日本医療機器産業連合会(医機連)や欧州ビジネス協会(EBC)ら業界団体は8月7日の中医協・保険医療材料専門部会で、オンライン診療を安全に普及させるため「制度上の後押しもご検討いただけないか」と要望した。また、医療画像情報のクラウド化を進めるため「クラウド画像安全管理加算」の創設を提案したが、支払側と診療側から反対意見が相次いだ。【新井裕充】
訂正前の原稿では、提案者のお名前を「日本医療機器産業連合会(医機連)機器保険委員会副委員長の須賀秀徳氏」としておりましたが、提案のうちクラウド画像安全管理加算については「欧州ビジネス協会(EBC)・医療機器委員会・診療報酬部会長の田中良一氏」の陳述でした。お詫びして訂正いたします。PDFも一部訂正いたしました。このたびは大変申し訳ございませんでした。関係者の方々に深くお詫び申し上げます。(訂正日=8月30日)
.
厚労省は同日、次期材料制度改革に向けて医療機器業界からのヒアリングを実施し、医療機器の製造や販売などに関わる7団体の代表者らが意見を述べた。
その中で、オンライン診療については医機連・機器保険委員会の須賀秀徳副委員長が「患者の要配慮個人情報や安定的な医療提供機能の維持など、医療安全へのリスクが一層増してきている」と指摘し、「制度上の後押しもご検討いただけないか」と求めた。
また、EBC医療機器委員会の田中良一部会長は「クラウド化が諸外国と比して非常に遅れている」とし、「継続的にクラウドサーバーの維持管理を行うために新たな評価が必要ではないか」と提案した。
これに対し、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は「クラウド化の前に医療分野専用ネットワークを整備をすることが先決」とし、「明確な制度設計がないうちに評価をそれに付けるのはいかがなものか」と提案を疑問視した。オンライン診療については、「どちらかといえばICTに関しての医療機関全体のセキュリティの問題ではないか」との認識を示した上で、「ICTに関して診療報酬を財源とすることは不適切ではないか」と反対した。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も反対した。クラウド化、オンライン診療いずれも「ちょっと違うかなというのが結論」とし、「オンライン診療云々というよりも企業としてのセキュリティ対策。診療報酬に転嫁するのは筋違い。これは論外な話」と一蹴した。
※ 同部会での発言全文(議事録)は、診療報酬改定レポート8月7日号をご覧ください。
PDFファイルのダウンロードはこちら