「人気投票で、現職と新人の差が出てしまった」
自民党宮城県連の関係者は落胆気味にそうこぼした。自民党本部は4月12日、7月予定の参院選で宮城選挙区から、医師で現職の櫻井充氏を公認することを内定した。【本根優】
櫻井氏は国民民主党を離党し、20年5月に自民会派入り。宮城県連が推す前県議会議長で新人の石川光次郎氏と公認争いを繰り広げていた。党本部は4月9、10日に県内の18歳以上の有権者を対象に電話での世論調査を実施。茂木敏充幹事長は12日、世論調査の結果、櫻井氏が上回ったことを明らかにした。
櫻井氏は前回16年の参院選は「野党統一候補」として戦ったが、今回は自民党公認で5期目当選をめざすことになる。
自民党が世論調査で公認候補を決めるのは極めて異例。宮城県連が推し、敗れた石川氏は3年後の25年参院選に回る見通し。
櫻井氏は自らのメールマガジンで「公認内定をいただきました。ご支援たいだいた皆様に心から感謝申し上げます。皆さんの期待に応えられるように頑張ってまいります」とつづった。
一方で、「自民党の組織のあり方を十分に理解しておらず、自分自身の進路を決定するにあたり、もっと宮城県連の皆さんと話し合いをすればよかった」と反省点も記した。
自民党の医系議員は、長くリーダー格に君臨した鴨下一郎氏が21年秋で引退。冨岡勉も4期で退いたため、任期4年の衆院では4期(三ッ林裕巳氏、今枝宗一郎氏)、任期6年の参院では3期(古川俊治氏)が最大だ。
仮に今夏の参院選で櫻井氏が当選すれば、これまでのキャリアはほとんど野党ながら、参院5期で「最もベテランの与党医系国会議員」となる。
ある現職医系議員の秘書は「櫻井さんが自民党議員となったときに、“雑巾がけ”をさせるのか、それとも即戦力に位置付けられるのか。本人がどの程度、他の医系議員と調和しようとするのか、また“党内政治力”があるのかによっても立ち位置がだいぶ変わってくる」と語り、動向を注視していく構えだ。