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9月13日の内閣改造で、岸田文雄首相は厚生労働相に武見敬三元厚労副大臣を起用した。武見氏と言えば、もともと参院選全国比例区の日本医師連盟組織内候補。当選を重ね、現在は東京選挙区に移っているが、それでも「医師会のお抱え」のイメージは拭えない。【本根優】
そうした事情を踏まえ、9月14日の就任会見で、武見氏は「私は決して医療関係団体の代弁者ではない」と強調した。
武見氏は1951年生まれ。父は元日医会長で「ケンカ太郎」の異名を取った故・武見太郎氏。ニュースキャスターなどを経て、95年の参院選で初当選。外務政務次官、参院外交防衛委員長、参院自民党政策審議会長などを歴任した。国際保健分野に精通し、海洋政策にも強い。
日医の松本吉郎会長は改造内閣発足に伴い、声明文を出し「国際政治学者でもあり、また国際保健のエキスパートとしても活躍している。エビデンスに基づく冷静沈着な分析と、ラガーマンとして培われた熱血漢としての側面を持つ稀有の存在と尊敬している」と、武見氏を持ち上げた。
また、声明文の中で、日医連組織内候補として擁立し、参院2期目を迎えた自見英子氏が地方創生担当相に就任したことと、武見氏の厚労相就任を「日医として誠に喜ばしい限り」とつづった。
もっとも、24年度診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の論議を控え、武見氏の厚労相就任が「吉と出るか凶と出るかは、蓋をあけてみないとわからない」(日医幹部)状況と言える。
これまでの改定で、武見氏は与党の立場からプラス改定を声高に求めてきたが、今度は医療、介護から福祉、子ども子育てまで全体を俯瞰して政策調整し、財政当局とも折衝する立場。厚労分野の政策に自ら手を下せる一方で、持論を封印せざるを得ない場面も少なくないだろう。
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