「政策には強いんだが、選挙に弱いんだ」。岸田政権で厚生労働相に就任した後藤茂之氏を、ある自民党の先輩議員はそう評する。【本根優】
元大蔵官僚で政策通。特に税制に強く、党税制調査会に9人しかいない「インナー」(幹部)メンバーにもなっている。新政権発足前までは、党新型コロナウイルス感染症対策本部座長を務めてきた。過去には、党厚労部会長、党社会保障制度調査会事務局長、同調査会介護委員長などを経験している。
数年前から「次の厚労相候補」に名が挙げられてきたため、現役・OB含めて財務官僚を重用する岸田政権での後藤氏起用は、永田町では「順当」と受け止められている。
だが、その後藤氏にとって、ネックなのが、冒頭のように選挙に弱いことだ。
後藤氏が大臣として、7回目の当選を目指す長野4区で、野党は立憲民主党が候補者を見送り、日本共産党の新人に一本化される方向。コロナ禍にあって、重要ポストを担う「現職官僚」対「野党共闘候補」の構図で、全国的にも耳目を集めそうな情勢だ。
厚労族のベテラン議員は「政策立案能力、事務能力の高さは申し分ないが、器用貧乏のようなところがある。あとは、声が大きくてひそひそ話ができない」と評する。
野党陣営は「後藤氏は自民党のコロナ対策の中心の人」と位置付け、これまでの政府・与党のコロナ対策の不手際を並べながら攻勢を掛ける構えだ。
17年の前回衆院選で、公明推薦も得た後藤氏の得票率は約46%だったのに対し、野党候補2人の票を合計すると約54%となり、後藤氏を上回る。
大臣就任を追い風に、選挙に勝利し、後藤氏はトレードマークのスマイルを、支援者の前で見せることができるだろうか。
.
■ 中医協の速記録(非公式)をご希望の方は、こちらのページをご覧ください。