コロナ治療で苦闘する病院関係者への遠慮があるからなのか、コロナ専用病床への補助金活用の実態は、今のところほとんど報道されていない。コロナ専用病床には最大で1床当たり1950万円、感染症疑い患者病床でも1床あたり450万円を上限に補助されている。【堤実篤】
金額の妥当性はともかく、補助金を受け取ってから患者が入院せず、病床が稼働しなければ──?
この問題はすでに昨年10月に指摘されている。日本病院会の相澤孝夫会長が『文藝春秋11月号』でこう疑問を述べたのである。
<いまはコロナの患者さんがいなくても、病床を確保するだけで補助金が支払われます。集中治療室(ICU)の場合、一日最大で三十万一千円です。もちろん、大変ありがたいことではあります。ただ、相澤病院でも、人工透析が必要なコロナ患者のために病床を確保してありますが、コロナ感染症患者が極めて少ない地域のためか、まだ一人も入院していません。地域の特性でしょうか、「なにもせずにお金をもらってもいいのかな」と感じることもあります>
第5波による感染爆発を受けて、補助金を受け取っていながらコロナ患者の受け入れに消極的な病院の存在が、ようやくクローズアップされるようになった。ただ、看護師不足など「正当な理由」を主張されたら、当局は容認せざるを得ないだろう。
田村憲久厚労相は「補助金返還も含めて対応せざるを得ない」とブラフをかけたが、現下の情勢で「正当な理由」を精査できるとは考えられない。結果として、バラマキ政策に転化したことは否めない。
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