軽い病気の治療費や薬剤費をどんどん保険から外して自己負担にすべきという議論が進んでいる。「小さなリスクには自助で対応する」という考え方に対し、「軽微かどうかは結果論で、何が軽微か患者は分からない」という反対意見もある。(新井裕充)
厚生労働省は3月12日、社会保障審議会(社保審)の医療保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)を開き、「薬剤自己負担の引上げについて」と題する資料を示した。
厚労省はその資料の中で、財務相の諮問機関である財政制度等審議会で示された考え方を提示。「OTC化された医薬品について全額自己負担にするという案が提案されている」と紹介し、委員の意見を求めた。
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質疑で、事業主らを代表する立場の委員は「小さなリスクには自助で対応するという考え方の下、薬剤の保険給付の範囲の見直しをさらに進めていくべきだ」と主張。保険者を代表する委員も「国民皆保険制度を維持するため、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助という方向に進まざるを得ない」と述べた。
これに対し、患者を代表する立場の委員から「軽微かどうかは結果論。何が軽微か患者は分からない」との意見や、医療者から「全部、国民に丸投げして自己責任というのは非常に乱暴な議論」などの反対意見があった。
議論の模様は、以下のとおり。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
(前略) それでは、次の議題に移りたいと思います。次は、「薬剤自己負担の引上げ」でございます。
事務局、関連の資料の説明をお願いいたします。
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〇厚労省保険局保険課・姫野泰啓課長
はい、ありがとうございます。資料の2(薬剤自己負担の引上げ)につきまして、ご説明をさせていただきます。
まず、1ページ目につきましては、改革工程表での課題設定を挙げてございます。
「取組事項」にありますように、「薬剤自己負担の引上げについて、市販品と医療用医薬品との間の価格のバランス、医薬品の適正使用の促進等の観点」から、関係審議会において検討するということにされてございます。
また右側に、より詳細にございますけれども、諸外国の薬剤自己負担の仕組みなども参考にしつつ検討するということでございます。
少し、ページ飛びますけれども、11ページめくっていただきまして、少し、具体的な検討のイメージがわかりにくいかと思いまして、これ、財政制度(等)審議会で出されている資料でございますけれども、例えば、こんな検討の方向性というものが1つあるということで、付けてございます。
例えば、11ページの右側にございますけれども、海外の事例ということで見ますと、フランスやスウェーデンの事例ということで、薬剤の内容に応じた償還率を設定しているフランスですとか、薬剤費の額に応じた自己負担を設定しているスウェーデン、そういったものも参考になるんではないかという資料でございます。
また、この左側に①ということでございますが、この「保険外併用療養費制度の活用」ということで、例えば、OTC化された医薬品につきましては、初診料や検査料については保険給付としつつ、薬剤費については保険外併用療養費ということで全額自己負担にすると、そんな案がこういったとこで提案されていると。
こういったものも踏まえながら検討していくということが本件の課題であるというふうに認識してございます。
(中略)
▼ 姫野課長の説明は、http://chuikyo.news/20200312-yakuzaiage/を参照。
現状、セルフメディケーション税制ということで、平成29年1月から令和3年12月末までの間ということでございますけれども、
スイッチOTCの購入金額につきまして、1万2千円を超える金額部分をですね、所得から控除するという税制優遇が導入されているご紹介でございます。
簡単でございますが、説明は以上でございます。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございます。この薬剤費の自己負担の問題、ずっとこれまでも当部会では議論をしてまいりました。
また改めて、ご意見を承ればと思いますが、いかがでございましょう。
はい、藤井委員、どうぞ。それから、その次に井上参考人、お願いいたします。
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〇藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)
ありがとうございます。既に、ご意見として、意見として書いていただいてますけども、改めて申し上げますと、
商工会議所としましては、「小さなリスクには自助で対応する」という考え方の下ですね、
薬剤の保険給付の範囲の見直しをさらに進めていくべきだというように考えております。
加えまして、先ほどご説明いただいたとおり、セルフメディケーション税制につきましてはですね、対象薬剤をスイッチOTC薬以外にもぜひ拡大するということが重要だと。
