そんなに売れるのか

江戸城平川橋_2022年9月3日

 中央社会保険医療協議会は1月25日、22年度の薬価制度改革で導入された高額薬剤に関する新たなルールに基づき、塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」の薬価算定方法の検討に入った。このルールは「初適用」だが、パンデミックとも関わる新興感染症の治療薬だけに、薬価算定の難しさを露呈した。【本根優】

 このルールは、年間1500億円超の市場規模が見込まれる製品を承認した場合に、保険財政への影響を鑑みて、通常の薬価算定手続きに先立ち、中医協総会に報告し、算定方法を議論するものだ。

 厚生労働省の試算では、重症化リスク因子のある中等症以上の患者に用いる、既存の新型コロナ経口薬と同様に、ゾコーバに1治療当たり9万円程度の薬価をつければ、年間2430億円~4860億円まで市場規模が拡大してしまう(昨年1年間の感染者数約2700万人の1~2割に投与された場合)という。

 中医協では、「既存のコロナ薬ではなく、インフルエンザ治療に用いる抗ウイルス薬と比較し、原価計算方式、市場拡大再算定、費用対効果評価の組み合わせで対応するのが基本」(支払側委員)といった意見が出た。

 ただ、そもそも現時点でゾコーバは患者1万7500万人、陽性者の0.2%にしか投与されていない。

 ある大手製薬企業幹部は「コロナの流行と関わるだけに先が読めないのはわかるが、ゾコーバの算定方法を決めても、おそらく1500億円以上まで拡大することはないのではないか」といった見方が大半を占める。

 さらに、製薬業界に身を置く厚労省OBも「売れるか売れないかより、既存のコロナ薬との比較で算定すると“高すぎる”との問題意識から議論しているかのようだ」とこぼす。

 また、今回の議論は、現在承認申請中のエーザイのアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」の薬価算定に向けた「予行練習ではないか」との見方もある。

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