日本医師会は6月27日に定例代議員会をオンライン形式で実施した。選挙で決まった人事に関して、イチャモンをつけるのは異例だが、そこで猪口雄二副会長をめぐるやりとりが交わされた。【本根優】
関係者によると、猪口氏の副会長起用に批判的な質問をしたのは、福島県医の星北斗代議員。星氏と言えば、地元を同じくする「坪井チルドレン」のひとり。坪井栄孝氏は96年~04年まで4期8年、日医会長を務めた人物だ。坪井氏は00年、日本人2人目となる世界医師会長にも就いている。
星氏は坪井会長時代に日医常任理事を務めたこともある。そんな星氏がこのほど、執行部対応に辛辣な意見をぶつけた。
「全日本病院協会の唯一の代表理事と、日医の代表理事の1人が同一なのは違和感を覚える。それぞれの団体の独立性の観点からは利益相反やそれぞれの代表理事の業務執行に何らかの影響を来たすことは十分に想定できたし、今後も想定される」
これに対し、松本吉郎常任理事は書面で次のように回答している。
「懸念されるような団体相互の独立性が毀損されることはない。むしろ、医療への携わり方が異なる立場からのご意見を尊重し、会内に等しく組み入れることができるのは、医師会組織が持つ強みだ」
さらにこう続けた。
「コロナ禍で地域医療を崩壊させぬよう、医療機関の機能分化や病床確保を進めていくにあたり、病院団体とより迅速に意思疎通を図りながら密接に連携できたことは大きな成果」
猪口氏の副会長起用は、1年前の日医「中川政権」発足時の目玉人事だった。残り1年の任期で、猪口副会長が目に見える実績を残すことも「中川氏続投」の条件の1つとなりそうだ。