あるいは、OTC類似薬効群についてですね、これ、スイッチOTCだけじゃなくて、そういうOTC類似薬効群については、そのまま、対象薬剤のまま投与を控えるということを、啓発をぜひお願いしたいと思います。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
はい、ありがとうございました。では井上参考人、お願いいたします。
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〇井上隆参考人(日本経済団体連合会常務理事)
はい、ありがとうございます。
近年、高額な医薬品の保険収載が相次いでおりまして、恐らく今後もその傾向が続くんだと思います。
こうした高額な医薬品は、最新の医薬品でございますけれども、そのアクセスをやはり確保するということも重要でございまして、
これはやはり十分な効果検証の下で、高額であっても公的保険で給付をするというのが基本にしていくことだと思います。
一方で、やはりそのリソースには限りがございますので、現行の市販品の類似の医薬品の保険給付の在り方につきましては重点化を図っていくということが重要になってくるんだろうというふうに思います。
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そこで改革工程表で示されてありますとおり、資料の11ページ、12ページにあるような諸外国の事例も参考いたしまして、
これに加えて医薬品の保険給付に際して、通常の自己負担に加えてですね、一定の追加的な負担を求めるというようなことも含めて、さまざまな角度から検討するということが重要だと思います。
その際、医薬品のスイッチOTC化を、そのものをですね、阻害しないような配慮というのも重要だと思います。
また、適正化に向けまして、その自己負担の見直しのみならずですね、やはり他の方策も重要だと思います。
例えば、後発医薬品の利用促進でありますとか、セルフメディケーション税制の拡充、あるいは生活習慣病の薬剤の在り方等につきましても、
改めて検証とですね、検討を進めるべきだというふうに思います。
事務局におかれましては、このような検討に資するようなですね、例えばセルフメディケーション税制がどのように活用されてるかとかですね、
あるいは生活習慣病の治療薬の後発医薬品も含めた使用状況でありますとか、そのあたりの資料につきましても、今後提示をして検討をしていただきたいというふうに思います。以上でございます。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。
はい、前葉委員、どうぞ。
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〇前葉泰幸委員(全国市長会相談役・社会文教委員、津市長)
はい、ありがとうございます。
これは国保の保険者の立場で発言しますが、保険の出番がどこなのかということであります。
政策が総合的なミックスされて効果が出てくる、そういう分野であろうというふうに理解をしてまして、
例えば、医政ということで言えば、例えば、私どもの、地域包括ケアを進めるために、顔の見える関係っていうのを、多職種連携っていうのをやっておりますが、
よく聞く話で、薬剤師の皆さんが医師に対して言いにくいんだけども、処方箋の出し方で、こういうふうにしてほしいんだけどなーなんていう意見が出てくることがございます。
その中で、やっぱりこのOTCでいける部分がやはり処方箋に入ってくるのではないかという場面もないわけではないと、こういう報告を受けたりします。
じゃあ、返す刀で薬務政策はどうかと言うとですね、そうであれば、薬務のほうでOTCをどう普及していくのか、論理をですね、もう少し立てていただいて、そこをさらに進めていくような、そういう推進力を高めていただくということも1つ必要なんではないかなあというふうに思います。
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で、その税制なんですが、今の18ページ、最後のページにあるこのOTCの医療費控除の特例がどう機能しているのか、どんな成果が出てるのかっていうのがですね、もう少し分かるといいなあというふうに思っております。
ご案内のとおり、現行の医療費控除との選択になってますので、ここは税制の中の仕組みとしてどうかという議論がある中で、
じゃあ、この制度がこの1万2千円、2万円の制度ができた時に、
できて、実際にうまくこう、OTCの推進に、セルフメディケーションの推進に役立っている度合いはどうなのかと。
もし、そこの度合いが少なければ、この税制のほうでですね、より充実をさせるべきという議論もあるかというふうに思います。
そう、申し上げた上で、この保険としてどうするかということであればですね、
それは1つの考え方として、諸外国の例に示されたようなやり方もですね、十分検討しうるんじゃないかというふうに思ってます。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございます。では、お待たせしいました。佐野委員、どうぞ。
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〇佐野雅宏委員(健康保険組合連合会副会長)
