バイク便は「不可」

霞門_2020年10月25日

 新型コロナウイルスワクチンの争奪戦が世界レベルで激化する中、2月12日にファイザー製のワクチンを載せた最初の飛行機が、成田空港に到着した。ただ、実際に接種するまでの国内移送をめぐっては、混乱が続く。【本根優】

 厚生労働省は2月9日、ワクチンの接種に関する自治体向け手引きを改訂し、ファイザーのワクチンの冷蔵移送について「自転車やバイクの利用は避けること」と明示した。

 さらに「ワクチンの性質上、振動を避け安定した状態で運搬する必要がある」としつつ、「保冷バックを揺らさないよう慎重に取り扱うこと」と定めた。

 集団接種ではなく、診療所などでの、かかりつけ医による「個別接種」を主体とした「練馬区モデル」(東京都練馬区)では、小分けしたワクチンの移送にバイク便などを想定していたが、変更を迫られる格好だ。

 しかし、運輸業に関わる関係者は「大都市で渋滞を回避して速やかにワクチンを届けるのに、バイクの有用性は捨てがたい。急いでいるときに、車から降りて保冷バッグを抱えてダッシュするよりは、バイクのほうが“揺れない”可能性もある」と語る。

 一方で、自治体からワクチン移送で相談を受け、準備に取り掛かっていた都内のバイク便事業者は、動揺や落胆の色を見せない。むしろ「バイク移送は避けるようにという話なら、別の手段を提案することもできる」と自信をのぞかせる。

 安全性最優先という御旗のもとに、行政はとりわけ“責任回避”に走りやすい。ところが、民間はそれを工夫や知恵で乗り切る術を日ごろから身に着けていると言えるだろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 北桔橋門_2022年9月3日

    なお「政府頼み」の後発品業界

  2. 夜の厚労省_2022年8月29日

    流通・薬価検討会の「人選」

  3. 築地大橋前_2022年9月30日

    発展的改組!?

  4. 表参道シャネル付近(フリー写真)

    日看協が下した玉虫色の五輪協力

  5. 人事院前_2021年8月6日

    経済課長のお仕事

  6. 雪道でトラブル

    地域包括ケア病棟評価をめぐる議論の軍配は?

  7. 勝関橋_2022年3月14日

    福島県沖地震の影響

  8. 霞が関ビル_20200207(答申日)

    幻となった「ブー次官」

議事録のページ総合
総会議事録のページ
材料専門部会議事録のページ
■ 議事録のページ【小委・分科会】

第587回中医協総会(2024年4月10日)【速記録】

第587回中医協総会(2024年4月10日)【速記録】

第586回中医協総会(2024年3月22日)【速記録】

第586回中医協総会(2024年3月22日)【速記録】

第224回中医協・薬価専門部会(2024年3月22日)【速記録】

第224回中医協・薬価専門部会(2024年3月22日)【速記録】
PAGE TOP