ゾンビのような改革案

不忍池_2021年6月29日

 「果たして選定療養に馴染むのか。大いに疑問だ」
 そう語るのは、医療保険などを専門とし、厚生労働省の審議会などで委員経験を持つ有識者だ。【本根優】

 厚労省の「医薬品の迅速・安定供給の実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」報告書(6月9日公表)には、長期収載品の「患者負担の見直し」に関する文言が盛り込まれた。次のような記載になる。

 「長期収載品の様々な使用実態に応じた評価を行う観点から、選定療養の活用や現行の後発品への置換え率に応じた薬価上の措置の見直しを含め、適切な対応について、検討すべき」

 選定療養は、保険外併用療養費制度の類型の1つ。いわゆる「差額ベッド」や、歯科の金合金、大病院の初・再診など患者の選択によるものを保険と併用できる例外的な仕組みだ。

 この仕組みを長期収載品に使うとすると、考えられるのは、患者が後発品ではなく、長期収載品を選んだ場合に、その差額分を患者が負担するという手法だ。

 差額を患者が負担する仕組みは“参照価格”と呼ばれ、過去に何度も浮上したものの、そのたびに医療界などの強い反発に遭い、立ち消えになった経緯がある。

 6年前の17年にも「骨太の方針」をめぐる検討の俎上に載せられ、中央社会保険医療協議会、社会保障審議会医療保険部会などを舞台に議論が行われた。

 ところが、診療側・支払側双方から「患者負担の引き上げは論外」といった意見が相次ぎ、結果的に、厚労省は、後発品への置換え率に応じて長期収載品の薬価を段階的に引き下げるルールの創設に舵を切った。

 前述の有識者が今後の展開をこう見通す。
 「厚労省は、選定療養の活用は難しいとわかって提案している節がある。実際に行われるのは、その後に書いてある別の選択肢ではないか」

 有識者検討会報告書の選定療養の後に書かれた改革案は「現行の後発品への置換え率に応じた薬価上の措置の見直し」だ。

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