ありがとうございます。ほかの委員の方のコメントともかぶりますけれども、コメントさせていただきます。
やはり全体的にはですね、やっぱり皆保険制度を維持するということを考えた場合ですね、「大きなリスクは共助」と。「小さなリスクは自助」という方向に進まざるを得ないんではないかと思っております。
そういう点を踏まえればですね、やはり市販品類似薬についてはですね、保険給付範囲からの除外ですとか、償還率変更ということもですね、考えてもいいと思ってます。
また、相当、後発品がですね、普及してきている中で言いますと、
例えば、後発品のある薬の先発薬についてですね、これをどう扱うのかというようなこともですね、含めて幅広く検討していくべきではないかと思っております。
それと、もう1点。これまでも言ってますけども、やはり生活習慣病治療薬のですね、適正な処方を推進するためにはですね、
診療報酬制度の中で生活習慣病の治療薬のフォーミュラリー、これを導入すべきだというふうに考えております。以上でございます。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございました。はい、石上委員、安藤委員の順番でお願いします。
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〇石上千博委員(日本労働組合総連合会副事務局長)
はい、ありがとうございます。
OTC類似薬の関係ですが、やはり医療上の必要性による適切な医薬品の選択の担保という意味では、
やはりこれは財政問題だけで見直すってことは適当ではないんじゃないかなあというふうに思っております。
やはり、この医薬品を必要とする患者の家計の実質的な負担が増えて所得格差の影響を受ける、医療アクセスにおける所得格差問題っていうのにつながるのではないかというふうに思っております。
スイッチOTCの問題もですね、セルフケアの、国民意識啓発の観点から、財政的な観点とは全く違う論点でやっぱり議論すべきじゃないかなあというふうに思います。
一方で、残薬問題ですとかポリファーマシーの問題、患者のモラル対策っていうのは必要だというふうに思います。
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少し例が示されてますが、リスクの大小に応じて給付率を変えるっていう考え方もですね、
このリスクを評価する明確な基準をつくるのは非常に難しいんじゃないかというふうに思っておりまして、
こういった制度の導入は困難じゃないかなというふうに思います。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございました。では安藤委員、どうぞ。
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〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
はい、ありがとうございます。
薬剤自己負担費引上げにつきましては、諸外国の例や財政制度等審議会の検討状況を共有いただきましてありがとうございます。
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「資料2」の11ページにもありますように、見直しの方法につきましては、本当に、さまざま、たくさんあるというふうに考えられます。
国民皆保険制度を将来にわたって持続可能なものというふうにするためには、
後期高齢者の窓口2割負担の改革だけでは、とても実現できないと思っておりますので、
この、薬剤の自己負担の引上げについても重要な取組の1つであると思いますので、
今回、お示しされた諸外国の例も参考にしつつ、十分な財政効果が得られるような見直しを図っていただきたいというふうに思っております。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。はい、それでは森委員、それから松原委員の順番でお願いいたします。
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〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
はい、ありがとうございます。
ちょっと、今まで発言したこと、一部繰り返しになる部分もありますけど、
あと、今日の資料の中で出てたことで意見を述べさせていただきたいと思います。
薬剤師としてですね、市販品という「モノ」として、それから医薬品の「成分」として判断するというのはなかなかこう、ちょっと理解が難しいところがあってですね。
同一の、仮に成分であってもですね、期待する効能・効果や使用目的、それから患者の重篤性が異なる場合があります。
よく知られている医薬品でアスピリンなんですけど、解熱・鎮痛でも使いますし、ある意味では川崎病の患者さんにも使いますし、心筋梗塞でも使うということでですね、
なかなかその、「モノ」として判断っていうのはどうなのかなっていうのが1つ、思ってるところになります。
それから、今日の11ページをご覧いただければと思いますけども、
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11ページの資料の下のほうの①の「保険外併用療養費制度の活用」ということで、「OTC化済の医薬品」をですね、給付から外すということなんですけども、
