘いただきました、この特定疾患療養管理料でございます。これ、もともとは非常に古い点数というふうに認識をしてございまして、生活習慣病等の厚労大臣が別に定める疾患を主病とする患者さんにつきまして、プライマリーケアを担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したものでございます。
 
 ご指摘のとおり、生活習慣病管理料と違いまして詳細な療養計画の作成とかは要件としておりません。また、施設基準も設けられていないところでございます。
 
 ただ一方で、対象とする疾患が非常に広うございまして、結核やがん、それから甲状腺の障害、そしてまた生活習慣病である糖尿病なども入ってございます。
 
 ほかにも不整脈や心不全や脳血管疾患なども縷々、リストとして挙がっているところでございます。
 
 こういったことから、必ずしも生活習慣病に限らないという性格がございますので、単純な比較はできないところでございますけれども、ご指摘を踏まえまして、整理ということに関しましては私ども事務局として受け止めて検討させていただきたいと思います。以上です。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 松本委員、よろしいでしょうか。

〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 はい、ありがとうございました。今後の議論の中でですね、ある程度の位置づけがたぶん明確になってくると思いますので、それを待ちたいと思います。ありがとうございました。

〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
 (前略)かかりつけ医に関しましては今国会で成立した全世代型社会保障法にも医療機能情報提供制度の刷新であるとか、かかりつけ医機能報告の創設が盛り込まれたところでございます。


 
 既存の診療報酬の枠組みにつきまして、こうした状況の変化も加味して、改めて、この中医協で議論をすることが必要であるというふうに考えております。

(中略)

〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 かかりつけ医機能の強化等や外来機能の明確化を推進するにあたっては、患者にとって安心・安全で質の高い医療という観点での議論は欠かせません。

 25ページにある「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律に係る附帯決議」でも、
 
 「本法のかかりつけ医機能に関する制度改正については、同機能が発揮される第一歩と位置付け、全ての国民・患者がそのニーズに応じて同機能を有する医療機関を選択して利用できるよう、速やかに検討し、制度整備を進める」とあります。

 今後、診療報酬の在り方を議論するに当たっては国民・患者の視点で附帯意見の内容も踏まえながら検討を進めることが必要と考えます。

 続いて、資料の31から33ページにかけて主治医と介護支援専門員の連携状況について記載があります。

 連携状況では、まだまだ連携が取れているとは言い難い状況も読み取れます。
 
 医療と介護の連携という観点からも、以前から連携の必要性が指摘されてきたことを踏まえて、さらに連携を深める必要があると考えます。

(中略)

〇眞田享委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長代理)
 論点の最初の1つ目の丸。かかりつけ医機能に関連しまして、令和6年度は同時改定であることを踏まえれば、医療と介護、これの連携の強化に向けた見直しが重要になろうかというふうに思いますが、

 その際、単純な報酬の上乗せにならないよう、国民負担にも配慮して検討、議論を進めていくべきではないかというふうに思います。

(中略)

〇高町晃司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 私からは、かかりつけ医機能の整備・強化の議論について希望を述べさせていただきたいと思います。
 
 この議論を通じて、患者の一人ひとりが医療の質が向上したと確信を持てることが重要だと考えております。

 例えば、急に体調が崩れたり気になる症状が出たときに、その患者の普段の健康状態や薬の情報を把握して適切に初期診療を行っていただける。
 
 また、普段の健康相談に乗っていただける。夜間や休日の診療に対応していただける。

 必要な場合には、専門機関や介護サービスですね、障害福祉サービスなどとの連携をしていただける。
 
 このようなことをしていただけると、患者は安心して日常生活を送ることもできるでしょうし、安心して診療を受けることもできると思います。

 また、これらの希望は薬害スモンの患者から最近よく聞かれる希望でもありますので、ぜひよろしくお願いします。
 
 しかし、その一方で、私たち患者は、どの診療機関でも同じような対応をしていただけるのかどうか。どこに診療、どこにかかれば、このような対応がしていただけるのかどうか、といったことが判断できない状況にあるのも現状だと思います。

 したがって、それらが判断できるような実績を含めた情報が、患者が把握できるような状況にもしていただきたいと思います。
これらのことを踏まえて、今後の議論を進めていただければと考えております。よろしくお願いします。ありがとうございました。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。はい。長島委員、お手が挙がっております。お願いします。

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 さまざまな加算とか管理料がございますけれども、これはやはりそれぞれ趣旨とか算定要件も異なっているということを踏まえ、
 
 また、かかりつけ医機能を有する医師が基本的な医学管理に加えて、専門的な医学管理を行うことも当然ありうるということをまずご理解いただければと思います。

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