霞が関の各省庁がすでに人事を7月に終えるなか、取り残される形で厚生労働省の人事は9月以降に実施される見通しだ。樽見英樹事務次官(83年入省)の後任には、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策室長を務める吉田学氏(84年入省)が有力視される。【本根優】
樽見氏は同期の鈴木俊彦前事務次官からバトンを引き継いだ。樽見氏、鈴木氏のほか、医政局長を務め、医療・医薬品関連政策に精通していた武田俊彦氏、年金局長を務め、官邸での働きが評価されていた木下賢志氏が83年入省組にいた。4人で事務次官の座を競ったうち、2人がそのポストを射止めたことになる。
樽見氏の後任と目される吉田氏は、子ども家庭局長、医政局長を務め、鈴木氏の後任での事務次官就任も取り沙汰されたが、新型コロナの影響で“待機ポスト”として次官級のコロナ室長ができたこともあり、実現しなかった。旧厚生省出身で、84年組の有力幹部は吉田氏のみ。
仮に吉田氏が事務次官に昇格した場合に、85年組の濵谷浩樹保険局長がコロナ室長に回ることが予想される。
ただ、菅義偉首相の覚えめでたい樽見氏が、コロナ危機対応の継続性を重視する観点から、異例の続投となる可能性もゼロではなさそうだ。秋には自民党総裁選や衆院選も予定されており、その時期や結果にも人事が左右されることになる。
医系トップの医務技監には福島靖正氏が昨年就任したばかりで、続投となる公算が大きい。もしも交代する場合には、診療報酬改定の経験も豊富な医政局長の迫井正深氏、コロナ対応で存在感を発揮してきた正林督章氏らが候補に挙がるが、自民党の厚労関係幹部議員は「事務次官と医務技監の同時交代は現在のコロナの状況からはあり得ないだろう」と見ている。
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