スイッチOTCとしてよく知られている医薬品で、ガスターというものがよくありますけども、
例えば、こういうものが保険から外れるっていうことになると、やっぱり患者さんとすると、保険でなんとか使ってほしいと。
そうなると、ガスター以外のH2ブロッカーを使うとか、
PPIを、患者さんがいけるかどうか分かんないですけど、使うとかですね、
結局、そういうことに行って、結果として高い薬剤へシフトしてしまうのかなというふうに思います。
長期収載品、薬剤師とすると長い年月、使ってきました。
医薬品はもともとリスクがあって、未知のリスクがある。
長く使う薬を育てることによって、そういう未知のリスクが既知のリスクになる。
既知のリスクは最小化をしていって、安全なものです、安くて安全な薬がですね、使えないっていうのは薬剤師として非常に寂しい思いがしているところであります。
もう一方、OTC薬があるからということで、その給付率が変わるということを考えると、ちょっと今まであまり視点として出てこなかったですけど、
製薬企業にとっての不公平な仕組みにもなってしまうんじゃないかということを懸念をしております。
一方、疾病に治療が必要と判断して処方された医薬品は保険適用すべきだというふうに思います。
一方、やっぱり国民自ら、自分の健康の維持・増進、それからセルフケアへの取組っていうのは重要で、そのことはどんどん進めていくべきで、
薬剤師も積極的にそれに取り組んでいきたいというふうに思ってます。
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今日の、もう1つ、11ページの、フランスの例が1つ出てたと思うんですけども、11ページを見ていただければと思うんですけども、
確か、フランスではここにありますように、医療上の有用性と対象疾患の重篤性、確かその2つに基づいて判断をしているというふうに聞いています。
先ほど、石上委員のほうから、これ、非常にこれ、大変じゃないかというお話がありましたけども、
仮に、日本で導入しようとした場合ですね、今、約2万品目近くあるんでしょうか、そういう医薬品の評価を全て見直して分類して、
さらに何かあればメンテナンスをしていくっていうことを考えるとですね、
かなり実行可能性は低いんではないかというふうに思います。
また、先ほど平成9年に薬剤一部負担金が導入された時って話がありましたけど、
あの時、薬局でも患者さんへの説明って、非常に苦労をしました。
そういう制度が導入された時、また分類が変わった時ですね、全て理解をして患者さんに説明しなければならないっていうのはですね、
薬局にとっても非常に負担が大きいですし、国民にとっても非常にこれ、分かりにくいんじゃないかというふうに思います。
そのへんのこともあって、薬剤自己負担について、極めて慎重に議論していく必要があるんではないかというふうに思います。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございました。では松原委員、お待たせしました。
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〇松原謙二委員(日本医師会副会長)
ありがとうございます。
このように薬剤の自己負担について検討することは大事なことだとは思うのですが、
しかし、国民皆保険制度を、国民皆保険を実行する時に現物給付、つまり必要なものは医療として給付するという約束の下に国民の皆さんに全員にその保険を入っていただくということで始まった制度だと私どもは理解しています。
その中で、医師として、この薬が必要だと判断したときに、「いや、これはスイッチOTCだから使えません」って話になるのは大変患者さんに説明しにくいと思います。
先ほど例が出ました。アスピリンなどでも心筋梗塞の予防に使ってるのに、「いや、風邪にも使えるから、これはスイッチOTCで、じゃあ、別の所でもらってください」っていう話にはまずなり得ないと思います。
そういったもの、また、今、スイッチにするかどうするかって議論は、長く使っていて歴史があって副作用が分かってて、しかも金額が安いものが普通に今はコンビニでも売っているわけです。
ただ、少し危険があって変化があった時には対応していただきたいときには薬剤師さんの話のもとに使っていただくと。
そうでないものは医薬品として、いろんな未知のことがございますので、これを保険適用しながら医療機関で処方箋を書く、あるいは医療機関から出すという極めて明瞭な仕組みなんですが、
ただ、今日出していただいてるところには、非常に患者さんに分かりにくくなってしまうばっかりではないかと。
そういった全体のことを考えると、今日のお話の、どれも、やはり簡単には賛同できない。十分に議論していただかなければならない。
簡単に言いますと、反対なもののほうが……、いや、ほとんど反対であります。
申し訳ありませんが、私たちも財政はよく理解していますけれども、患者さんの立場に立って1回考えてください。
それと、軽い病気は保険じゃない、じゃあ、今、流行ってるコロナは、症状が皆さんなくて、だけど結局人にうつしてしまって、その人が重篤になると。
そういうような疾患もありますから、簡単にその病気の状態と金額だけで考えるべきではないと私は思いますので、
