薬価専門部会のみ正午過ぎの開催です。令和5年度薬価改定の骨子の記載案が出ました。診療側・支払側がコメントして30分程度で閉会しました。【新井裕充】
中医協は午前9~10時ごろに始まることが多いのですが、正午過ぎの開催は初めての経験です。
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冒頭、厚労省の眞鍋馨課長が「本日、午前中に令和5年度薬価改定について3大臣合意が行われた。そのスケジュール上、このような変則的な時間帯での開催となったことをお詫び申し上げる」と述べて議事に入りました。
安川孝志薬剤管理官が説明に使用したのは「薬-1」で、「令和5年度薬価改定について(骨子案について)」というタイトルです。
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最初のページでは、改定の対象範囲について前回の部会で示した資料に「うち新創加算対象」という項目が新たに追加されています。
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下から2段目が前回改定の水準です。この元資料が出た1週間前、日経新聞は「薬価改定で医療費5000億円削減 厚労省試算 全品の75%対象で」と報じていました。
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12月9日の記者ブリーフィングで「影響額は(医療費ではなく)薬剤費と考えてよいでしょうか?」と確認の質問があり、厚労省の担当者が「ご理解のとおり。これは薬剤費ベース」と回答したことはさておき、前回並みで「69%」「4,900億円」という数字が資料に出ていました。
今回、もろもろの緩和措置が入り、厚労省の安川孝志薬剤管理官の説明では「全体の48%」で、日経報道によれば「3,100億円程度の削減」にとどまりました。(何億円の影響なのか、会議では説明していません)
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今回の緩和措置の中で、特に大きいのが新薬です。もし前回の中間年と同水準で改定したら、新薬創出等加算の対象品目にマイナス640億円! も影響が出ますので、これがどうなるのか注目ポイントでした。
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前回の中間年改定では100億円の影響です。1週間前、12月9日の部会に示された論点では救済するような雰囲気が出ていました。このように書かれています。
「ドラッグラグの再燃の懸念や円安の進行による研究開発費の増大が指摘される中で、薬価の観点から対応すべきことについて、どのように考えるか。」
これまでなかった記載が急きょ飛び込んできましたので、新薬創出等加算に一定の配慮をするのでは、と思いました。
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今回の3大臣合意の文書では「新薬創出等加算の加算額を臨時・特例的に増額し、従前の薬価と遜色ない水準とする対応を行う」とされました。やはり大企業の力はすごいです。健保組合の代表も強くは反対できないのでしょう。
支払側には「患者の立場」もありますから、「ドラッグラグの再燃」というキーワードは効果的かもしれません。今回の会議では説明がありませんでしたが、10月26日の業界ヒアリングで出された資料が「薬-1参考1」に入っています。
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ところで、改定の影響について今回の資料からは読み取れない数字があります。有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)の質問に対し、安川薬剤管理官が次のように答えましたので記しておきます。
〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
(前略)最後に1点、確認になります。「薬-1」の2ページ、3ページの、改定対象となる品目数や改定の影響額が示されております。
実際には、改定対象となっても基礎的医薬品などの制度によって薬価が維持されるものもあるはずです。
また実際に、薬価の引上げ、あるいは薬価維持、あるいは薬価の引下げとなる品目について、実際にどれくらいの規模となるのか。
今後、品目数や影響額について示していただくことは可能でしょうか。ぜひ、ご検討いただければと思います。私からは以上です。
〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
薬剤管理官でございます。先ほどのご質問、確認事項につきましてでございます。
資料の2ページ、3ページに示しているものについては先ほど委員からありましたように、あくまで市場実勢価にのっとって改定をしたというものの品目、影響額でございます。
改定対象につきましては、今回の0.625倍以上を対象にすることで全品目の中の69%、1万3,400品目が対象になりますけども、算定ルールによって薬価が維持されたり、引き上がる品目がございます。
ちょっとざっくり申し上げますと、
まず薬価が引き上がる品目は全体の6%程度、6%。具体的には、先ほどの、不採算品の特例を行うということがございますけども、それによる1,100品目が相当するというものでございます。
また、薬価が維持されるものにつきましては、全体の品目の46%、約9,000品目でございます。
また、薬価が引き下がるもの。こちらは全体の48%、約9,300品目でございます。
こういった中に、新薬創出等加算も今回特例を設けますけども、新薬創出等加算は全体としてはですね、600品目程度ございますけども、その中の450品目が価格を維持。要は、改定対象になっていないものも含めましてですけれども、薬価が維持されます。
また今回、残りの150品目につきましては、新薬創出等加算の特例によって従前薬価と遜色ない数字になると、そういったような変化があるというものでございます。
また、影響額に関しましては、今回、大臣合意の中では、まだこれから引き続き予算編成の過程で調整するものでございますので、影響額をどのように示すかというものはですね、また今後、検討させていただければと考えております。以上でございます。
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