野党第一党の立憲民主党の枝野幸男代表が辞任を表明したことからもわかるように、今回の衆院選は、自民党の勝利に終わった。議席は減らしたものの自民党単独で261議席を獲得し、国会を安定的に運営できる「絶対安定多数」を維持した。そんな中でも落選の憂き目に遭った厚生労働関係議員がいる。【本根優】
代表格は、当選16回を重ね、在職期間48年を超えた党最古参の野田毅氏(80=熊本2区)。保守分裂の影響などを受け、元財務官僚の無所属新人に敗れた。野田氏は党税調最高顧問を務めるだけでなく、社会保障分野でも強い影響力を発揮してきた。党の内規にある比例区「73歳定年制」により比例復活はなく、国会を去ることとなった。
医系では、全日本病院協会副会長で、比例区から小選挙区に移り、2回目の当選を目指した安藤高夫氏(62=東京9区)が落選した。菅原一秀元経済産業相の地盤を9月に引き継いだが、浸透しきれなかった。
安藤氏は自身のブログで「ぜひ捲土重来、頑張って参ります」と表明しており、再出発を図る意向だ。
大阪では「維新旋風」を受け、医系で厚労政務官の大隈和英氏(52=大阪10区)が沈んだ。さらに、薬系の厚労族中堅、渡嘉敷奈緒美氏(59=大阪7区)が落選した。
薬系には、緊急事態宣言下の「銀座クラブはしご問題」で党を離党した松本純氏(71=神奈川1区)もいる。松本氏の応援には麻生太郎氏、安倍晋三氏らが駆け付けたものの、当選圏には程遠かった。
また元衆院議員で医系の清水鴻一郎氏(75=京都6区)は、立憲の厚労系のベテラン・山井和則氏(59)に挑んだが、届かなかった。
医系でボス格だった鴨下一郎氏(72)が政界引退したことで、今後存在感を発揮しそうなのが、今枝宗一郎氏(37=愛知14区)になる。「37歳の若さで4回目の当選。回を重ねるごとに選挙に強くなり、今回も得票率は厚労相の後藤(茂之)さんより上」(愛知県医師会関係者)と、抜群の安定感を示している。