24年度診療報酬改定の改定率を巡る政府・与党内の攻防は、11日に始まる週からいよいよ大詰めを迎え、1週間程度で決着を迎える見通しだ。物価高騰・賃金引き上げへの対応で「別対応」が行われるのかが、大きな焦点になっている。【本根優】
12月5日に行われた「国民医療を守る議員の会」総会で、加藤勝信会長(元厚生労働相)は「決戦の時が近づいてきている。皆さんの力を結集して、政府内の議論を強力に後押しし、しっかりと診療報酬改定に向けた努力をしていきたい」と意気込みを語った。
また、加藤氏が会長を務める自民党・社会保障制度調査会は7日の役員会で、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の24年度「トリプル改定」に向けた決議をまとめた。
その中では「継続的な物価高騰・賃金上昇に十分対応できるための大幅な引き上げ」が必要としつつ、物価高騰・賃金上昇に相当する引き上げは「高齢化の伸びとは別に対応すること」を決議に盛り込んだ。また、24年の政府「骨太の方針」などでも、こうした考え方を明確にするよう求めた。
診療報酬本体(技術料)のマイナス改定を強く求める財務省・財政制度等審議会に対し、加藤氏が「防波堤」になるべく、自民党の厚労関係の顔として立ち振る舞う。
そして、加藤氏と連携する形で実質的には、財務省・厚労省と与党側の調整を、党政調会長代行の田村憲久氏(元厚労相)が担う。
自民党関係者によると、山場となりそうなのは15日。党厚生労働部会、社会保障制度調査会、障害児者問題調査会の合同会議が行われ、トリプル改定が議題に上る見通しだ。
もちろん、その場で重要な決定が行われることは考えにくいが、それを踏まえた水面下の調整によって、改定率が内定する可能性はある。
18日からの週に入ると、改定率を含む政府・与党調整が済んだことを前提に、鈴木俊一財務相と武見敬三厚労相の大臣折衝が行われる見通し。
ただし、パーティー券をめぐる裏金問題で自民党に激震が走る。過去に、大臣折衝で調整が付かない場合には、財務相と厚労相の間に官房長官が入り、改定率に関し、裁定を下したこともある。もしも松野博一官房長官が“渦中の人”となり続けたり、他の政府・与党幹部に問題が波及したりした場合には、政府の予算編成全体が大きく滞ることが予想される。
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