4月1日の薬価改定で、小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」が市場拡大再算定の類似品(共連れ)として再算定を受ける。薬価は15.0%減。同社関係者は、厚生労働省の対応に不信感を募らせる。 【本根優】
なぜか。24年度薬価制度改革が中央社会保険医療協議会で議論され、23年12月の改革骨子にも「あらかじめ中医協で領域を特定して、その領域については類似品としての再算定の適用を除外する」ことが決まった。
それにもかかわらず「駆け込み再算定」のような形で、この4月の改定では、これまで通り、再算定が類似品にも適用されることになったからだ。
特定領域の設定は、企業の予見性への配慮や新薬の競合性の複雑さを踏まえた措置。類似品でも品目によって効能が多様にもかかわらず、効能が1つでも重複すれば再算定対象となる状況が生じ得るため、除外する領域を特定することになった。
中医協の業界団体ヒアリングで特定領域のイメージとしてオプジーボが該当する「抗PD-1抗体/抗PD-L1抗体」、さらに「JAK阻害剤」が例示されていた。
つまり、特定領域が設定されれば、オプジーボは再算定を免れることができたはずなのに、その議論が未了のため、共連れ再算定を受けることになったわけだ。
厚労省は特定領域を設ける取り扱いは「24年度の四半期再算定から適用することとし、特定すべき領域は今後中医協で議論する」方針を示している。
オプジーボは度重なる再算定で、14年9月の薬価収載時に100㎎72万9849円だった薬価が、現在は15万5072円。今回の共連れによる引き下げでさらに下落し、4月からは13万1811円と、収載時の2割を割り込む水準になる。
同社関係者は、世界に先駆けて開発・製品化した日本発の画期的新薬にもかかわらず、不穏当な扱いを受け「イノベーションが評価されていない」と憤る。
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