ゾコーバ錠の薬価収載に向け、総会と薬価専門部会が開かれました。いずれの議題も「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」です。【新井裕充】
ゾコーバ錠の具体的な薬価算定方法について、まず薬価専門部会で検討する方針を総会で了承。それを踏まえ、薬価専門部会が開かれました。
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1.総会 10:04~10:28
2.薬価専門部会 10:31~11:03
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資料のタイトルは総会も薬価専門部会も「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」となっていますが、内容は一部異なります。総会は10ページ、薬価専門部会は18ページです。
薬価専門部会で示された論点は大きく分けて2つ。①収載時、②収載後──の課題です。厚労省担当者の説明はこちらをご覧ください。
①について薬価専門部会では、既存のコロナ治療薬(9万円、25万円)を比較薬とすべきではないとの意見では一致したように感じました。
問題は、インフルエンザの治療薬を比較薬とするのか、それでは価格が下がりすぎないか。ではどうするか、という点でしょうか。
質疑で、森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は次のように述べました。
「本剤は抗ウイルス作用の薬剤であることから、既存の薬剤を比較薬とする類似薬効比較方式で算定していくことは1つの考え方かもしれません。
ただ、本剤は既存のコロナ感染症治療薬と対象患者が大きく異なる可能性があるため、単にコロナ感染症の既存薬と比べるものではないと考えます。
インフルエンザに用いる薬剤も比較対象の1つとして想定できますが、1治療あたりの薬価が大きく異なる懸念があります。薬価算定の方法については、従来のルールにとらわれすぎない柔軟なかたちで検討することが必要と考えます」
一方、収載後の価格調整についてはこのように述べました。
「現場への影響という点では、薬局は在庫を抱えており、薬価を下げることは薬局の資産価値の減少となり、薬局経営への大きな打撃になります。これは医療機関でも同様です」
今回のテーマは、高額になりそうな医薬品への対応策ですが、タイトルに括弧書きで「感染症治療薬」とあります。②の課題「市場規模予測が難しい医薬品への対応策」が実はメインテーマでしょうか。
資料説明の最後で、厚労省保険局医療課の安川孝志薬剤管理官が次のように述べています。
「今回、薬価算定の手続きに先だって薬価算定方法の議論を行おうとしたきっかけは、市場規模が高額になる場合でございますので、そのような場合の考え方について、ご議論をお願いいたします。
現在の使用状況が継続するのであれば市場規模が高額になることはないと思われますが、高額になることがわかってから新たな価格調整ルールを検討するのは迅速な対応ができなくなる恐れがございますので、薬価収載の際に今後の価格調整のルールについてもあわせて検討すべきと考えたので、ご検討いただくものでございます。
したがいまして、収載時の価格調整につきましては、今回これからご検討をいただく考え方につきましては、使用状況によっては適用されない可能性もありうるというものでございます」
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