厚生労働省は9月22日、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者会議」の初会合を開いた。29日には2回目の会合を行った。ところが、この検討会。発足したばかりにもかかわらず、すでにいわくつきとなっている。【本根優】
なぜか。厚労省が8月31日に「医薬品の迅速・安定的な供給のための流通・薬価制度に関する有識者検討会」の第1回会合を開いているからだ。
その第2回会合が9月前半のうちに行われると思いきや、扱うテーマが流通・薬価制度から「総合対策」に変わり、9月22日に第1回会合がセットされた。
流通・薬価制度は総合対策に溶け込み、「産業構造の検証」がテーマに加わった。
それに伴い、委員が4人追加され、計12人となった。加わったのは、芦田耕一氏(INCJ執行役員ベンチャー・グロース投資グループ共同グループ長)、井上光太郎氏(東京工業大工学院長)、川原丈貴氏(川原経営総合センター代表取締役社長)、堀真奈美氏(東海大健康学部長・健康マネジメント学科教授)の4人。
この4人のうち、川原氏の役割は医療機関経営への影響として、残る3人が「産業構造の検証」枠となる。
たった1回開いただけで、検討会の名称が変わり、委員が追加されるのは前代未聞と言える。結論を出す時期は23年度の薬価の中間年改定に関する中間整理は10月中がメド。その後の最終報告は年度内というのは変わっていないため、議論のスケジュールはよりタイトになる。
自民党の厚労関係議員のひとりが語る。
「医療機関に不可欠な“薬価差(益)”を有識者だけの場で話すのはいかがなものかということで、(日本)医師会からクレームが入った」という。
そこで、流通・薬価制度は検討会名では伏せられ、代わって産業構造の検証という産業振興にもっともらしい文言が加えられたというわけだ。
言い換えれば「医師会マター」「保険局マター」には触れないように、総花的に議論する場に変わったということだ。