5月18日の中央社会保険医療協議会総会では、新薬14成分18品目の薬価収載が了承された。その審議の中で、松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、このうち3成分が薬事承認後「原則60日以内、遅くとも90日以内」というルールから外れていると指摘した。【本根優】
松本委員は次のように発言した。
「上市準備などさまざまな事情があるのはわかるが、患者の期待もある。いずれも補正加算が付いた品目だ。ルールが守られるよう企業側も努力をしてほしい」
松本委員が「企業側も」と言ったのは、「行政側に加えて」という意味を含んでのことだ。
支払側から、こうした収載の遅れに対し、疑問の声が上がったことは初めてではない。20年8月の中医協総会では、間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する会」委員)が厚生労働省に対応を求めている。
「承認されれば、患者は60日、90日で保険で使えると期待するが、企業の都合や薬価交渉が不調で収載されなければ、患者の利益に全くつながらない。承認から薬価収載とスムーズにいっていないなら、どうなっているのか、進捗を報告してもらうスキームをつくってもいいのではないか」
これに対し、保険局医療課の紀平哲也薬剤管理官はこう答弁している。
「ごく一部、保険適用に合わず収載されないものがあるほか、価格交渉の問題などで60日、90日に間に合わないものもある。製造とか供給の都合で少し遅れる場合など、いろいろなケースがある。全体のスケジュールの見える化について少し事務局で検討したい」
しかし、その後にスケジュールの見える化が果たされた形跡は、残念ながらない。紀平氏の発言の通り、少し検討しただけで終わっているのか、それとも少しの検討が長引いているのだろうか。