第604回中医協総会(2025年2月19日)

2025年2月19日の総会

 「高額な技術料にあたるかは、どのような基準で判断されているのでしょうか」──。高額療養費制度の見直しをめぐり、SNSでは「国家的殺人未遂」という島根県知事の発言がトレンド入り。中医協では、「患者が理解して議論に参加できるように、ご配慮をいただければと思います」との意見がありました。 【新井裕充】

 この日の中医協は、基本問題小委員会と総会が開かれました。

 1.基本小委(10:30~10:40)
 2.総  会(10:43~11:12)

 小委員会では、令和8年度診療報酬改定に向けた医療技術の評価方法等について、2月3日の医療技術評価分科会でまとめた方針を了承し、同日の総会(議題④)でも承認されました。

【議 題】
 ① 医療機器及び臨床検査の保険適用について
 ② 「造血器腫瘍又は類縁疾患ゲノムプロファイリング検査」のDPC制度における取扱いについて
 ③ 薬価算定の基準の改正について
 ④ 診療報酬基本問題小委員会からの報告について

 すべて審議事項で、原案どおり承認されました。質疑で発言があったのは、②と③です。

【今回の内容】
 ① 3月1日収載予定の医療機器6製品、臨床検査1件を承認
 ② 悪性腫瘍に係るゲノムプロファイリング検査の対応方針(案) を承認
 ③ 薬価算定基準の改正事項等を承認
 ④ 令和8年度診療報酬改定に向けた医療技術の評価方法等を承認

 議題①では、「造血器腫瘍又は類縁疾患ゲノムプロファイリング検査」(44,000 点)の保険適用を承認。続く議題②で、同検査料の取扱いについて「対応方針(案)」が示され、これを承認しました。

 ■ 議題②の説明(PDF:1.5MB)

 同検査(44,000点)をDPCの包括評価の対象にすると、「医療機関の負担が過大となる」と指摘。「特例的な対応として、次期診療報酬改定までの間、出来高算定する」との方針です。

 質疑で、診療側(日医)は「医療機関の費用負担の大きさも踏まえると、高額な検査等については、高額の医薬品と同様に考えていく必要性も生じている」とし、今後の意向を質問。厚労省の担当者は「まだ例が少ないのでルール化するところまでには至っていないが、今後、事例をいろいろ見ながら考えていく必要がある問題」と述べるにとどまりました。

 ■ 議題②の質疑(PDF:1MB)

 一方、支払側(健保連)は今回のケースについて「包括評価の対象とした場合には、患者の医療アクセスを阻害する懸念がある」との認識を示した上で、「個別の判断で例外的に」との条件付きで承認しました。

 患者代表からは「高額な薬剤や高額な技術料という問題は、今、政府内で話が出ている高額療養費の制度の見直しとも深く関連するものと考えているので、ぜひ患者にもわかりやすい説明をしていただきたい」との意見がありました。

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 議題③は、令和7年度薬価改定について、すでに1月の総会で承認されている算定基準の改正後の案文などが示されました。

 ■ 議題③の質疑(PDF:587KB)

 質疑では、最低薬価品目について患者代表が「総価取引の調整弁として値引きされているという議論があると思うが、この問題が必ずしも解決されていないのではないか」と質問。厚労省の担当者が現在の取組状況などを説明しました。

 ところで、翌日の介護保険部会では制度改正に向けて、地域包括ケアシステムや認知症施策の推進などをテーマに議論。その中で、審議の進め方について次のような発言がありました。

〇井上隆委員(日本経済団体連合会専務理事)
 (前略) それと、これはちょっと、この介護保険部会のみならずなんですけれども、昨今の審議会の審議の進め方についてですね、審議で結論を出しても、それが最終的には非常に政治の過程で大きく変化してしまうという、今、状況になっております。そしてまた、その審議で出た結果に対してですね、なかなか、この結論に対して、ちょっと驚くような、その社会的な反応であるとか、あるいは、厳しい批判があったりというものが散見されておりまして、ぜひ、この介護保険部会でもですね、この審議会の目的っていうのは政府の施策を関係者が集まってコンセンサスを得て結論を導いていこうというものだと思いますので、ぜひ、そのプロセスであるとか、その関係者、この委員のみならずですね、当事者であるとか、その現場の意見をですね、丁寧に聴くという、そういう機会もぜひ設けていただきたいなというふうに思います。以上でございます。
〇菊池馨実部会長(早稲田大学理事・法学学術院教授)
 ありがとうございます。今の井上委員の最後のところのお話、医療保険部会、年金部会に出させていただいてる身としては本当に心にしみるようなお話でございまして、ありがとうございます。

 

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