8月10日の内閣改造・自民党役員人事で、加藤勝信氏が厚生労働相に就いた。3度目の登板になる。12日の記者会見で、加藤氏は「3回目ではあるが、1、2回目と今回はかなり異なっている状況がある。まずは初心に立ち戻って真摯に取り組む」と語った。しかし、直前に永田町や霞が関で出回ったのは、加藤氏とは違う、ある女性議員の名前だった。【本根優】
それが、上川陽子氏だ。過去に法相、少子化対策担当相などを務めたことのある岸田派のベテラン議員。後藤茂之氏の後任の厚労相候補に浮上していたが、最終的には「新型コロナウイルス禍で、課題山積の巨大官庁を未経験者が操るのは困難」(岸田派関係者)との認識や、派閥のバランスなどから、経験豊富で安定感のある加藤氏に落ち着いた。
加藤氏は「首相から電話を受け、渋々承諾した」(茂木派関係者)という。
一方、12日に決まった副大臣・政務官人事では、医療関係議員の起用が相次いだ。厚労副大臣には元日本医師会副会長の自民党・羽生田俊氏と、公明党・厚労部会長を務めてきた伊佐進一氏が就いた。また、国産のコロナウイルスワクチン・治療薬開発に思い入れの強い医師の公明党・秋野公造氏は、財務副大臣に就任した。
厚労大臣政務官には、薬剤師出身の自民党・本田顕子氏と、診療放射線技師出身の自民党・畦元将吾氏が起用された。このほか、日本医師連盟が推し、7月の参院選で再選を決めた自民党・自見英子氏は内閣府大臣政務官、元厚労省医系技官の自民党・国光文乃氏は総務大臣政務官に決まった。
さらに元厚労官僚の公明党・里見隆治氏は経済産業大臣政務官、元レーシングドライバー、医療法人理事の自民党・山本左近氏は文部科学大臣政務官に就いた。