2年に1度の診療報酬改定が終わり、その結果が直後の日本医師会会長選挙に直接影響を与える。そんなサイクルが存在する中、今回はどうなるかと言えば「プラス改定を追い風に、日医・松本吉郎会長が2期目当選」というシナリオが現実味を帯びている。 【本根優】
松本氏は、日医会長選に出馬することを正式には表明していないが、すでに全国からの支持が集まり、6月22日の定例代議員会で行われる選挙では“無風”のまま再選を決める公算が大きい。
24年度診療報酬改定が本体プラス(0.88%増)で決着したことに対し、松本氏の手腕を評価する声が多く、それが続投要請につながっている。さらに会長就任以来、日医の組織強化を最重要課題に掲げ、実際に会員数アップを実現した。
日医会長選は全国8ブロックの代議員(380人)による投票で決まる。
1月に「九州医師会連合会」が松本氏の実績を評価し、逸早く出馬要請。2月に入り、松本氏の地盤である埼玉を含む「関東甲信越医師会連合会」も出馬要請を決めた。さらに「東北医師会連合会」も松本氏を推薦する方針を決定。3月に入り「中部医師会連合」「近畿医師会連合」も同調する動きを見せた。
これら5ブロックの代議員数を数えると、7割を超えることになり、当選には十分すぎるほど。残るのは北海道、東京、中四国の3ブロックだけだ。
北海道と言えば、追い込まれ、身を引く格好となった中川俊男前会長の出身医師会。東京と中四国は、25年参院選の日本医師連盟「組織内候補」公募の過程で、出馬が決まった釜萢敏常任理事「以外」を推す動きを見せていたブロックになる。公募の体裁を取りながら、松本氏自らが“肩入れ”し、釜萢氏擁立へ動いたことへの不信感が、他ブロックと比べた場合の「推薦の遅れ」という形で表面化している。
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