石破茂首相は11月29日、衆院本会議で所信表明演説を行い、国民民主党が求める「年収103万円の壁」の見直しを明言した。また同党のもうひとつの看板政策である「ガソリン減税」についても「検討し、結論を得る」と述べた。同党が二大看板に次ぎ、社会保障の中で短期的に最重要視するのが、薬価の中間年改定の廃止だ。 【本根優】
石破首相は演説で、社会保障については「医療・年金、子育て・介護など、社会保障全般を見直す」考えを表明。その際「今の時代にあった社会保障へ転換し、多様な人生の在り方、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行う」とした。具体論には踏み込まず、抽象論に終始した。
一方で「103万円の壁」「ガソリン減税」などは、12月中の与党税制改正大綱とりまとめを目指し、両党の自民・公明それぞれの税制調査会で議論が進む見込み。その過程で、国民民主党が検討状況をチェックする展開が予想される。
このほか、国民民主党は薬価・中間年改定の「廃止」を政府に強く働きかけたい意向だ。財源確保のための薬価切り下げで、体力を失いつつある医薬品産業の窮状がありながら、なおも財務省が中間年改定の「着実な実施」を求めている点を強く疑問視している。
中間年改定の“上流”には16年12月の「薬価制度抜本改革に向けた基本方針」(四大臣合意)があることを踏まえ、財務相、厚生労働相、官房長官、経済財政担当相の四大臣に廃止要請を行う方針。石破首相への直談判も検討する。
また国民民主党は、中央社会保険医療協議会委員に「医薬品関連業種の代表者を加える」といった中医協改革の必要性も訴えている。
後発品企業不正に端を発し、医薬品の供給不安が長きに渡り継続していることや、創薬支援を推進し、医薬品を国の基幹産業をすることを考慮すれば、専門委員ではなく、正式な中医協委員のポストが「用意されるべき」との認識に立つ。
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