そこのところは十分にご理解賜りたいと思います。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
はい、ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。はい、池端委員、どうぞ。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
はい、ありがとうございます。池端です。
まず、この医薬品の問題は、確かにこの医療費の中で大きなウエイトを占める問題ですから、非常に大事な問題だと思いますし、こういう議論も必要だと思います。
中では、やっぱり後発品を使用していくこと、あとポリファーマシーを是正する、これは非常に重要なことで、より進めていかなきゃいけないことだと思います。
ただ一方で、その、今……。
かと言って、じゃあ、スイッチOTCを保険外にするとか、セルフメディケーションをどんどん進めていくかっていう議論、
その中で私、今、今日、どなたも話されてなかったんですけども、
しかも、それを、「諸外国に見習って」という意見がありますけども、日本は諸外国に見習われるような、今、状況ではありません。
これだけの超高齢社会。日本が唯一、世界一の高齢社会で、今、大きな薬剤を消費してるのが高齢者です。
その高齢者、80、90の高齢者が本当にセルフメディケーションできると思ってらっしゃるでしょうか。
少なくとも私は一医科として非常にそのへんを危惧します。
もちろん、ある程度、青年の方々、働き盛りの方々をしっかり自分のお薬をチェックして、自分で体をチェックして、ある程度、セルフメディケーションの方向に行くべきだと思いますけども、
一方で高齢者の方々、何も知らずに飲んで、逆に何も知らずにやめていることがいまだに多くあります。
それを是正するのが保健指導であったり、かかりつけの先生だと思いますんで。
そこが、しかもそのスイッチOTCに関しては、私の目から見ると非常に玉石混淆と言うか、
ほとんど外してもいいかもしれないものから、「これは困るよね、どう考えても困るよね」というのも、今、バイアスピリン等々の、アスピリン製剤もありましたけれども、
いろんな1つの製剤でいくつかの薬効を示して、これとこれがぶつかると副作用を示すもの、いくらでもあります。
こういうことをセルフメディケーションとして、全部、国民に丸投げして自己責任というのは非常に乱暴な議論だと思いますんで、
そのへんはもう少し丁寧に、しかも高齢者に向けて丁寧に分かりやすい議論をしながらやっていかないと、かえって保険財政を圧迫する。
かえって病状を悪化して、重篤になってから医療機関にかかってしまったってことがありうるんですね。
例えばロキソプロフェンとか、今言ったガスター10とか、そういうものでも突然やめたら、かえって潰瘍が悪化したりすることも非常によく見られている。
実際、私も何度も経験しています。
で、患者さんはおっしゃらないですね。「いや、実は薬局で、薬だから安全だと思って」って、決して薬局のスイッチOTCは安全な薬ばかりではないんです。
この辺を少し丁寧にやっていただきたい。
例えば、アレルギーのお薬、花粉症のお薬もスイッチOTC、あります。
でもあれを飲んで、ふらついて転倒して骨折する人もいくらでもいるんですね。
その辺は、やっぱり、その辺は、あるからこそ、かかりつけとか、薬剤師の指導のもとにっていうことが乗っかってるからスイッチOTCになってるんで、
それがなんか、OTCと同じような、どんどんどんどん流れていくことが非常に私は大反対をしたいと思います。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございました。ほかにいかがでしょう。では兼子委員、どうぞ。
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〇兼子久委員(全国老人クラブ連合会理事)
薬のこと、薬って言うか、病気のこともそうなんですけども、よく、その、「軽微なもの」っていうことで言われますけれども、
それはまあ結果論であってですね、私たちの立場で言うと、例えば風邪のような場合、医療機関にかかるのに、例えば時間が遅くて常備薬として前の日飲んだと。それで治まる場合も確かにあります。
しかし、治まらない場合は、私は「こういう薬を飲んで」ということでクリニックに行くようにしてますけれども、
そういう意味でですね、その素人、
患者の立場で言うと、何が軽微で何があるのかっていうのは本当に分からないと言うか、
たまたまそれを使って、合うということで、確信を持ってこう、対応できないことですので。
今、前のお二人からお話が出てましたけれども、私もまあ、同じ立場で考えたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございます。ほかに、よろしゅうございますか。はい、森委員、どうぞ。
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〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
すみません、1点、発言を。
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15ページをご覧いただければと思います。
