新型コロナウイルス対応で、光明を見出せず、菅義偉政権が窮地に陥っている。4月25日に行われた衆参3選挙で自民党は全敗。二階俊博幹事長の求心力低下も著しい。そんな中、永田町では「菅降ろし」を狙うかのような怪文書が飛び交う。【本根優】
「ファイザーとワクチンの追加供給に合意したのに、それも国民に全く響いていない」(官邸スタッフ)
菅首相は4月19日、訪米中に米製薬大手ファイザーのアルバート・ブーラCEOと電話会談したことを踏まえて、「(国内の全対象者分が)9月までに供給されるメドが立った」と胸を張った。
だが、イスラエルや英米など、ワクチン接種で、市民生活が正常化に向かう国々が数多く出始めていることもあり、日本のワクチン接種の遅れが一層際立つ展開となっている。
怪文書の表題は「菅義偉自民党暫定総裁について」というもの。
「菅暫定総裁は、9月の自民党総裁任期満了まで党則第80条1項による総裁選挙を実施して、正々堂々と再選を果たして党則第80条第1項及び第4項に規定される正式な総裁となった上で、国民に信を問うことを期待します」
そんな記述で、菅総裁が「暫定」であることを殊更強調している。
ポスト安倍レースを制した菅氏だが、「選挙の顔」としては疑問符が付く。一方で、岸田文雄前政調会長は参院広島選挙区で議席を失い“戦犯”状態。石破茂元幹事長は派閥が事実上崩壊しており、支持の広がりは望めない。
ポスト菅には河野太郎規制改革担当相などの名が挙がるが、党内では、それよりも安倍晋三氏の再々登板を望む勢力の方が結束が強い。