臨床検査に用いる体外診断薬の製造などに関わる業界団体は8月7日の中医協・保険医療材料専門部会で、「在宅POCT実施加算」の新設を提案したほか、「感染防止対策加算1」の新設要件として「微生物検査の施設内実施」などを求めたが、診療側の委員が反対した。【新井裕充】
要望したのは、臨薬協(日本臨床検査薬協会)、AMDD(米国医療機器・IVD工業会)、EBC(欧州ビジネス協会)の3団体。次期材料制度改革に向けて開かれたヒアリングで、EBC医療機器・IVD委員会の診療報酬部会・担当副委員長の江田信一氏が3団体を代表して意見を述べた。
江田氏は、「地域包括ケアシステム構築において重要な在宅医療の充実に向け、在宅と病院医療のシームレスな連携が必要」とした上で、医療機関などの検査室以外の現場で実施できるポイント・オブ・ケア・テスティング(POCT)を用いることにより、質の高い在宅医療を確保する必要があると主張。医療機関での検査とは異なる仕組みとして、「在宅POCT実施加算」の新設を提案した。
また、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの実現に向け、「微生物検査の施設内実施および土日・祝祭日の実施は、迅速で適切な診療および感染対策を行う上で必須であり、このような迅速な微生物検査の実施体制を整えることは薬剤耐性AMR対策の推進にもつながる」と主張。迅速な微生物検査の実施体制の強化につなげるため、微生物検査の施設内実施などを「感染防止対策加算1」の新たな要件に追加するよう求めた。
POCTについて日本医師会の委員は「基本的に企業の努力のお話で、診療報酬で評価する話ではない。こういう考え方で導入すると、無駄な検査が増える可能性がある」と反対した。
微生物検査の施設内実施については、「活用されていない迅速キットを使えという話であろうと思うが、現在の実施体制での有意差がどれくらいあるのかをアカデミアがしっかり検証し、アカデミアから提案すべきだ」と反対した。日本病院会の島弘志副会長も「一律に院内でやれなければ評価せんという話はちょっと乱暴すぎる」と述べた。
詳しくは、下記のPDFを参照。
【8月7日号】2020年度診療報酬改定レポート(P30~37)
※ 同部会での発言全文(議事録)は、診療報酬改定レポート8月7日号をご覧ください。
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