「医療機関における減薬等の評価」「薬局における減薬等の評価」の所で、
先ほど、医師に薬剤師、なかなか言いにくいんじゃないかというお話がありましたけど、
分業がまだまだ進まない、なかなかこれは先生方も、何て言うか、コミュニケーションを取ったこともなかったし、確かにそういう時代、あったんですけども、
今、ここにありますように、薬剤師が医師に、実は減薬の提案を、「こんな薬をいろいろ飲んでるんだけど、先生どうですか?」っていうことも評価をされるような時代になってきました。
先ほど、OTC、高齢者の方、困ってるということですけども、
薬局ではですね、OTCも常備薬も含めて管理をして、かつ、例えば、お薬手帳にですね、OTCの場合は名前から何が中に入っているか分からないので、なるべくうちでも成分を書いてあげるようにはしています。
そんなことを、手帳にですね、このOTCはどういう成分が入ってるんだと。お医者さんも成分を見れば分かりますけども、OTCの名前だけ見ると同じような名前で違うものもありますので、
そんなこともありますので、ぜひ適正使用をするためには、やっぱりかかりつけの薬剤師をしっかり持っていただいて、
そして医師とこう、連携をしながら適正に薬を使うことによっての医療費の削減、それからある意味では重複投与であったり、ポリファーマシーを抑えていくと。
そういう意味では、患者さんの、いわゆる受診行動もしっかりと変えていってですね、取り組んでいかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。堀委員、どうぞ。
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〇堀真奈美委員(東海大健康学部長)
必要にして、本当に適切な医療を国民皆保険の中で提供するって非常に重要なことですし、
恐らく、ここにいる皆さん、どなたも反対しないことだと思います。
でも一方で、新しい技術であるとか、あるいは非常に甚大な、
甚大っていう言葉はちょっと悪いですね、インパクト、保険財政にインパクトのある薬剤費があるというのも事実ですし、
やっぱりそこのバランスを考えていく必要があると思いますので、
そういう意味では、今回の薬剤の自己負担の引上げっていう、ここに挙げられた資料だけではないかと思うんですが、
本当に保険給付の範囲の在り方そのものを考える機会、
すぐにできるとは思っておりません。でも、最初からこう、議論の対象外にしてしまって、今いる患者が困っている、今いる誰かが困っている、確かにそうなんですけど、
本当に国民皆保険の中で、適切で安心な医療を実現するためには、
やはり、リスクの大小だけではないかもしれないですけど、何かしらの優先順位、哲学に基づく優先順位を設定する必要があるんではないかっていうふうに思います。コメントです。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
ありがとうございました。ほかにございますか。藤井委員、どうぞ。
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〇藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)
先ほどちょっとご意見が出たものですから、関連して申し上げますとですね、
セルフメディケーションというのは、別に勝手にやっていいってことじゃないと思うんですよね。
やはり、ちゃんと専門家の薬剤師さん、お医者さんのご意見を聴いてですね、
最終的には自分で判断するかもしれませんが、勝手になんでもやって、すぐに薬を自分で飲んでいいってことでは全くないというふうに考えてますので、
ぜひ、それはもう、先生方にですね、しっかりご指導をいただきたいと思いますし。
それとやはり、データベースですね。お薬手帳はもちろん大事なんですが、今後はやはり、もうちょっと電子化してですね、投薬の履歴の管理、そのときにはぜひOTCもですね、OTCの医薬品っていうのはちゃんとデータベースがございますから、
どういうブランドだと、どの製品であっても、どの成分がちゃんと入ってると、ちゃんとデータベースに載ってますので、
それ、ちゃんとトータルで管理することによってですね、ご懸念の、いろいろな問題というのはですね、かなり防げんじゃないかなというふうに考えてますんで、ぜひご指導いただきたいと思ってます。以上です。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
はいありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。だいたい、よろしゅうございますか。
はい、ありがとうございます。では、この議論につきましては、これぐらいにさせていただきたいと思います。以上、用意した2つのアジェンダは終了いたしました。
どちらも大変いろいろとご意見、頂きましたので、今後、それらのご意見を踏まえて議論を深めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次回の開催日につきましては、追って事務局から知らせていただきたいと思います。
それでは、特段何もなければ、これにて終了したいと思います。よろしゅうございますか。
はい、それでは、どうも長時間ありがとうございました。
(散会)