マツジュンと言えば、20年いっぱいで活動を休止したアイドルグループ「嵐」の松本潤というのが、世間の常識だ。ところが、完全に瞬間風速ながら、1月下旬の数日だけは“政界のマツジュン”こと、自民党衆院議員の松本純が、本家のマツジュンを超えるほど、お茶の間の耳目を集めた。【本根優】
松本氏は、横浜市議を経て96年に神奈川1区から衆院に出馬し、初当選。過去に製薬会社にも勤務したことのある薬剤師議員として知られる。
麻生太郎財務相の最側近で、麻生政権だった08年には当選3回で官房副長官に抜擢された。16年に初入閣を果たし、国家公安委員長を務めている。
その松本氏は今回、緊急事態宣言下にもかかわらず、イタリアンレストランでの飲酒を伴うディナーに続き、深夜まで銀座のクラブをハシゴしていたことが発覚。本人は「陳情を受けていた」などと釈明したが、ボスの麻生氏は「甚だ不適切」と、松本氏に猛省を促した。
今回の騒動で、知名度は、閣僚在任時以上に上昇し、皮肉な形で全国区となった。「麻生氏の最側近」とよく形容されるものの、実態は腰巾着でしかない。
自民・厚労族の中でも重鎮と呼ばれていいほど、キャリアは長いが「国会対策畑の先生で、必ずしも政策通とは言えない」(元厚労省幹部)。また、「閣僚も経験したし、現在の国対委員長代理以上の出世は望めない」(自民党関係者)という。
「若見え」するルックスながら、松本氏は70歳。世間の風当たりの強さを感じつつ、それでも応援しないといけない立場の薬剤師会の関係者は「これが衆院選の直前でなくてよかった」と安堵する。