令和5年度薬価改定の骨子案は反対意見なく了承されましたが、支払側委員から「今回の中間年改定は素直に言って全体的に議論の進め方が拙速であると感じた」と不満の声が出ました。【新井裕充】
この日は薬価専門部会と総会が開かれました。昼過ぎに令和5年度予算編成の大臣折衝があり、大臣会見や記者ブリーフィングを終えた後、夕方17時からの開催となりました。
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1.薬価専門部会 17:00~17:16
2.総会 17:19~19:47
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先週金曜日に開かれた前回の薬価専門部会では、3大臣合意に基づく骨子の「記載案」を了承。そして今回、「骨子案」が出ました。
この日の大臣折衝で「薬剤費は▲3,100億円の削減」などの内容が正式決定しました。骨子案はこれらを盛り込んだ内容になっています。
質疑では、診療側・支払側が簡単にコメント。反対意見はなく、20分弱で閉会しました。骨子案はその後の総会でも了承されました。委員の発言はありませんでした。
今回の資料では、日経新聞が16日時点で真っ先に報じていた薬価改定による影響額「3,100億円」が記載されています。(なぜか日経の的中率は高い)
参考資料P5には影響額や対象品目数の内訳が出ています。
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薬価専門部会は短時間で閉会しましたが、その後の総会が大変でした。薬価改定で生み出した財源の一部を診療報酬に上乗せする内容に見えます。
中医協でまともに議論させず、大臣折衝事項に盛り込んで早期に決着を図る作戦でしょうか。
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12月16日の「3大臣合意 → 骨子記載案の提示」も乱暴だったように思います。今回の薬価専門部会で支払側の安藤伸樹委員(協会けんぽ)が次のように述べました。
「総論といたしまして、今回の中間年改定をめぐりましては、素直に言いまして、全体的に議論の進め方が拙速であるというふうに感じました。事務局としてどこに課題があったのか真摯に検証していただき、中医協を含めた政府における意思決定のプロセスであるとか、中医協の役割、意義について今一度整理し、それを明確化していただくようにお願いいたします。
その上で、令和6年度診療報酬改定、薬価改定においては今回の反省を踏まえ、医薬品業界の構造的課題等の根本的課題について丁寧な議論を積み重ねていけるよう、ご配慮をお願いいたします。
今回の骨子案についてでございますが、これまでの議論では、平均乖離率の0.625倍超を採用した場合の影響額は約4,900億円との試算が示されていたところ、今回の大臣合意では、削減効果は約3,100億円と5分の3ぐらいになっております。
不採算品等への対応の必要性は理解しておりますが、医療費の負担が国民に重くのしかかる中で、今回の救済措置については、あくまでも緊急的・特例的なものであるということを改めて強調させていただきたいと思います」
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