日本医師会長の座は、中川俊男氏から松本吉郎氏に移っているが、政治団体の「日本医師連盟」のほうは、中川氏がトップの委員長のままで参院選を終える。松本氏は今後、開かれる日医連執行委員会で委員長に就任する見通しだ。【本根優】
都道府県医師連盟に送付した、それぞれの「檄文」をみると、それぞれの課題認識、政治姿勢さらには人柄までもが滲み出る。
公示の6月22日、中川氏は檄文で、今回の参院選は「候補者個人の戦いではなく、医師会組織が試される戦い」などと記した。
さらに、24年度の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定までの参院選は「今回のみ」と指摘。日医連の組織内候補である自民党・自見英子氏を「圧倒的得票数で再度国政に送り出さなければなりません」とし、支援活動の徹底を強く求めた。
選挙の争点に関しては「財務省が主導する、かかりつけ医の制度化、診療報酬の包括化による社会保障費の抑制政策に対抗し、世界に冠たる国民皆保険を守り抜くための戦い」と称した。
一方、松本氏も日医会長に就任した6月25日、日医会長・自見英子後援会会長の立場で檄文を送っている。松本氏は自見氏が大変厳しい状況にあるとしたうえで「約2年半もの間、新型コロナウイルス感染症への対応で医療現場には大きな負担がかかり、自見先生の知名度及び国会活動における活躍などの浸透ができていない」とした。加えて「是が非でも自見先生を高位で国会に送り込む必要がある」と強調した。
中川氏が「最後の最後まで全身全霊で戦い抜きましょう」と鼓舞したのに対し、松本氏は「確実な票の積み増しには皆様の熱心な働き掛けが重要です。お力添えなくしては、勝利の栄冠はありません」とつづった。
最後まで中川氏はトップダウン型で発信しつづけ、一方の松本氏はボトムアップ型を志向し、「皆様」にお願いする姿勢を鮮明にしている。