ある中央社会保険医療協議会の委員がこぼす。
「こちらで議論していた内容とは全然違う対応内容が突然、大臣合意の形で決まってしまう」。23年度の薬価・中間年改定もそうだった。【本根優】
前述の中医協委員は「医療課長は三大臣合意に伴って、変則的な中医協開催になったと説明したが、中医協が“追認機関”のようになっている。決まった内容について意見をどうぞと言われても、注文をつけるのが精いっぱい」と指摘する。
薬価の中間年改定をめぐっては、今回が3度目の大臣合意となる。
16年12月の「四大臣合意」に基づく薬価制度の抜本改革基本方針で、対象を「価格乖離の大きな品目」に限定した。
そして20年12月には三大臣合意事項である「毎年改定の実現」によって、21年度改定では、平均乖離率8.0%の0.625倍で線が引かれ、5.0%を超える品目が対象となった。その際、「新型コロナウイルス感染症特例」の一定幅0.8%が設けられ、削減幅が緩和された。
今回の23年度改定に関する三大臣合意では「0.625倍超」の基準が踏襲され、平均乖離率7.0%に対し、4.375%を超える品目が対象となった。安定供給確保の観点から、不採算品再算定の特例適用、イノベーション評価のための新薬創出・適応外薬解消等促進加算の特例適用も決まった。
通常の診療報酬改定が行われる年度であれば、年末に改定率が決まり、年始からはその確保財源に基づく配分の議論が行われるため、個別項目に関して中医協での意見が反映される余地は残る。
一方で、薬価・中間年改定に関しては、大臣合意でルールを含めて、事細かに対応内容が決まってしまうため、中医協は骨子案として出された内容を確認したり、質問したりする程度のことしかできない。
2年後の25年度中間年改定でも、大臣合意として「恣意的な内容」で決定が行われることだろう。
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