自民党の「全世代型社会保障に関する特命委員会」と「社会保障制度調査会・医療委員会」の合同会議は11月17日の会合で、政府・全世代型社会保障構築会議から報告を受けた。今後の政府・与党の議論で、かかりつけ医機能がどう位置付けられるかが焦点となっている。【本根優】
加藤勝信氏が厚生労働相、後藤茂之氏が経済再生相に回り、党内論議の中心は田村憲久氏。合同会議終了後、田村氏は記者団に「患者や国民の選択を前提とした、かかりつけ医機能の整備を求める意見が多く出た」ことを明らかにした。
11日の政府・全社会議では、医療・介護制度改革の検討チーム(主査=増田寛也・東大大学院客員教授)が報告を行った。
同チームは、かかりつけ医機能の活用について「医療機関、患者それぞれの手上げ方式とすべき」と提言した。それに向け「医療機関は自らが有するかかりつけ医機能を住民に情報提供し、自治体がその機能を把握できるようにする仕組み」が必要と指摘。さらに「医療機関が患者の状態を把握し、総合的・継続的な診療・相談に応じる旨をわかりやすく示すこととしてはどうか」と示した。
検討チームの報告に、懸案となっている「登録制」についての言及はなかった。
日本医師会の松本吉郎会長は、記者会見などで「かかりつけ医を持つことを義務付けたり、割り当てたりするのは反対だ。登録制は患者が医師を選ぶ権利を阻害する乱暴な議論」と繰り返している。
田村氏が牽引する自民党厚労族の議論の方向性も、松本会長の主張と合致する。
一方、登録制との関連で財務省が問題視するのは、次のようなことだ。主計局関係者が語る。
「新型コロナウイルス禍の教訓は、フリーアクセスが『いつでも、好きなところを』と捉えられがちだったが、それでは機能せず、『必要なときに必要な医療にアクセスできる』ということ」
さらに「厳格な登録制は医療界のハレーションが大きく難しいことは承知している。『手上げ』方式であっても、積極的な医療機関にインセンティブを多く与える方向が現実的だろう」と話している。