厚生労働部会で、日本病院会の相澤孝夫会長が「かかりつけ医」に関して、持論を展開した。7月15日のことだ。これが、自民党ではなく、与党の一角を担う公明党厚労部会(医療制度委員会との合同会議)というのも絶妙だ。【本根優】
関係者によると、厚労省からは、医政局の熊木正人総務課長、保険局の井内努医療課長が参加した。
相澤氏は「主治医機能(患者の有する疾病の診察に責任を負う機能)とかかりつけ医機能を区分するのではなく、医師がかかりつけ医機能を有し、かかりつけ医として診療するかどうかを国民に分かるように医師が自ら表示することが必要で、喫緊の課題」と主張した。
こうも訴えたという。
「最近は診療所でのかかりつけ医機能を有しない医師が増加しており、この傾向は都会ほど顕著であり、これからの総合的全人的医療を必要とする高齢化社会の進展を考えると憂慮すべき事態だ」
ベースには「かかりつけ医機能の発揮は診療所、病院といった医療機関の規模や形態で決まるものではない。病院では地域密着型の病院がかかりつけ医機能を発揮すべき」といった考え方がある。
自民党関係者が背景事情を解説する。
「自民党の厚労部会なら、日本医師会の存在を意識し、日病の相澤氏のかかりつけ医に関する主張のみを聞く機会を設けることはない。あるとすれば、日医含め、広い意味でさまざまな団体に声掛けしたヒアリングだろう」
ここ一年程、相澤氏が政治の場に単独で働き掛ける場面が目立つ。一連のロビー活動は「日医副会長に猪口雄二氏が入ったことへの当てつけに近い。中川(俊男)会長も面白く思っていないことを十分意識して、相澤氏は動いている」(前述の自民党関係者)
概ね良好だった日医・四病協の関係は、横倉義武前会長という“潤滑油”を失い、摩擦による擦り傷が目立つようになってきた。