ワクチンの運び屋

日比谷_2020年9月8日

 自他ともに認める「令和の壊し屋」である河野太郎ワクチン担当相。国家プロジェクトの成否を握る立場となり、「令和の運び屋と言われるように頑張る」と表明した。【本根優】

 全国の各自治体で、新型コロナウイルスワクチン接種に向けた準備が行われるなか、注目されるようになったのが、「練馬区モデル」だ。これは、集団接種ではなく、診療所でのかかりつけ医による「個別接種」を中心に行う体制を指す。

 高齢者向けのインフルエンザワクチンと同じ要領で診療所に直接申し込みができ、混乱が少ないことや、車や電車・バスでの移動もなく、かかりつけ医が接種するため安心と、そのメリットをアピールしている。

 では、実際にワクチンを運ぶのは誰か? もちろん河野氏ではない。メーカーなどから委託を受けた業者だ。厚生労働省はワクチン流通を担う地域担当卸を選定。市町村ごとに医薬品卸売業者を1社ずつ選んだ。

 これでスムーズに行くかと言えば、そうではなく、問題が山積する。まず、ファイザーのワクチンに関しては、ファイザーが独自の流通網を築き、医薬品卸とは別の運送会社に託して配送する計画。しかし、自治体や医療機関からは、地域卸に末端の診療所まで配送するよう求める声が上がる。

 大分県や京都市なども練馬区モデルを採用することを表明。このように集団接種から個別接種に軸足が移れば、より一層きめ細かく配送する役割が発生する。医薬品卸業界は困惑しきりで、「何とかして」と厚労省に泣きついた。

 河野氏に期待される役割は、壊し屋でも運び屋でもなく、絡み合った糸の「解(ほど)き屋」なのかもしれない。

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