「本日をキックオフとさせていただいて、今後の議論の進め方について、お諮りをする」──。令和8年度改定に向けた主な検討スケジュール(案)が示されました。厚労省の担当者は「次の改定に向けて、今、医療全体の状況として、いくつか取り上げておくべきことがある」とし、「物価・賃金、あるいは医療機関の経営の状況について、これまでの改定とは相当に異なる状況が出てきている」と述べました。 【新井裕充】
約1カ月ぶりの開催です。総会と診療報酬改定結果検証部会が開かれました。
1.総 会(10:30~10:36)
2.検証部会(10:38~11:07)
1.総 会(11:10~11:44)
委員の交代に伴い、新委員が所属する部会・小委員会などを決めた後、総会は一時中断し、検証部会に入りました。
同部会では、令和6年度調査の4項目のうち、今回は精神医療、長期処方やリフィル処方、後発医薬品──の3項目の結果が示されました。残る在宅医療については、「作業に時間を要しており、次回の検証部会にて、お諮りする予定」(米田隆史室長)とのことです。
このため、今回の議題には「診療報酬改定結果検証部会からの報告」は入っていません。
【議 題】
① 部会・小委員会に属する委員の指名等について
② 医療機器の保険適用について
③ 医薬品の新規薬価収載について
④ DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
⑤ 在宅自己注射について
⑥ DPC対象病院の退出に係る報告について
⑦ 令和8年度診療報酬改定、薬価改定の議論の進め方について
⑧ 選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集について
報告事項は⑥と⑧です。それ以外は全て審議事項で、原案どおり承認されました。複数の委員の発言があったのは、③と⑦です。
【今回の内容】
① 新任の伊藤徳宇委員(三重県桑名市長)、城山英明委員(東大大学院法学政治学研究科教授)が所属する部会・小委員会を決定
② 6月1日収載予定の医療機器「Hot AXIOS システム」の保険適用を承認
③ 4月16日収載予定の2成分3品目(イムデトラ点滴静注用、アナエブリ皮下注)の薬価算定案などを承認
④ 次期改定まで出来高算定とする新薬等への対応案を承認
⑤ 既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を効能・効果とするレブリキズマブについて、保険医が投与できる注射薬・在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加する案を承認
⑥ 病棟再編、基準未達によるDPC対象病院の退出を報告
⑦ 令和8年度診療報酬改定に向けた主な検討スケジュール(案)を承認
⑧ 選定療養に関する意見募集の対応方針、今後のスケジュール等を報告
議題③の質疑では、アナエブリ皮下注について診療側(日薬)から「在宅で使うことがあるようであれば、企業においては追加の試験であったり、製剤改良ができればありがたい」との意見がありました。
:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:
議題⑦では、次期改定に向けた議論の進め方を了承。資料は1枚(スケジュール案)のみ。夏頃から始まる「その1シリーズ」の前のテーマに、「医療機関を取り巻く状況」「医療提供体制」が挙げられています。
いわゆる「第1ラウンド」に入る前のテーマは、その当時の社会情勢等を反映した内容になっています。前回(2024年度)改定(眞鍋馨課長・当時)では、「医療DX」「働き方改革」、その前の22年度改定(井内努課長・当時)は「コロナ・感染症対応」、20年度改定(森光敬子課長・当時)は「年代別・世代別の課題」について議論されました。
次期改定に向け、林修一郎課長は「医療機関の経営の状況について、これまでの改定とは相当に異なる状況が出てきていると考えているので、こうした点について、踏まえて議論していく必要があるのではないか」と述べたほか、地域医療構想に関する検討を踏まえて議論すべきとの認識を示しました。
質疑では、診療側から「経営が大変厳しい状況にある」との声が出ましたが、支払側(健保連)は「賃金・物価が上がらない状況下でも医療費の水準が増加し続けていることに強い危機感を持っている」と述べました。
また、別の議題での発言ですが、選定療養制度について患者代表は「幅広く国民から提案や意見を募集する方向性が示されている」と指摘。「関係学会や医療関係団体以外、国民からの意見をもとに、この中医協の議題になったり、実現されたりした例はあるのか」と質問しました。
その上で、「患者への周知を徹底していただきたいこと、患者に過度な負担がかからないように配慮いただきたいこと、そのときに患者の意見を十分、聴いていただくことを検討していただきたい」と要望しました。