経済界の代表らでつくる「令和国民会議」(令和臨調)が4月25日に社会保障制度改革の提言を公表し、かかりつけ医機能の認定や登録の必要性を主張した。政府の「全世代社会保障法案」よりも、強制力を持たせた格好で「骨太の方針2023」に盛り込むことを求めているものの、事実上、今回の骨太に反映される可能性はほとんどない。【本根優】
令和臨調は茂木友三郎氏(キッコーマン取締役名誉会長)、小林喜光氏(東京電力ホールディングス取締役会長)、佐々木毅氏(元東大総長)、増田寛也氏(日本郵政取締役兼代表執行役社長)が共同代表を務める。
提言では、新型コロナウイルス禍の経験も踏まえて、かかりつけ医機能を備えた医療者を「適切に認定する仕組み」の必要性を主張した。住民が機能を発揮する医療者のグループ(多職種保健チーム)を選択・登録する仕組みを設けつつ、医療者の責任に応じた報酬体系を導入すべきとした。
一方で、加藤勝信厚生労働相は、かかりつけ医機能報告について、国会で次のように答弁している。
「法律上の効果として医療機関の権利や義務に直接影響を与えるものではなく、医療機関の評価や認定を行ったり、ペナルティーを課したりするものでもない」
都道府県による確認についても、報告された機能の現状を客観性が担保された形で的確に把握するため「事務的に確認するものだ」と説明。「患者の受療行動に介入するものではなく、医療費抑制の仕組みでもない」と付言している。
令和臨調としては、政府の法案のように「社会的な義務を担う医療者が、その職能を自発的に報告するだけでは不十分」とも主張している。だが政府は、日本医師会の強い抵抗などを受けて、「一歩前進が今回の落としどころ」(内閣府関係者)とのスタンスのため、かかりつけ医機能に関して、今回の骨太で踏み込む構えを見せていない。
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