厚生労働省は1月17日の中央社会保険医療協議会総会に、24年度薬価改定で市場拡大再算定を適用する23成分38品目(類似品の共連れを含む)を報告した。小野薬品工業の抗PD-1抗体「オプジーボ」など、売上規模の大きな品目が数多く含まれる。引き下げ率は3月上旬予定の薬価官報告示で判明する見通しだ。【本根優】
オプジーボのほか、アステラス製薬の前立腺がん治療剤「イクスタンジ」、第一三共の抗HER2抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」、ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス感染症治療薬「ベクルリー」、エーザイの経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ」など、各社の主力品が並んだ。
明暗がくっきり分かれたのは、メルクバイオファーマの抗PD-L1抗体「バベンチオ」の類似品だ。
MSDの抗PD-1抗体「キイトルーダ」は再算定を回避した。22年度改定で、特例拡大再算定の対象品・類似品は引き下げ後、4年間(1回限り)再算定類似品として扱わないルールができており、過去に特例拡大再算定対象品として再算定を受けたキイトルーダは、この除外規定に該当したためだ。
一方で、オプジーボは再算定の憂き目に遭った。中医協では、24年度改定で市場拡大再算定類似品に関して「中医協であらかじめ特定した領域に該当する品目」を除外することを決めている。ただ、特定領域は今後、薬価専門部会で検討し、総会に報告したうえで決定する運用となっており、今回再算定対象となった4月1日改定分は、除外対象とならない。
JAK阻害剤6成分も再算定を受ける。対象品はアッヴィの「リンヴォック」で、類似品5成分が共連れ再算定となる。
日本製薬工業協会の上野裕明会長(田辺三菱製薬代表取締役)は、23年12月の関係団体ヒアリングで、除外する特定領域のイメージを問われ「PD-1/PD-L1阻害剤やJAK阻害剤を想定している」と回答していたが、特定領域を設定したうえで除外する議論が“間に合わない”まま、除外対象と想定される品目の多くが再算定を受けることになった。
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