新薬創出加算の行方

東洋の偉人ホセ・リサール博士記念碑_2023年7月6日

 2010年の試行導入から14年目を迎えた新薬創出・適応外薬解消等促進加算。24年度の薬価制度改革に向けて、製薬業界からは新たな制度への移行を求める声が上がっている。かつて指摘されたドラッグ・ラグの問題は、ドラッグ・ラグにドラッグ・ロスも加わり深刻さを増すが、これまではどんな経緯をたどったのか。【本根優】

 07年に日本製薬工業協会(製薬協)は「新たな薬価制度案」を公表。その柱はエグゼンプト・ドラッグ(改定除外医薬品)の設置」だった。これは、特許期間中の医薬品やその他国が定める医薬品(希少疾病医薬品、必須医薬品など)について薬価改定の対象から除外するというもの。

 エグゼンプト・ドラッグはその後、製薬協や日本製薬団体連合会を中心に考案した「薬価維持特例」(特許期間中の新薬の中で一定要件を満たす医薬品の薬価改定を猶予)に変化。それが、中医協での検討過程で新薬創出加算に形を変え、10年から試行導入されたことになる。

 そして今回、7月5日に製薬協が提案したのが、シンプルに特許期間中の新薬の薬価を維持する「患者アクセス促進・薬価維持制度」。これ自体「薬価維持特例」から名称や中身をリニューアルしたものと言えそうだ。

 加えて、製薬協は革新的な医薬品を国内に迅速導入した場合の薬価上の評価として「迅速導入評価制度」の創設を初めて提案。欧米への上市後、一定期間内に国内上市した場合などを想定し「類似薬の外国価格の水準に劣らない価格を設定する」スキームを示した。

 そして、新薬創出加算の代わりに、これら新制度に移行したい考えだ。製薬協の説明によれば、薬価維持の対象は「少なくとも現行の新薬創出加算品目と、迅速導入評価制度品目」のため、これまでより範囲が広がる。

 中医協・支払側は必要財源が膨らむことに警戒感を滲ませる。新薬創出加算では後発品が上市されれば、それまでの累積加算額を一気に控除(返還)することになっていた。しかし、製薬協の新たな提案では「返還までが一連の流れだったのに、それに関する代替策が見当たらない」(支払側関係者)からだ。

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