診療報酬本体「0.88%増」

2023年8月24日

 24年度診療報酬改定の改定率が決まった。12月15日、鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が首相官邸に出向き、岸田文雄首相が最終判断した格好だ。診療報酬本体(技術料)は0.88%増。ただし、内訳の大半で、その使い道を限定した。【本根優】

 改定率決定に向けては、財務省、厚労省の事務方レベルでの折衝が続いていた。また、双方が政府・与党の幹部にそれぞれの主張を念入りに説明し、理解を求める水面下での応酬が繰り広げられた。

 14日に自民党本部で行われた厚生労働関係幹部議員の幹部会では、厚労省が現況を説明。出席した関係者によると「賃上げ対応が必要ということでは、厚労省も財務省も同じだが、財源規模や捻出手段で大きく食い違っていた」という。

 14日夜までの調整の結果、財務省が主張する最大でも0.2%増程度から、厚労省が「現実的な数字として」求める1%増程度の範囲まで縮まったが、それでも膠着状態から抜け出せていなかった。厚労関係幹部議員からは「絶対に折れるな」と厚労省幹部に檄が飛んでいた。

 対する財務省は、22日に閣議決定する必要がある、24年度予算編成全体の問題から、目玉である診療報酬の決着は「15日でないと厳しい」との声が出ていた。その結果、やや両省の主張に開きがある段階であっても、首相裁定に持ち込まれた。

 0.88%増の内訳は、コメディカル等の賃上げの促進で0.61%増、入院時の食費の見直しで0.06%増。それらを除くと0.21%増という本体改定財源が残る計算になるものの、一方では効率化・適正化で▲0.25%という枠が加わっている。薬価は▲0.96%となる見込み。

 枠組みの詳細などについては、来週改めて行う鈴木・武見両氏の厚労予算全体の大臣折衝で正式決定となる見通しだ。

 日本医師会は15日の改定率決定を受けてコメントを発表。「医療・介護分野の賃金上昇は他産業に大きく遅れをとってきたが、賃上げ・物価高騰への対応の財源を一定程度確保いただいた」と歓迎。政府・与党などに対し「実態をご理解いただけたものと実感しており、必ずしも満足するものではないが、率直に評価したい」と表明した。

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